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ペットとアウトドアのいい関係|#02 犬連れ登山は、心の距離を縮めてくれる

今回、お話をうかがったのは愛犬ヤマト(コーギー)を連れて登山を楽しんでいる河本美帆子さん。なんと、結婚式もヤマトを連れて八ヶ岳で行うほどの山好き&犬連れ登山好きだ。

そんな彼女に、愛犬家の登山好きにとっては気になる犬連れ登山のあれこれを教えてもらった。

その話は、飼い主と犬の絆をより深めるものだった。

ヤマトの日常のお散歩コースで河本さんにお話をうかがった

——結婚式をヤマトを連れて八ヶ岳で開いたと聞いてびっくりしました。登山はこの子が家族になってから始められたんですか?

両親がアウトドア好きだったので、小さい頃から当たり前のように北アルプスに登ったりキャンプをしていました。ただそれから大学入学・就職となって実家から離れたので、それに合わせてアウトドアとも疎遠になって。

30歳くらいの頃でしょうか。また山に行きたい!って思うようになって少しずつ週末に登山やテント泊を楽しむようになったタイミングで、家族に迎えたのがこの子だったんです。

——山に犬を連れている方は他にもいると思うんですけど、コーギーっていうのは珍しいですよね。

そうですね、今なら一緒に登山をするなら脚が長くてスタミナもあって身軽な犬種が良いとは思うんですけど、昔から飼うならコーギーって決めていたこともあり。

——山には一見不向きそうに見えるこの子を、山に連れて行ったのはなんでなんですか?

住んでいるところが、東京のど真ん中のコンクリートジャングルで、普段のお散歩はどうしてもアスファルトの上ばかりなんですよね。週末にここみたいな土や草がある公園に連れてくると、嬉しそうに匂いをかいだりゴロンゴロンしたりするので、そういうのを見ていて自然と。

——犬もやっぱり自然を求めているってことなんですね。最初はどこに連れて行ったんですか?

手軽なところで高尾山を選びました。でもけっこう不安もありました。人間はトレッキングシューズとか履くのに裸足で怪我とか大丈夫?とか、歩くのがそもそもそんなに好きじゃない印象だったので万が一歩かなくなったらどうしよう、とか。

——実際のところはどうだったんでしょう?

私の考え過ぎでした(笑)。着いたらすぐ目をキラキラさせて歩きはじめたんです。落ち葉や木の実や土や泥の匂いを好きなだけ嗅いで、たくさん歩いて走って飛び越えて。道がアスレチックなんですよね、山にいると本当に楽しそうにしてるんです。

コーギーって笑うんですよ。
暑いから口が開いてそう見えるって言われがちですけど、違いますね。あれは絶対に笑ってます!

——生まれてはじめての体験ですもんね。人間以上に自然を求めているっていうか、それが本来の姿なんじゃないかって思います。

そこから山が気に入って、筑波山や御岳山を日帰りで行く中でこの子のスタミナとか得意不得意がわかるようになってきたんですよね。岩場やはしごがなければこのコースタイムであれば大丈夫だ、とか。

——そのあと、満を持してテント泊ですか?

はい、テント泊デビューは笠取山でした。笠取小屋のご主人が大の動物好きなんです。例に漏れずこの子もかわいがってくれて、楽園のような場所でした。犬って狼の遺伝子と近いって言われてますけど、狼は洞穴で生活をしていたので犬も狭いところが好きな子が多いんですよね。この子もはじめて泊まるのにテントが落ち着くみたいですぐくつろいでました。

——この子がいると、テント内も暖かくなって居心地良さそうですよね。寝るときはどうされたんですか?

犬用の寝袋はないので、私のダウンや主人のフリースをベッド代わりにして寝てもらってます。思いっきり体を動かしたあとなので、それはもうぐっすり寝てますね。

——山行中の他の登山者の反応とかはどうでしょうか?

すごく優しいですよ。頑張ってね〜って応援してくれたり。けど人が多い山は避けたほうがいいなとは思います。犬が苦手な人は少なからずいますし、お互いのびのびと登れた方がいいので。矢倉岳は同じ山域にある金時山よりもマイナーな山で眺望も良いのでオススメです。

——「みんなで気持ちよく」が大前提ですね。一緒に登る上で気をつけている点や大変な点はありますか?

コース選びには気をつけます。はしごや岩場、鎖場のないところを選ぶようにはしていますし、あとはシングルトラックも避けてますね。テント場は犬がOKかとか事前の情報収集は抜かりなくしてます。あとは、ノミ・ダニ・フィラリアの予防です。私は3月〜11月の間は月に一度くらいケアをするようにしています。

大変な点は荷物が増えるということです、自分の荷物プラスこの子分なので。服っているの?って思う方もいるかもしれませんが、山の朝晩は犬にとってもすごく冷えるんですよね。積雪してた入笠山を登った時は、凍傷防止のためにアルファアイコンの服を着させました。そのとき出会った子はみんなこの服着てました。

食料や飲み物は人と同じで多めに持って行きますし、泥に入って遊ぶとドロドロになるので、体を拭くためだったり寝るときに敷いたりするためにタオルも余分に持っていくようにしてます。

——確かにそれだけ聞いても荷物はかなり増えそうですね。

もうひとつ大事なのが予備のリードですね。もしも壊れてしまった時に安心です。うちは通常のリード(ザイルでできている丈夫なもの)の他に、伸び縮みするロングリートを持って行ってます。

——逆に醍醐味ってなんでしょう?この子にとっては嬉しいことばかりだと思いますが、河本さん的にはどうですか?

一緒に登っていると「楽しいね」っていう顔でこっちを見てくるんですよ。そういう気持ちが共有できて、心の距離が近づくことがすごく嬉しいです。

あと、この子と登る前まではいわゆるピークハントばかりしていたんです。山に登るなら山頂へ行かないと意味ないでしょ!ってどこかで思っていました。

でも犬連れだと長い行程は歩けないし、コースも限定されるし時間も長くかかることだってあります。八ヶ岳のしらびそ小屋に行ったときなんて天狗岳まで登らなかったんですよ、あんなに近いのに。昔では考えられないです。

でも、それでも楽しいんです。
自然の中でこの子と一緒に深呼吸しながらのんびり歩いて、満天の星空の下でテントに泊まって。一緒に冒険をしている気分。こんな風に自然と仲良く遊ぶことを教えてくれた両親にはすごく感謝してます。

——素敵ですね。今までも山は楽しかったけど、この子と一緒に登ることでまた新しい楽しみや価値に気づいたり。犬を飼っている山好きの方に伝えたいことはありますか?

難しく考えずに、ぜひ一度連れて行ってみてあげてほしいです。腰の懸念とかあると思うんですけど、この子が楽しそうにしていればやらせてあげるようにしています。悪くなるときは、どうやっても悪くなってしまうので。

私が実感した素晴らしさを多くの人に体験してもらって、もっと犬と一緒にアウトドアを楽しむことが当たり前の世の中になってほしいなって思っています。これからも、私なりに犬連れ登山の最初の一歩がぐっと近くなるような発信をしていきたいですね。


自然や山を人のモノだと思ってしまいがちですが、人に限らずあらゆる生き物にとって恵みの地。愛犬との絆を深めたり、愛犬のリフレッシュに犬連れ登山にぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか?今まで見たことのないような愛犬の姿を見ることができるかもしれません。

河本さんの犬連れ登山がいっぱいのinstagramアカウント(mihoko0726
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ライター:
羽田裕明
タグ: ペット登山