苗場山といえば、夏はフジロック、冬はスキーで大人気の苗場プリンススキー場を麓に抱き、新潟と長野にまたがる標高2,145mの静かな山域。まるでナイフでぱっくり切り取ったように、水平に広がる独特の山容が、「空中庭園」を想像させる魅力的な山です。
今回は、山頂部での爽快な散歩をゆったりと楽しみ、朝陽で黄金色に染まる大地を見るための「苗場山1泊登山」をご紹介します。
苗場山登山は、マイカーアクセスが可能な和田小屋から入る祓川コースがメジャーなルート。…なのですが、紅葉シーズンのみ営業している「田代ロープウエイ」を使えば、秋の期間限定で楽しめる“幻の田代ルート”へのアクセスが可能(※1)!
さらに、ロープウエイ開始が9時と遅いため、小屋泊でなければなかなか歩けない静かなルートです。
越後湯沢駅からバスを乗り継ぎ、田代ロープウエイに乗ります。日本一の瞬間地上高(!)、230mの高さから染まりゆく渓谷をおそるおそる見下ろします。
例年より一週間ほど色づきが早いそうで、すでに麓まで鮮やかに染まり始めていました。
田代ゲレンデを登山口まで登り、赤く染まるブナの林へ入っていきます。まずは苗場山8号目にある「神楽峰」へ。尾根が近づくほど、急登になっていきます。朝露で湿った柔らかな落ち葉を踏み歩いていきましょう。
尾根へ出ると、シラビソの茂る林へ。しだいに視界が開けてきます。
手前が神楽峰、その奥に、盛り上がって見えるのが苗場山です。遠目に見ても、どこが山頂か見当がつかないほど平らな山ですね!
尾根を登り切ると、祓川コースとの合流地点へ。神楽峰からは爽快な稜線歩きが続きます。
笹が生い茂る富士見坂を、どんどん下っていきましょう。コル(山と山を結ぶ稜線の窪んだ按部のこと)まで行くと、妙高山や火打山が見えてきます。
唯一の湧き水スポット「雷清水」で給水。この近辺はぬかるんでいるので、足もとに要注意!
この尾根を、右手側に巻きながら登り詰めていきます。ハイマツ帯まで入れば、山頂はもう少し!
前をゆく人が、さいごの急登を登り切るたびに歓声を上げています。もう一刻も早くその景色が見たくて、思わず木道を駆け出すと…!
まるで大地をぱっくりと切り取ったかのように水平に広がる、苗場山山頂部へ!
来た道を振り返れば、越後の山々が一望できます。
ほっとひと息つく前に、山頂すぐにある山小屋「苗場山自然体験交流センター」で受付を済ませてしまいましょう。
続いて、苗場山の夕陽や朝焼けの様子とともに、知っておきたい山小屋Q&Aをお届けします。
知っておきたい山小屋泊Q&A!〜苗場山で黄金の朝陽を見る2日目〜 – .HYAKKEI[ドットヒャッケイ]
(※1)田代ロープウエイの営業期間、詳細については公式サイトをご確認ください。
http://www.princehotels.co.jp/ski/naeba/dragondola/tashiro_ropeway/
(注)田代コースはロープウエイの出発が9:00なので、山小屋一泊向き、日帰りには不向きなルートです。日帰りピストンを予定されている方、また田代ロープウエイ営業期間外にご利用の方は、和田小屋からスタートする祓川コースがおすすめです。