都会の若い人に自然体験を。手作りコテージ溢れるキャンプ場、サンタヒルズが抱く想いとは?

キャンプやアウトドアに「非日常」を求める方も多いのではないでしょうか?
しかもそれを、できるだけ気軽に体験したいという方。

その体験が、より自分らしいキャンプスタイルの入り口になる。

そんなきっかけを作ってくれる素敵なキャンプ場があります。
背の高い木々が立ち並ぶ森に入ると、まるで別世界に来たように感じるキャンプ場。

それが「サンタヒルズ」。

今回は代表の中村郁夫さんに、自然に触れる「原体験」や昨今のキャンプブームについて根掘り葉掘りうかがってきました。

すべてが手作り。それがサンタヒルズ流

——サンタヒルズの代表でいらっしゃいます中村郁夫さんにお話を伺います。よろしくお願いします!

こちらこそ、よろしくお願いします。

——早速ですが、サンタヒルズの創業から現在までの経緯を教えてください。

はい。サンタヒルズは1994年に創業して今年で23年目を迎えます。私の両親がこの土地に魅力を感じて開墾し、現在は私が代表を務めております。

サンタヒルズは、基本的にすべて自分たちの手で作り上げていくことを目標にしてまして、現在20棟あるコテージはすべて手づくりです。時にはお客様や学生、懇意にして頂いている他のキャンプ場のオーナーさんとスタッフが力を合わせて作り上げてきました。

——全部ですか?すごいですね。手作りにこだわる理由は何ですか?

ありがとうございます。もちろん外注をした方が簡単ですが、自分たちで想いを込めたものの方がお客さんに何か伝わるものがあるのではないか、と思って自分達の手で作っています。

スタッフそれぞれに得意分野や特徴がありまして、お互いに補い合って仕事に取り組んでいますし、それができるスタッフがいることがサンタヒルズの魅力です。それを最大限活かしていくことが私達らしさにも繋がっていくのだと思います。

——その手作りしたコテージがまさしく、サンタヒルズの象徴ですよね。

そうですね。サンタクロースが住んでいることをモチーフにした「サンタクロースの家」やツリーハウスのエミルやリッカ、建物内でBBQができるファイヤープレイス、大人数で宿泊できるレインディアは、様々なお客様が来て頂いても対応できるようにそれぞれに特徴を持たせて作ってます。

最近リニューアルしたファイヤープレイスは建物の中でBBQができます

——コテージが多いから、アウトドアが初めてというお客さんも多いのではないでしょうか?

はい。そういう方もたくさんいらっしゃいますね。サンタヒルズはどちらかというと若い人、女性が多いです。

若い人はやはり集団で動きたい、皆が一箇所に集まってやりたいというようなサークルのノリで来てそこで楽しみたいという感情があるのだと思います。その点、サンタヒルズは大人数で利用できるコテージがありますし、女性向けにはカフェやギャラリーを準備してそちらでも楽しんで頂けるように工夫をしています。

平日であればお互いの了解の範囲内、最低限のマナーを守って頂ければワイワイ楽しめるように準備をしていますね。

日本各地から選りすぐりの作家さんの品物を展示するギャラリー

——カフェやギャラリーが併設されているのは面白いですよね。

あとは私達自身が若いというのも1つのポイントだと思ってます。お客様と感覚的に近い我々が作っているというところが、きっと随所に雰囲気として出るのではないのかなって思ってます。

ホームページやコンテンツもそうですけど、現代風に合わせた形で変化させていってますね。

都会は自然が不足している

——現代的な、都会の人にも伝わりやすいですよね。

都会の人というとどうしても自然が不足しているといいますか、1日中パソコンを見て目も肩も心も疲れちゃって・・・という方がお客様の中にも多数いらっしゃいます。我々キャンプ場としては、そういったお客様が時間や色々なものから開放されて、自然の中で過ごす時間をサポートするような形です。

サンタヒルズは比較的滞在型です。
例えば軽井沢や那須などの観光地ではそのキャンプ場で楽しまなくても他の施設で楽しむことができますけど、この場所はもちろん観光資源がないわけではないですけど、それほど強くないのが事実です。

