ファミリーが安心して楽しめるキャンプ場を作る。ケニーズファミリービレッジの苦闘と挑戦

都内から2時間足らず。ファミリーに大人気の「ケニーズファミリービレッジ」オートキャンプ場はご存知でしょうか?GWや夏休みはもちろんのこと、週末は子どもたちの声で賑やかな雰囲気になるこの場所でお話を伺ってきました。

最初は鳴かず飛ばずだった

——統括マネージャーでいらっしゃいます川口泰斗さんにお話を伺います。よろしくお願いします!

よろしくお願いします!

——まずはケニーズファミリービレッジのここまでの歩みを教えて頂いてもよろしいでしょうか。

キャンプ場としては1994年に創業して今年で23年目です。会社全体としては53期目になります。

もともとはキャンプ場の隣にある鳥居観音の保養所としてこの場がありまして、ちょうど23年前にオートキャンプブームだった時期にそれを取り壊して、キャンプ場を始めたのがスタートです。ただ私が入る前(5〜6年前)までは、アウトドアブームの終焉とともに鳴かず飛ばずの期間が続いていたんですよ。

——え、そうなんですか。勝手なイメージですけど、来る度にお客さんがいっぱいなので、ずっと人気のあるキャンプ場だと思ってました。

いやいやいや、全くそうじゃなかったんですよ。

ちょうど4〜5年くらい前でしょうか。キャンプ場のスタッフがキャンプを知らないのはマズイだろうということで、オートキャンプ協会のインストラクター講習に参加しました。

そこから今のようなケニーズファミリービレッジが始まったんです。それまではほとんどキャンプ場業界内では知られてなかったと思います。

川口さん含め、3名の方が社団法人オートキャンプ協会公認インストラクターです

——そうなんですね。じゃぁお客さんも今より全然少なかったんですか?

はい。キャンプ場としての集客は、天気が良ければそれなりにお客様が来て下さいますけど、悪ければ少なかったですし、GWと夏休みだけお客様が入って後はポツポツとお客様がいるような状況でした。ただ、おかげさまでここ数年でお客様は5〜6年前から3〜4倍くらいにはなりました。ありがたいことです。

——すごい伸び率ですね。何か大きなキッカケはあったのですか?

先ほども少し触れましたが、オートキャンプ協会の講習が1つのキッカケで、あのタイミングで自分たちの意識も変わりましたね。

キャンパーさんとのつながりもそうですけど、同じキャンプ場の皆さんと繋がることで比較することができた。そこからでしょうね。変えようと思ったのは。

「自分たちはファミリービレッジなんだ」

——ケニーズファミリービレッジといえば、利用に際して「25歳以上(子供を除く)」という年齢制限があることも特徴の1つですが、この制限もその変革の時期に導入されたんですか?

そうですね。色々と変えていく中で、頑張った分だけ結果的にお客様が増えました。しかし、エリアの特性として首都圏から近いということもあって、若者が「おい、BBQをやって騒ごうぜ」ということでそういったお客様が増えまして。

そういった方が別に悪いというわけではありませんが、色々と口コミなどで「あそこは客層が良くない」ですとか、そういった話が出てしまいました。ケニーズ自体は結構ミニマムなキャンプ場なので、1組そういったお客様がいると全体に影響が及んでしまうんです。

そういったことがあった時に、自分たちが目指すべきところはどこなんだろうと考えまして。「あ、自分たちは名前にもついている通り、ファミリービレッジなんだ」と。基本に立ち返って家族向けに転換していきましたね。

——年齢で区切るって、難しいところですよね?反響とかってあったんですか?

そうなんですよ。そこはすごく難しくて。半年くらいずーっと悩みましたね。これをやっていいのか。

本当はどんな年齢層にも間口は広げておきたいという思いはあります。小さい頃に家族で一緒にファミリーキャンプもとてもいいですけど、気の合う仲間と行ってキャンプするその思い出もいいと思うんですよ。だから、本当に悩みました。

ただ、この辺りは近隣に住宅も多くて、それこそあまり大きなキャンプ場ではないですし、地域の方とも仲良くやっていくべきだと思いました。そういった観点から年齢制限を設けさせて頂きました。

正直な話、私がしたこの選択はキャンプ場業界にとっては本当はよくないのではなかったのかなーと思ってますね。ファミリー層には本当にいいものを提供できるとは思っていますが、全体を通してみるとどうなんだろうということで申し訳ない気持ちもあります。

——難しいところですよね。ただ、その決断があったからこそ今のケニーズがあるわけですよね。

そうですね。ちょうどファミリーに転換しようと考えた時に、正直いってやはりお客様を制限すると経営的には難しいところがあるんですよ。

ただ、その時に「子どもと一緒に遊びに行こう!」というコンセプトの「いこーよ」というサイトと出逢うことができまして。あちらもちょうど立ち上げの時期で一緒になって作り上げてくることができました。おかげさまでアクセスランキングでも上位になることができましたね。

いこーよのサイト内での検索は常に上位

——そんな経緯もあったんですね。ファミリー向けということで、先ほどの年齢制限とも重なりますが、25歳以上の若いファミリーキャンパーってどうですか?いらっしゃいますか?

