体験レポート

【総延長1697.2km】東海自然歩道を踏破せよ!|#03 焼山編

(※こちらの記事は2017年9月20日に公開された記事です)

こんにちは。フリーライターの田中嘉人(たなかよしと)です。

前回はかなり登りごたえのあるルートを歩きました。

【総延長1697.2km】東海自然歩道を踏破せよ!|#02 相模湖〜西野々編

今回目指すのは、東海自然歩道のなかで最も険しいとされる丹沢山地。前回降り立った西野々から西丹沢ビジターセンターを目指すコースです。このコースが険しいといわれる所以。それは、東海自然歩道のなかでも最高峰の姫次(1433m)という山をはじめ、焼山(1059m)、袖平山(1431m)という1000mを超える山々の尾根を歩いていくコースになるからです。そのため、小雨でも天気が優れない日の決行は避け、準備も入念に行なっていました。

ただ、今回の僕にはめちゃめちゃ心強い仲間がいます。キュービックという会社の広報/ライター 菊地さん、そしてフリーライター/フォトグラファーの渡辺さんが同行してくれるというのです。

「本当に行く?一番ハードなコースだからやめたほうがいいよ」

と何度も伝えたのですが、二人とも「大丈夫です!行きます!!」の一点張り。僕としても仲間がいることは願ったり叶ったりなので「じゃあがんばりましょう」ということで、今回は初の3人編成で東海自然歩道を攻めることになりました。

この丹沢山地を越えれば、いよいよ山梨県との県境も見えてきます。読者の方々に「いつまで神奈川にいるんだよ」と思われないためにも前進あるのみ!それではスタートです!

<INDEX>
・西野々から焼山頂上を目指して
・焼山頂上から避難小屋を目指して
・避難小屋から東野を目指して

西野々から焼山頂上を目指して

この日は相模原の三ヶ木からバスで西野々を目指します。

三ヶ木から西野々へ向かうバスは、1日数本しかないのでチェックしたうえで出かけるようにしましょう。

東海自然歩道への挑戦に不安の色が隠せない僕。

そして同行してくれる菊地くん(26)。 かなり気合が入っています。ちなみに、ライター/フォトグラファーの渡辺さんは照れ屋さんなので今回は撮影に専念してもらいました。

バスは30分ほどで西野々へ到着。前回エンディングを迎えた広場で出陣式。

そんな僕らを『ヤマビル注意!!』がお出迎え。

実は第1回のトレッキングでヤマビルに吸血されていたので、入念にチェックします。

出ました案内看板。僕らが目指すのは、焼山。3.7kmなんてあっという間じゃない?

意気揚々と歩き始める私。

そして案内看板を発見。「今日は西丹沢自然教室(現西丹沢ビジターセンター)を目指すよ!みんなついてこいよ!」と先輩風。

なんせ初めて仲間が増えたのが嬉しくて、はしゃぐ。

「鹿が通る」というだけで、「やばいねー!秘境だ(笑)!」と僕。

鹿避けのフェンスもなんなくクリア。若手たちにかっこいいところを見せるべく、ズンズン進んでいきます。しかし…

僕らの行く手に待っているのはただひたすらの上り坂。

かなりの上り坂。

「あれ?ちょっとおかしいぞ」と僕。想像していたよりハードです。

今まで木枝を杖にするなんてことはなかったのに…。

今までこんなに上り坂が続くことはなかったのに…。

そしていよいよこうなる。ひたすらに高まっていく心拍数、そしてちょっとした吐き気…顔色がどんどん悪くなっていきます。

ちなみにこれが30〜40分前。この先にとんでもなくハードな道があることを知らない、一番楽しかった時間です。

そして、これが現実。

あまりにもヘトヘトになってしまったので、一度休憩を挟みます。それでも菊地くんは超元気。

休憩を終えてロケットスタートを決める菊地くん。そして僕。

この頃は「こんなしんどい企画、東京に戻ったら編集長にやめましょうって言おう」と決めていました。

だって2時間も上り坂を登り続けているんですよ。

ゆっくり、ゆっくり、登ってく〜。

足場もだんだん過酷になっていきます。

足が重くて、全然前に進まない……。

滑落注意の看板も目に入らないほど、視界が狭くなっていました。

そして目の前に現れるは木製階段。「あ、今日は絶対に無理なやつだ」と確信した瞬間でした。

それでも、僕らには「登る」という選択肢しかありません。

目が変な感じになってしまいますが、一歩一歩踏みしめて進んでいきました。

それでも一向に上り坂が落ち着く気配はありません。

「どう編集長を説得してこの企画を終わらせるか」を考えているところです。

それでも、僕らの前から上り坂はなくなりません。

しかし、確実に標高が上がってきていることは感じます。

だから、どんなに勾配の激しい坂でも登り続ける(二人の若手にカッコ悪いとこ見せられないし)。

こんな道。

思わずこんな顔。そんなのを繰り返していたら、だんだん緑が増えてきました。

この道がてっぺんに続いていることを信じて。

そして…

ついに……!

