こんにちは!.HYAKKEIライターの弥山ひかりです。
今日の屋久島は、晴れ。雨の多い島では晴れの日は貴重なので、どの山へ行こうか胸が高鳴ります。
前回は、海のように深い白谷雲水峡の森をご紹介しました。
白谷を初め、森はあまりに雨が降ると川が増水するので危険ですが、小雨程度なら、むしろ清涼な気持ちのいい森歩きができます。
しかし今回ご紹介するのは、空を突き刺し、約4〜50mの天柱石がそびえる太忠岳!
晴れた時こそ必ず行きたい、宇宙との繋がりを感じるところ。
「縄文杉より天柱石」へ! と、ついゴリ押ししてしまうほど、自信を持って勧めたい、インパクトのある場所です。
ヤクスギランド→天文の森→太忠岳山頂(天柱石):往復約6〜7時間
太忠岳登山は、ヤクスギランドから始まります。標高1,000m付近にある自然保養林で、整備された歩きやすいエリア。樹齢1000年を超える仏陀杉や母子杉などの屋久杉と出会える、ただ通過するにはもったいないほど古く貴重な森です。
ヤクスギランド駐車場には、売店やトイレがあります。さらにそこからは、これから目指す天柱石がお目見え!猫耳ピークの右が天柱石、左が花折岳です。
ヤクスギランドを通過すると、天文の時代(1500年頃)に伐採され、更新されたという森へ。ここからは一気に森の雰囲気が濃厚になり、ヤクジカやヤクザルの楽しそうな鳴き声が響き渡ります。おしりがかわいい…☆
森の回廊、という言葉がぴったり。この森を歩くと、「風の谷のナウシカ」の朽ちた木が砂になる腐海の深部を思い出します。
精霊たちが遊んでいそうな水場。古今東西の物語に出てくる精霊は清い水と美しい森が好きだそうですが、それが本当ならここはまさに彼らのすみか。
水場から少し先まで、木々の枝に垂れる苔類「サガリゴケ」が多く見られる場所があります。サガリゴケは特に日当たりを好むので、このあたりは光に恵まれた森の一角であることがわかります。
このあたりは不思議と心が落ち着く場所。ぜひ、休憩がてらのんびりと過ごしてみてくださいね。
天文の森から先は、急登が続きます。ひたすら登ると、突然視界いっぱいに巨大な岩が!カメラにおさまりきりません。
さらに続く急登、岩場を抜け山頂付近までさしかかると、ふいに冷たい風が吹き込んできます。ここで一旦ハードシェルを着込んで防風対策を。いよいよ森を抜けるとそこには…
岩の背中のようにも、よく見ると人の顔のようにも見えますね!
画像右下にあるロープをよじのぼれば、台座に上がれます。
台座から見上げた天柱石。長年の雨によって浸食された、自然の作り出す岩の曲線美がみごとです。岩のてっぺんのアンテナは、何をキャッチしているのでしょうか。
いったい何の力で、いつからここに立っているのか…。実際に肉眼で見ていると、頭の中の常識がどんどん覆されるような、ぐらぐらした感覚に陥ります。
台座の上は風が強いので、防寒対策をしっかり整えてからランチタイムへ。昼寝をするのにも絶好の場所。雲がなければ、愛子岳や安房が見渡せます。
台座を一度降りて天柱石の北へ回り込むと、一品宝寿大権現の祠があります。この太忠岳もまた、島の人々にとっての神様の山なのが伺えますね。無事に来られたお礼参りをして、下山します。
記事のトップ画像は、屋久島のエコツアーガイド「森の旅人」さんから提供してもらいました。こちらは、普段から屋久島の山々を駆け巡るガイドのNAOさんが、太忠岳の朝焼けを撮影した貴重な写真。海から昇る朝日と、天柱石のシルエットが悠久の時を思わせますね。
◆アクセス
・安房からバスで約40分、宮之浦港から約70分。但し本数が少ないため、時刻表を要確認。※宮之浦~ヤクスギランド線は12月1日~2月末日まで運休。なお、冬期、雪のため通行止めの場合あり。
・駐車場40台