開放的な空の下で調理をして美味しいご飯を食べる。
アウトドアの醍醐味の一つと言って良いですよね。
その楽しみ方は人それぞれですが、最近はかなり凝ったものが増えてきました。
では、アウトドア料理における「豊かさ」ってなんだろう?
豪華な食材?
素材そのままの味を楽しむ?
こだわりの道具?
.HYAKKEIとしての一つの解は、『シンプルな中に、一手間かけたこだわり』
長野県茅野市にあるアウトドア体験施設「CLUB3719」とコラボしてお届けする、そんな「豊かさ」を探求するアウトドア料理連載、スタートです!
記念すべき第1回は「本場のBBQ」。きっとあなたの「BBQ」の概念が覆されます。
では早速レシピをご紹介していきましょう。まず、全体を通して使用するものをご紹介します。
これだけ見てもBBQという言葉からは想像がつかない手間のかけ方です。
季節を感じることができるハーブや野菜は自家菜園で育てたものを。この日は本格的な秋に入る前の11月上旬。雲から顔を出す八ヶ岳が美しい。
スーパーで売っている味付け肉を買って早速BBQ?
効率重視もいいけれど、「豊かさ」はちょっとしたひと手間から。下ごしらえからじっくり楽しみましょう。
1.フォークで肉の表面に穴を開けていきます。4面すべてに対して行いましょう。これによって味の浸透を高めます。
2.小さじ2の塩胡椒でもみこみます。
3.ジップロックで以下の材料と共に漬け込みます。
特製はちみつのレシピ。はちみつに、クローブ、レモン、シナモンスティック、カルダモン、胡椒、ローズマーリーを合わせます。
4.2〜3日寝かせます。
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チキンは日を置かずその日に下ごしらえを行います。これは時間を置き過ぎるとスープや水分が抜けてしまうためです。
以下材料をチキンと混ぜ合わせます。
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下ごしらえができたら、いよいよ火を入れていきます。いわゆる「よくある日本式のBBQ」は焼肉ですが、本場のBBQは、「燻す」んです。日本式のBBQを海外の人が見ると、「それはBBQではなく、ブロイルだね(broil=焼く)」と言うそうですよ。
燻す文化は日本でも燻製があります。燻製にも冷燻・温燻・熱燻の3種類がありますが、BBQは100度以上の熱燻を指します。
では早速作り方を見ていきましょう。
1.ざらめ入りウッドチップで燻す
ウッドチップとざらめを1:1の比率で混ぜ合わせます。
食材をグリルに乗せ、蓋をして燻します。CLUB3719では本場アメリカのブランド、weberのグリルを使用しています。
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2.段階的に追オイルを繰り返す
燻している間、食材が乾かず水分を保つように、グリルから食材を出し追オイルを数回に渡って行います。オイルの材料は以下の通り。
3回ほど「燻す→追オイル」を繰り返すと、この通り。ジューシーさを保ったまま、ざらめもコーティングされ照りのある焼きになります。
3.ウッドチップは焦がす前に何度も入れ替える。これ重要。
追いオイル、ウッドチップの入れ替えを経てよく焼けたら完成です。蓋を開けた瞬間の煙が立つ姿、これも日本式のBBQでは楽しめない本場スタイルならではの醍醐味。
ざらめがコーティングされ燻された食材から出る独特の甘い香りが、食欲を掻き立てます。そこには焼肉のタレの甘辛い香りはありません。
盛り付けにもひと手間を。味付けに使用したハーブや調味料などを改めて周りにあしらえば、よりストーリー性のある料理へと引き上げます。
豚肉は一つはブロック状のままワイルドに、もう一つは食べやすいサイズに切って盛り付けます。
チキンバーも盛り付けて見た目も一味違う本場のBBQが完成。
日本式のBBQはその場で各自が焼きたい商材を焼いて、そのままつまんで食べるのが一般的。けれども本場は、おもてなしの料理。オーナーがお皿に盛ってそれを皆でいただくスタイルです。
こうしたスタイルであれば、河川敷などでのBBQのみならず、ホームパーティーにもぴったり。BBQがおもてなしの料理だということが理解できるのではないでしょうか。
味はもちろん申し分なし。ざらめによってコーティングされた表面は甘みを感じながらも、ハーブを中心にしっかり下味をつけた中は豊かな香りとお肉のジューシーさが溢れてきます。
いかがでしたか?
本場のBBQスタイルとひと手間かけた調理で、BBQを楽しむ時間はより豊かになります。食材さえ揃えば調理自体も大変ではあありません。大切な仲間と過ごす時間に是非トライしてみてください。
次回はアウトドア料理の王道、ダッチオーブンを使ったローストチキンもワンランクこだわった形でご紹介します。
(写真:村上岳)