到着!標高1059m!焼山の山頂です!!西野々を出てから約3時間。看板の表記は3.7kmでしたが、かなりの長い距離を歩いていたように感じます。

頂上に展望台があったので登ってみると…

絶景が広がる!これまでとは桁違い!1000mを超えると、しんどさはもちろんだけど、眺めの良さも変わってくる!

「な?あきらめなくてよかっただろ?」と僕。二人の視線が冷たい。

記念撮影しようと声をかけても、二人とも入ろうとすらしない。両手の手持ち無沙汰感たるや…!

頂上で飲むヘルシアは至高でした。

焼山頂上から避難小屋を目指して

いくらか体力が回復したところで案内看板で今後の所要時間とルートをチェック。

すると、この登りでかなりのタイムをロスしてしまったことがわかりました。

急いで行かなければ…!

東海自然歩道最高峰の姫次はクリアできなくなってしまう。

しかし、道はおどろきの歩きやすさ。「ここは近所の公園かな」と錯覚してしまいそうです。

地面もふかふかしていて歩きやすいので、僕も元気になってきました。

しかしそう一筋縄ではいかないのが東海自然歩道の怖さであり、魅力です。

尾根をつたって、登ったり下ったりを繰り返しながら、黍殼山(きびがらやま)を目指します。

先ほどの上り坂のようなハードさはないにせよ、体力が削られていたぶんだけダメージも大きくなってきました。

ほんっと、木製階段ってあると困るんだけど、なければないで不便になりそうだから、一概に「とりましょう」とはいえないですよね。

そしてあっという間の2.4km。黍殼山の頂上に登るためには若干のコースアウトが必要になります。が、体力面や時間面を考慮して、黍殼山の頂上を目指すのはやめました。

山頂への登り道の少し先に休憩スペース。すると、案内板に気になる文字が…!

念願の水場!!ちょうど水分が無くなってきたタイミングだったのでめちゃめちゃ嬉しい(2リットルも持ってきたのに…)。

基本遠回りはしたくないんですが、地図で事前チェックしたときから気になっていたスポットなので行ってみようと思います。

「どわーーーーーーー!」急に冒険要素がマシマシに…!

「こ、これが聖水…!!」

空になったペットボトルへ補充。試しに飲んでみたら冷たくてめちゃめちゃおいしかったです(ただし生水ですので、飲用の際はご自身の責任でお願いします)。

水をゲットしたので、心置きなく食事。おにぎりの旨味が全身に染み渡っていく…!

体力も回復して再び歩き始める。姫次までは2.3km!

食事を終えてしばらく進むとこんな看板を発見。

看板の指す方へ足を運んでみると、急に一面が開け、目の前に草原が広がる!

めちゃめちゃ広い!

そして避難小屋も発見。

いざというときは宿泊できる山小屋的な建物でした。トイレも完備!

そして避難小屋を後に、再び歩き始めました。

避難小屋から東野を目指して

おなじみの案内看板が登場。実は、ここで大きな決断を迫られていました。

というのも、本来の今日のゴールは『西丹沢自然教室』。しかし、焼山登頂にあまりにも時間を要してしまった結果、当初の予定の2/3ほどしか進められていなかったのです。このままゴールを目指しても、到着が夜になると危険度はアップするし、最終のバスもなくなってしまう……しかし、ここでコースアウトすると次回のコースでしんどい想いをすることになる……!

「ゴールを目指すのは…やめましょう…!」

初めてできた仲間を危険にさらすわけにはいきません。正直、体力的な不安もあったので、ここから東野というバスが通っている地域までつながる山道を下る決断をしました。

悔しいけれど、

無理してまで歩くものじゃないからね。ただ…

僕らを待っていたのは、1000m分の下り坂。かなり急な坂道を、ひたすらに下っていきます。

途中でキレイな沢があったり、

そこそこ巨大なダムがあったり。

1時間半ほどかけて、ゆっくりと下っていきます。

少しずつ道が広くなって…

東野に到着しました!みんな無事でよかった!!

さて、今回のコースはいかがだったでしょうか?

残念ながら当初の目的だった西丹沢自然教室まで足を運ぶことはできませんでしたが、1日で1000m登り、その日のうちに下ってくるというなかなか貴重な経験ができました。次回は東野から今回コースアウト時に下った道を再び登り、東海自然歩道に合流するところからスタートです。正直、今日の下り坂を登ると思うとぞっとするのですが…やるしかありません…!

そして、特別参加の二人は次回も来てくれるのか!??

というわけでまた次回!お楽しみに!

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ライター:
田中 嘉人