素材、質感、雰囲気にこだわった木工製品を中心に展開している「シエルブルー」。
最近では、国内のみならず海外のファンも多く、問い合わせが増えているという。
どこかぬくもりがあって、優しい存在のテーブルやチェアー。
そんな製品たちは一体どうやって生まれているのか?
今回、シエルブルーのアトリエにお邪魔して、根掘り葉掘りイロイロとお話を伺ってきました。
―― イキナリですが、業界内で茨木さんは「ワカ」さん、奥さまの実加さんは「アネゴ」さんと呼ばれていますよね。今回もそんな風にお呼びしてもいいですか? それと、どうしてそのような呼び名がついたんですか?
―― ところで、「シエルブルー」は、いつどんな風にして誕生したのでしょうか?
―― えっ、そうだったんですか。それはどんな出会いだったんですか?
当時は、アメリカから買い付けてきたスニーカーや古着、雑貨、その後にはストリートブランドなどを販売するセレクトショップを経営したり、アメ車の販売とメカニックを自営していたりしていました。そんな中、アネゴのお姉さん夫婦の影響でキャンプの楽しさを知ったんですよ。
その後に、昔から腰が悪かったのもあり「じゃあイスでも作ってみようかな」と思ったんです。仲間と集まる度に、「こんなテーブルあったらいいよね」とか、「今度はこんなの作ってみたんだけど、どう?」って感じで、自作のイスやテーブルを披露していました。
―― そういう集い、とっても楽しそうですね!
で、身近なキャンプ仲間や、口コミで広まっていって、少しずつですが、販売するようになったんです。一般の方向けに売り始めたのは、2010年の秋くらいですね。ホームページを立ち上げて。なので、今年で6年目になります。
―― すごい! もともとそういった才能があったということですよね。設計したり、木材を加工したりする技術は持っていたのでしょうか?
休みの時や夜には、大工の先輩の手伝いで大工仕事を一通り覚えて。でも図面を引いたりは出来ないので、シエルブルーの製品にはこれといった図面がないんです。
僕が思い浮かんだイメージを何となくサンプルで作りつつ、イラスト上手なアネゴに伝えてそれを絵におこしてもらって、製品を煮詰めていくといった感じかな。
―― シエルブルーの製品は、1点1点がすべて夫婦2人による手づくりですよね。となると、アネゴさんも木工経験があったのでしょうか?
流れとしては、まず製品のコンセプトは2人で考え、彼が作ったサンプルをわたしがチェックして、変更を加えたりして。最終的に仕様が決まったら、工程を彼に教わりながら一緒に作っています。
―― なるほど、まさに2人3脚ですね。製品にはどのような木材を使っているんですか?
ホワイトアッシュ材は野球のバット、ボートのオール、ギターにも使われる素材として知られていて、硬さと撓りのバランスが非常に良い木材なんです。地元、岡山県の木材屋さんから今でも送ってもらってます。
―― もしかして、付属の収納袋も……
―― それって、シエルブルーの製品にまさにぴったりの生地ですよね。使っていくことで風合いが増すというか。いろいろなところで、ワカさんご夫婦と製品がリンクしていますよね。そういった想いって、なんだか素敵です。
―― 収納袋も手づくりですか?
―― 現在の納期は、オーダーからおよそ2か月待ちと聞いています。着々とシエルブルーファンが増え、それに伴いオーダーもかなり増えていると思うのですが、人数を増やしたりするなどして規模を大きくする、という手段はとらないのでしょうか?
試しに外注に出してみたこともあるんですよ。たまたま残念な工場だったんだと思いますが、でも我々からしてみたら、正直「なんじゃこれ!」っていうような仕上がりで。
シエルブルーの製品は、ぬくもりを大事にしています。野外だけじゃなく、家の中でも日常的に使ってほしい。そうなると、カドの処理が甘かったり、表面が毛羽立っていたりしたら危ないし、心地良くないじゃないですか。
―― 確かにそうですね。想いの込もった製品って、暮らしのなかでもついそばに置いておきたくなる気がします。
言ってしまえば、僕たちにとって製品は自分の子どもみたいな存在なんですよね。だから他人に任せず、手元に置いておきたいというか、目の届くところに置いておきたいというか。
いずれシエルブルーを辞める日が来たとしても、自分が生きているうちはメンテナンスを受けたいとも考えています。それが「モノづくり」をするっていうことなんじゃないかなって。
―― 最近では、さまざまなメーカーとコラボレーションもしていますよね。アウトドアメーカーの「SOTO」とコラボした、100台限定の「ワンアクションミニテーブル」も話題になりましたし。どういった経緯でコラボ製品が生まれるのでしょうか?
じつはここだけの話、また新たなコラボも近いうちに予定しているんです。詳しいことはまだナイショですが、ぜひお楽しみに! この春には新製品もいくつか出ますよ。
―― 発表が待ち遠しいです!
ところで話は変わりますが、今日はアトリエ兼ショールームにお邪魔しているんですが、とても素敵な空間ですね。これもすべてお2人でリノベーションされてるとか。
―― この家屋はもともと昔ながらのふとん屋さんだったと聞いて、とても驚きました。どんな風にリノベーションのアイデアが浮かんでくるんですか? わたしの家もぜひ手掛けてほしいくらいです!(笑)
アトリエの仕切りガラスは、ふとん屋さんが使っていて残っていたものです。この扉の取手は、修理できなくて使えなくなった某メーカーのハンマーを(笑)
―― センスが秀逸です! 随所に遊びゴコロを感じるというか。ワカさんご夫婦もいろいろなアウトドアをやられているんですよね?
―― 趣味の数だけモノも多くなると思うんですが、ギアの収納ってどうしてますか?
―― すごい!!まるで魔法のトビラですね。眺めているだけで、なんだかソワソワしちゃいます…。ちなみに、愛用しているお気に入りの製品を1点教えてください。
ちなみに、カモ柄のモデルは5周年の限定バージョンです!
―― 最後に、今後の展望をお聞きしてもよろしいでしょうか?
例えば、メディアに向けたキャンプサイトコーディネートやプロデュースなども面白そうだなと思っています。実際、アウトドアイベントなどの空間コーディネートを時々することもあるので、もう少し力を入れていきたい。こういったアウトドアの空間を、もっと多くのひとに知ってもらいたいですね。
2人の手元を離れた製品には、製作者の「想い」と「ねがい」が託されている。
日々の暮らしのなかにも自然と溶け込み、ときに安らぎや、ぬくもりを感じさせてくれる「シエルブルー」。
今後の展開にも目が離せません!
*Ciel Bleu シエルブルー
http://www.cielbleu-at.com/(オンラインショップあり)
聞き手:山畑理絵(ライター)