世界中には、いまだかつて誰も登頂に成功したことがない未踏峰の山がいくつもあります。未踏峰な理由はさまざまですが、誰も登頂成功者がいないのには何かしら訳があるはずですよね。今回はそんな世界各国にある未踏峰の山を、理由とともに6つご紹介します。
これらの山々は、なぜ今だに未踏なのでしょうか?理由はさまざまありますが、主に2つあります。
未踏峰である大きな理由の一つに、あまりにも危険だという点があります。足場が悪いだけでなく、反り立った壁や岩場などが障害となり登頂を阻んでいるケースも多々あります。
また、未踏峰であるないに関わらず、山の上は天候が変わりやすいという特徴があります。そのため、途中で危険を感じてリタイアする人が後を絶ちません。
いまだに未踏峰の山がある理由の二つ目として、政府がそもそも山に立ち入ることを禁止していたり制限していたりするからです。
立ち入りを禁止している理由は、未踏峰の山によって異なります。単に危険だからという理由もありますが、宗教上の理由で立ち入りを禁止している山もあります。
山は神聖なものとして、古来よりさかんに山岳信仰をしてきた地域では、立ち入りを禁止していることも珍しくありません。
ネパールの中北部に位置するマチャプチャレは、標高6993mある未踏峰の山です。2つの山頂が連なっている様子が魚の尾に見えることから、ネパール語で「魚の尾」を意味するマチャプチャレと名付けられました。
地元住民の方から神聖な山として崇拝されているため、ネパール政府が登山を禁止しています。そのため、現在でも未踏峰の山となっています。
ガンケルプンスムは世界で一番幸せな国とも呼ばれているブータンにある標高7550mの山です。
ブータン王国とチベット自治区との国境付近に位置し、両国民からとても愛されているシンボルのような山です。
過去にはイギリスや日本の登山隊に対して登山が許可されていたのですが、1994年にブータン国内にある標高6000m以上ある山の登頂を禁止する法律が出されたため、いまだに未踏峰の山となっています。
梅里雪山は中国雲南省とチベット自治区の中間に位置する山で、標高は6740mあります。過去には各国の登山隊が幾度となく登頂にチャレンジしたものの、あまりの険しさから登頂成功者はいまだに1人もいません。
山の付近には、流れの急な3つの川が流れており、その川によって山が侵食されたことで、かなり険しい山となっています。また、インド洋から吹くモンスーンの影響により、天候が常に激しく変わることから、登頂は困難を極めます。
2000年に中国政府が法律で登頂を禁止したため、以後登頂は不可能となりました。
カイラス山も同じく中国にある標高6656mある未踏峰の山です。カイラス山はチベット国民の間では「尊い雪山」として信仰されているため、これまで一度も登山許可が降りたことはありません。
しかしカイラス山の周辺は巡礼路としてとても有名なので、常に多くの巡礼者でにぎわいを見せています。
ザンスカールはインドにある高地の地名で、実は山の名称ではありません。ザンスカールにはたくさんの山頂があり、その中でも未踏峰なのはL11峰と呼ばれる標高6045mの地点です。L11峰は特別登頂が禁止されているわけではないですが、ザンスカール高地は厳しい寒さと大雪のため、今でも未踏峰となっています。
2012年には日本の大学生が「日本山岳会学生部ザンスカール遠征隊」を結成して登頂にチャレンジしましたが、あと一歩のところで断念したという過去があります。そして今もなお、登頂成功者はいません。
キュンガリはヒマラヤ山脈の中央部にある山で、標高6559mの山です。チベット自治区とネパールの国境付近にあるのですが、実は地元の地図に正確な場所の記載がないため、行こうと思っても行けないのが現状です。近くまで行けたとしても、登山ルートが開拓されていないため、現実的に登頂は不可能となっています。
世界各国にある未踏峰の山を6つご紹介しました。改めてこれらを見てみると、ネパールやチベット自治区にまとまっているのがよく分かります。単に危険だからという理由以外にも、宗教上の理由などにより法律で禁じられていることもあるようです。
そんな未踏峰の山々ですが、近くから眺めるのはOKなので、もしネパールなどに行くことがあればその雄大な山々をチェックしてみるのも面白いかもしれませんね。