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湯沸かしパワーは本物!キャンプサイトで気軽に使える、ケリーケトルを試してみた

トレイルの途中で、ふっと落ち着く。
ツーリングの途中でホッと一休みする。
オートキャンプでようやくサイトをくみ上げた後、タープに座りこむ。

人が座って落ち着いたとなれば、まず欲しくなるのは飲み物。
秋から春先のならば温かいお茶にコーヒー。
大切なのはお湯。

そこで今回は、アウトドアの場で、周辺の枯れ枝などで簡単にお湯を沸かせるグッズ「ケリーケトル」についてご紹介します。

100年前に発明されたアウトドア用湯沸かし器・ケリーケトル!

ケリーケトルとはどのようなものでしょうか?
その起源は19世紀末の1890年頃、アイルランドの山中で山岳ガイドとして生計を立てていたケリー氏が発明した、アウトドア専用の湯沸かし器です。その大きな特徴は中心を空気抜きの穴が通っていること。上から見ればドーナツ型をしたヤカンです。
実に意表をついた構造ですが、炉にかけて火を焚けば、熱気は中央の穴を一気に通過します。この「煙突効果」によって火力が一気に高まり、なおかつボディの表面を一気に過熱することで、効率よくお湯を沸かせるというシロモノ。原理から言えば、「しゃぶしゃぶ鍋」とまったく同じ構造ですね。

今回、筆者が購入したものは本体にクッカー、ゴトクのセットで1万円ほどでした。

多摩川の松ぼっくりで湯沸かし実験

今回、実験地として選んだのは多摩川の河原。世田谷区二子玉川付近の松小立で、ケリーケトルに最良とされる燃料・松ぼっくりを20個ほど採集しました。

そしてこれが、道具一式。
ケリーケトル本体と、下の燃焼室。専用のクッカー、そして専用のゴトクです。
ステンレス製のクッカーには持ち手が装着されておらず、専用の器具で挟んで持ち上げる。「やっとこ鍋」と同じ原理ですね。

ケリーケトルの使用手順

①ケトルに水を注ぐ

ケトルと燃焼室を分離し、ケトル側には注ぎ口から水を入れます。1リットル程度はたやすく入ります。

②燃料の準備をする

次は、燃焼室に松ぼっくりや枯れ草などを敷き詰めていきます。ここで大事なことは、大きな松ぼっくりは先に燃焼室の中に入れておくこと。追加の燃料投入口を兼ねる排気口の直径は4cmあまりなので、大きな松ぼっくりは追加投入できません。
さらに燃焼室には、転倒防止の重りとして小石を1個仕込んでおきましょう。

③点火する

いよいよ燃焼室に火を入れます。点火して枯れ草や松ぼっくりが確実に着火したのを確認した上で、水を仕掛けた本体をすばやく燃焼室の上に載せます。最初に仕掛けた燃料が燃え尽きたら、上の排気口から小型の松ぼっくりや枯れ草を次々と投入していきます。

④5分程度で沸騰

熱効率は本当に見事なもので、ものの5分で1リットルの水が沸騰しました。なお、沸騰作業の際に大事なことは、注ぎ口に蓋をしないこと。付属のコルク栓やオレンジ色のプラスチック栓は、あくまでも沸騰後の保温用です。

湯が沸いたので、木製のカップに注いでほうじ茶を淹れます。
無印良品のフリーズドライ食品、「オクラと卵のスープ」もふっくらと戻りました。

調理を間違えれば…?米が炊けない!

ただ、注意していただきたいのは「調理能力」。
上の排気口上に専用のゴトクを取り付ければ、調理も可能な構造とされています。しかし、ケリーケトルの本体はアルミ製であり、600度以上の高温には耐えられません。調理専用に湯を仕掛けず火を焚けば、「カラ焚き」となって本体が溶けてしまいます。

カラ焚き防止に水を仕掛けて焚けば、熱エネルギーはすべて水を沸かす方に回り、排煙口から熱量は期待できません。つまり、本格的な調理は難しいでしょう。

実際、このようにケリーケトル上に2合の米を仕掛けたクッカーを載せて焚き続けました。下の燃焼室に枯れ草を差し込みましたが、40分焚いてもクッカーには熱が伝わらず、手で持ってもホンノリぬくもりを感じる程度。結局、炊飯には失敗しました。

まとめ

ケリーケトルは以下の注意点を守って、安全に使用しましょう。

・沸かした湯をクッカーに注いでゴトク上に乗せ、レトルト食品を温める。あるいは、ベーコンを軽くあぶるなど、簡便な調理にのみ使う。

・ケリーケトルは、あくまで湯沸かしに特化した道具である。

・本格的な炊事を行う際は、燃焼室からケトル部分を外してからクッカーを乗せて行う。

・湯沸かし中、注ぎ口に蓋をしない。

以上を念頭において、安全にご使用ください。

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