コールマンのガソリンランタンは、ユーザーが自身で歴史を創りだし、伝承をもできるキャンプギアであることを前編にて取り上げました。
そのために最も必須であるのが「正しい使い方」と「正しいメンテナンス」。
堅牢なるコールマンガソリンランタンも、使い方を間違えたり、メンテナンスを怠ったりすれば長持ちさせることはできません。
ではハードルがものすごく高いものなのか?
そんなことはありません。正しいルーティンとちょっとしたコツを少し飲み込めばいいだけです。
後編となる今回は、初めてガソリンランタンを手にする人にも安心な、その「正しい使い方」「正しいメンテナンス」のポイントをお伝えします。
教えて頂いたのは、最もコールマンのランタンを知り尽くした“ミスターコールマン”山村さんです。
アメリカンカジュアルで身を固めて登場された山村さん。根っからのアメリカ好き。ちょっとどこか日本人離れをした風貌、そして親しみやすいキャラクターからか多くの方から「アミーゴ」とも呼ばれています。
山村さんを語るときに絶対に外せないのが“ミスター・コールマン”という称号です。コールマン ジャパン最古参にして、常にユーザーに接する最前線に身を置き、誰よりもコールマンを知り、誰よりもコールマンを愛するその姿勢に、内外問わず自然に称されたものです。
山村さんが入社して間もなく、このカナダ製「635」ランタンひとつでセールスを開拓し続けたのだとか。
「当時200Aがコールマンの象徴で、多く売れているのもよくわかっていました。635はカナダ製でもあるし、生産台数も正直少ない。でも、そこが逆転の発想でした。ありふれたものではなく希少だからこそ”今”買っておいた方がいいですよ、と伝えてみたんです。
やはり希少なものには関心が湧くし、それなら話を聴こうと前のめりになってくれるんですね。それに実演すると、実際大きくて明るいからストレートにランタンの良さが伝わりやすかったと思います」
この1台のランタンと山村さんのセールスが結実し、ランタンと共にコールマン製品が大きく普及しますが、一方で製品に関する正しい理解という点での広がりが課題になります。
そこで山村さんは、セールスからユーザーに接するマーケティング本部に移動。以来現在に至るまで広くユーザーに接し、キャンプの楽しさ、そして製品の正しい扱い方を最前線で普及されています。
では、早速山村さんに実際のランタンを手に取りながら、初めてガソリンランタンを手にした時にどうすればいいのか、またその後のメンテナンスのポイントを実演してもらいましょう。
「当たり前ですが、最初にすることは燃料の充填です。ここが大事なポイントですが、純正のホワイトガソリン=エコクリーンを必ず使って下さい。そうでないものを使った場合、添加物などが混ざっていることもあり、後に出てくるジェネレーターのつまりなど故障の原因を作ってしまいます。ぜひこれは必ず守ってくださいね。長持ちの第一の条件はこれです。」
「では作業に入りましょう。燃料キャップを外し、ガソリンを流し込むフューエルファネル(別売)を差し込みます」
「ここが大事なポイント。燃料は入れすぎても少なすぎても良くありません。燃料と空気が8:2の割合が理想です。でも外からは見えませんよね。このフューエルファネルを使うと、燃料が適量のところまでくると止まるようになっているんです。あと、注ぐときのコツは缶の口が上になるようにすること。こうすればこぼれにくくなります。」
缶の口を上部にして注ぐのがコツです。これはしっかり覚えておきたいポイントです。
「ポンプノブを左に回すとポンピングを開始できます。ノブにある穴をしっかり押さえ往復運動してください。
ポンピングの回数は作業者に力の加減にもよりますので、何回というよりもある程度固くなったところを目安にしてください」
最初は慣れないと面倒なポンピング。しかし何度も何度も繰り返して慣れてくると、これが「キャンプの夜を迎える儀式」と思えて喜びに変わってくるから不思議です。
「使う時にはこのマントルの取り付けをする必要がありますので、これをやってみましょう」
「一番上のカサの部分、ベンチレーター、そしてガラスグローブをいったん外します」
「マントルを本体に結び付けます」
「ここを『固結び』ではなく『2重に仮結び』をしてしっかりと留めます」
「いらない部分は切ってしまいましょう」
「ここでガスライターを使い、マントル全体をまんべんなく空焼きします。穴が開かないようあまりライターを近づけすぎないようにしてください」
一度出来たマントルは破れない限り使えるので、この最初の作業をしっかりしておきたいですね。
「このように縮まって灰状になります」
「ガラスグローブとベンチレーターを戻し、ナットで締めます。これで点火の準備はOKになりました」
「さて、点火です。ガスライターを下の口から差し込み種火をつけます。バルブを少しだけ開けると『シュルシュル』と音がします。これがガソリンが霧状に出ている音。そのあとにバルブを一気に開けます。先にライターの火をつけて、そのあとにバルブを開けるというのが最重要ポイントです」
「点火の瞬間、炎が上がる場合がありますが決して慌てないこと!ビギナーの方はここで慌ててバルブを戻して止まってしまうことがよくあります。そうして一気に開いてガスを充満させると『ボン』となってしまいますから、とにかくまず『種火』を作りその後に一気に開く、ここをよく覚えておいてくださいね」