そうですね。最近は若いご夫婦、ファミリーは増えた印象がありますね。

——キャンプブームとも言われてますけど、その辺りはキャンプ場としてどのように感じてますか?

増えているのは間違いないですね。ただブームとかはあんまり意識してません。立地的に都心から近いので、ぜひ気軽に来てほしいなっとは思ってます。

この夏オープン予定の新規キャンプ場のコンセプトは”古民家、和”

——そういえば新しいキャンプ場をスタートされるんですよね?

そうなんですよ。25年位前からやっているキャンプ場なんですけど、もともとそこは1640年に作られた今でも住まわれている古民家がありまして。その一部をキャンプ場の受付や宿泊施設として提供しようと考えてます。

河原をキャンプサイトにして、「古民家×キャンプ場」というような、和風でレトロなニュアンスのキャンプ場にしようと考えてますね。

こちらが1640年に建てられた古民家

——いやー、新しいですねー。ケニーズとは全く違う雰囲気になりますね。

はい、全く違います。和をテーマにしてますので。家族を大切にする、古いんだけど、里山のおじいちゃん家に帰ってきたようなイメージにしたいと思ってます。最近手をつけたばかりですけど、そういったイメージでやってますね。歴史や文化を感じてもらえるような場所にしたいです。

——もうこのGWから予約もとれるんですか?

5月に関しては昔の料金形態のままオープンさせて頂きまして。6月に水場周りの大きな改修をして本格的なスタートは7月からですね。

気軽に来て欲しい。必ず何か楽しいことを提供できるから

——川口さんご自身が思う、ケニーズの魅力というか好きなところってどこですか?

んー。難しい質問ですね(笑)

安全に利用できるところでしょうか。キャンプ場業態として、だいたい平均100サイトくらいの中でうちは60サイトなのでそれほど大きくないですし、基本的に安全に一番配慮をしています。

不安が少ないといいますか。いい意味で全体的にコンパクトなので親御さん、そして我々スタッフの目が届かない場所が少ないという意味でもファミリーに安全なキャンプ場になってます。

サイトの横を流れる川も穏やかですし、夏に作る天然プール(川を一部せき止めて作るプール)もかなり安全に配慮して作りこんでいます。

夏の風物詩「天然プール」の様子 ※ケニーズファミリービレッジ提供

小さな子供が水遊びをしながら安全にキャンプできるという点では、他にあるような「駐車場代だけ頂いてあとはご自由に」というような形でない、安全に楽しめる場所です。

——なるほど。たしかにそうですね。最後の質問です。キャンプ場という場所、自然を楽しんでもらうために川口さんやケニーズが取り組んでいこうとしていること、考えていることはありますか?

あまり構えずに気軽に来て欲しいなって考えてますね。東京からも非常に近いですし、ちょっと足を伸ばせばここまで来ることはできると思います。

ここに来れば何かしら遊ぶことができますし、ディズニーランドなどの商業施設ももちろん楽しいとは思いますが、自然の中の方が気づくことも多いだろうと思ってます。

先ほどの若いファミリーキャンパー向けではないですけど、キャンプ初心者ですとか、あとは女性向けも意識してますね。

炊事場やトイレ、シャワーなど全体的に清掃が行き届いて非常に綺麗

「あそこはまぁ近いし、レンタル品も多い。トイレとか施設も綺麗で手が入っているから、不快な思いもしないし、あそこへ行くのは良いよ!」

って言って頂けるように準備をしてます。

ちょっと田舎に行けば、時間とともに味が出てきているような建物や遊び場があって。そこで遊んだりすれば、楽しんじゃないのかなーって思うんですよ。来れば何かしらのいいキッカケを与えることができると思ってますので、ぜひ気軽に遊びに来て欲しいって思ってますね。

新しいキャンプ場も含めまして、皆様のご来場心よりお待ちしております!

——川口さん、お忙しい中ありがとうございました!


東京都内から2時間弱。安全に楽しいキャンプができるケニーズファミリービレッジでキャンプを楽しみませんか?

*ケニーズファミリービレッジ
埼玉県飯能市名栗にある家族連れを中心としたオートキャンプ場
http://www.kfv.co.jp
問合せ・予約先:042-979-0300
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ライター:
佐久間 亮介