しかし逆にそれを好機と捉えて、楽しめる要素をこのキャンプ場の中に入れ込んでしまえばお客様に来てもらえるのかなって考えてます。

陶芸をやりたければ陶芸もできますし、のんびりしたい人はのんびりしてもらえればいいですし、お茶飲みたい人はカフェでゆっくりしてもらってという色々な選択肢をお客様に与えられるように、場内で何パターンか楽しめるように準備をしております。

——なるほど。自然に触れることもそうですけど、色々な形でお客様自身が楽しめるようになってますね。

私が今35歳ですが、私と同世代がちょうど子育てど真ん中の世代で、この世代までがギリギリ、幼少時代に自然を親しんで育ってきた境目の世代なのかなーとも感じてます。

おそらく20代後半の世代の方々は、山や森に入っていくという経験がとても少なくなってきてますし、「キャンプって何?」って言う人がたくさんいるんじゃないのかなーって思うんです。

幼少時代にキャンプしたかとか、虫取りしたかとか。そういうところが段々「原体験」としてなくなっている世代なので、そういう「原体験」を今更だけど、親子でしてもらおうという気持ちもありますね。自然観察会のプログラムなどはそういう意向もあって開催しています。

例えば水辺の生きものですと「タガメ」とか、見たことありました?

——いえ、僕は東京生まれ、東京育ちで見たことないですね。もしかしたら田舎のおばぁちゃん家で見たことがあるのかもしれないですけど、記憶にないです。

他にもホタルとかも最たる例ですけど、そういうものを目にしたり触ったり、体験してもらいたいというのが思いとしてありますね。

子供だけでなく、親も一緒に自然の中で過ごして、生き物に触れたり、星を眺めたり、鳥の鳴き声に耳をすましたり。そういった原体験を通して感動して欲しいなーと。

親も一緒に育っていくような感覚です。

新緑が美しいのがサンタヒルズの特徴の1つ

——生き物に触れたり、鳥の鳴き声に耳を澄ますことって日常的にはあまり経験がないですね。

バランスが崩れていると思います。それこそ、こういう自然の中での体験が少ないと、極端な話引きこもりになってしまったり不良になってしまったり。少なからず影響があるのかなーと私は思っています。

自然の中で感じる気持ちの豊かさ、体験の豊かさがそれを補うのではないのかなっと。気持ちを解き放つ場所が自然で、キャンプ場がその一翼を担うことができれば本望ですね。

キャンプブームのその先は「本物の醸成」

——最近のキャンプブームについてどう思いますか?

キャンプ自体、流行りなのかもしれませんね。今はオシャレなキャンプが入り口になって、ウェアがあって、キャンプギアがあってというところで、キャンプファンが増えているという感覚はあります。

ただ、ファッションだとかブームだとかは流行り廃りの激しい中で、これからはしっかりと醸成していかなければいけないのかなとも思います。それは受け皿としての我々キャンプ場もそうですし、先ほどの自然体験の話にも通じますが、「本物」を提供できるかどうかがすごく大切になってくると思ってます。

——「本物」の醸成ですか?

はい。「オシャレなキャンパーさんおいでー!」っと集めて、フェスのようなお祭りをやって、それだけで済ませてしまうとただの流行り、一過性のものとして終わってしまうと思っています。

それはもちろん我々にとってももったいないことですし、キャンプを楽しんでいる人にとってももったいないことなんだと思います。

キャンプはもっと奥が深くて、自然の中で過ごす貴重な時間もそうですけど、自分自身でキャンプの楽しみを見つけることが本当のキャンプの楽しさだと思うんですよ。

——自分自身でキャンプの楽しさを見つけるっていいですね。

一番最後は自分たちの手で自分たちのスタイルを確立してくれる。ここがゴールだと思っています。もちろんまずはコテージに泊まってアウトドアを始めることはとてもいいことだと思いますし、我々もその入口となっている自覚があります。

しかし、真のキャンプの楽しさっていうはその人自身が見つけて、それに熱中することだと思います。それは自然観察であったり、料理であったり、道具へのこだわりであったり。人それぞれだと思います。

——なるほど。

そういう考えのもと、サンタヒルズを作り上げています。

サンタヒルズでは、ここの中で完結できるようになっています。お家に近いようなコテージもありますし、ちょっとワイルドに近いバンガローのような建物に泊まってもらうこともできます。

なおかつコテージでもアウトドアを感じてもらえるように意識して作っていますので、まずはBBQを楽しんでもらって、次は手ぶらレンタルセットを借りてキャンプに挑戦してもらう。おもしろいと感じてもらえれば、そこで初めて自分たちで道具を揃えてキャンプに行こうと思ってもらえればいいのかなーと考えてます。それをこのサンタヒルズの中で提供できるように作っていますね。

コテージでも焚き火やBBQができます

先ほどの本当の楽しさではないですけど、それは我々が提供する何かが楽しくてやるのではなくて、キャンパーさんご自身がキャンプの中に楽しみを見出して遊ぶということで、ゴールなのかなって思います。

そうすればもうサンタヒルズでなくても、どこでもキャンプ・アウトドアを楽しむことができると思うんです。一人前のキャンパーになるのでしょうし、そこまでのナビというか、ガイダンスといいますか。そこまでは我々がサポートできればと思いますね。

——ブームだけで終わらせず、もっと深いキャンプの世界を知ってもらいたいですよね。

ブームという形で捉えてしまうときっとあっという間に終わってしまうと思います。
今は実際、すごく良いところまで来ているんだと思います。キャンプ人口も増えていると言われてますし。

ただ、それを本物にしていくには、やっぱり受け皿の重要性っていうのはとても大きいですよね。

グランピングは、キャンプにどんな付加価値を付けていくのか

——キャンプブームもそうですけど、グランピングっていうワードも出てきてますよね。

そうですね。グランピングも本来のものが何なのかわからないまま、ハイクラスという意味で用いられてしまうと、内容が豪華ならそれでいいだろうというような位置づけになりかねないですよね。

もちろんそういう方向性を否定はしないですが、本来はグラマラスなキャンプであって、キャンプにどんな付加価値を付けていくのかというところがポイントだと思います。

——キャンプに付加価値を足していくということですか。

今あるフィールドの中でもグラマラスなキャンプは十分できると思いますし、本来はそういう方向に持って行ってほしいですね。どんどん新しく「これこれこういうのを作りました。こっちのほうが豪華です」というような方向に行ってしまうのはなぁと思います。

例えば、寝ながら星空が見れますよというようなことが、いわゆるプライスレスな体験で、グランピングっていうのは本来そういうことなのかなって思いますね。これは、逆に、今の流れとは違うなって思う人が逆提唱をしていくべきなのかとも思います。それは別に名前はグランピングじゃなくてもいいんですけど。

——ありがとうございます!最後に、中村さんが思うキャンプ場のあるべき姿を聞かせて頂けますか?

せっかくキャンプに興味を持っていただいているので、そういう人たちにガッカリしてもらわないような内容をこちら側も提供していかないといけないという危機感もあります。

「すごい面白かった!」って思ってもらうのももちろん嬉しいことですけど、「良い体験したなー。中村さん、自然っていいですね!」っていってもらえるような、後押しをしたいですね。

僕らはあくまで主人公ではなくて、良い体験を得るためのサポートっていうとちょっと違うかもしれませんが、お客様に「そうですね、良かったですね!」と言えるような存在になりたいですね。

——貴重なお話ありがとうございました!


アウトドア初心者はまずはコテージ泊から。
サンタヒルズで自然に触れてゆっくり過ごす時間を。

*サンタヒルズ
アウトドア初心者向けのコテージから直火が楽しめるキャンプサイトも。
住所:栃木県那須郡那珂川町三輪967
予約・問合せ先:0287-96-4622
HP:http://santahills.co.jp
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ライター:
佐久間 亮介