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【真似されるものを作ったら勝ち】アウトドアのものづくりと生き方を学ぶ、世田谷ものづくり山学校 Vol.4

.HYAKKEIコミュニティマネージャーの武石です。

久しぶりの開催となった「世田谷ものづくり’山’学校」。雲一つない、アウトドア日和な快晴の日曜日、50人ほどの方に会場の世田谷ものづくり学校にお集まりいただきました!

第4回となる今回のテーマは「火のぬくもり」。
ゲストは高い技術力とオリジナリティで世のULハイカーを魅了するSanpo’s Fun Lite Gear、SOLA TITANIUM GEARの二組。今回もトークセッションとワークショップの二本立て、全員参加型で「ものづくり」を楽しむ1日となりました。

おなじみの会場、オープン前の世田谷ものづくり学校、2Fスタジオ。
両ブランドの物販スペースも

既存製品よりもっと小さく、軽く、快適に。

第一部は、.HYAKKEI編集部とゲスト二組による、写真を見ながらのトークセッション。それぞれ、どんな想いで、どんなプロセスを経てブランドができあがり、どんなこだわりがあるかを大いに語っていただきました。

Sanpo’s Fun Lite Gearのサンポさん(写真左)、.HYAKKEI編集部の大内(写真右)

もともと玩具メーカーに勤務されていたSanpo’s Fun Lite Gearのサンポさん。当初は会社勤めをしながら趣味の範囲で登山を楽しんでいましたが、既存製品の重さや使い勝手に疑問を感じ、改良を始めたのがブランドの原点とのこと。加えて自身の製品が著名人のSNSにより拡散されたり、海外のメディアに掲載されたりしたことで、ブランドとして確立させる決心がついたそうです。

製品がULのレジェンドと言われるGlenVanPeski氏のTwitterで拡散されたときのエピソードを紹介

今ではSanpo’s Fun Lite Gearの代表的製品であるアルコールストーブは、改良を重ねることで既存製品と比べておよそ10分の1程度まで軽量化を実現したこともあるとのこと。
過去には、アメリカの加圧式アルコールストーブに着火した際に爆発して、家の中が危うく火事になりかけたという恐怖体験エピソードも語ってくれました。(この記事を読んでいる皆さんも、アルコールストーブを扱う際は、安全に十分気を配って楽しみましょう!)

Solatitaniumgearのフウソラさん

もう一組のゲストは、ULのショップで大人気のブランド、SOLA TITANIUM GEARのフウソラさん。メーカー勤務で培った製品開発・品質改良のノウハウをもとに、友人からの依頼でアウトドア用テーブルを作ったことがブランド立ち上げのきっかけだったとのこと。他の素材に比べて強度がありながらも軽く、劣化がしにくいチタンにこだわり、「より長く製品を愛してほしい」という想いでものづくりをされています。

製品になる前のラフデザインを見せていただいたり、ロゴマーク制作時の話では、「デザイナーから多数案があがってきたものの、スペルが間違っていた」というエピソードを披露してくださったりして、会場の笑いを誘っていました。

ロゴマーク作成の裏話を披露。

話は、ブランド立ち上げのきっかけから現在の製品につながるものづくりのこだわりへ展開。

「何かの製品を真似するよりは、どうせやるなら誰も見たことのない、作ったことのないようなものを作りたい。トライアンドエラーを何度も繰り返して良いものができていく過程こそが楽しい。それがものづくりの醍醐味です。構想から完成まで5年くらいかかって商品化するものもある。それでもまだ改良を重ねて、磨き上げる。単純にギアを買って楽しむだけでなく、自分なりの工夫をして、”ものづくり”と”アウトドア’を掛け合わせて新しいものを生み出す。そんなギアを使って、たとえば山でコーヒーを飲むととてもおいしいですよ。」と語るフウソラさん。

それに対し、「特にエラーが大事だよね。エラーを重ねないと良いものはできない。僕のアルコールストーブも、火力調整できるようにするために試行錯誤を重ねました。最初から理想があるというよりは、足したり引いたりして良いものを作っていくんです。」と共感を見せるサンポさん。

.HYAKKEI編集部編集長の羽田(左)も興味津々で話を深堀していきます。

ゲスト二組に共通しているのは、既存製品に満足せず、「もっと軽くできないか?」「もっと快適に、使いやすくできないか?」と探求心を持って改良を重ねながら、そのプロセスを心から楽しんでいること。「ほしいものがなければ、自分で作る」と理想に向かうそのプロセスこそが、国内外のハイカーたちをうならせる製品を作るアイデアの源になっているのだと、改めて感じられました。

ゲストの熱いものづくりトークに聞き入る参加者の皆さん
休憩時間、物販スペースには行列が。
ゲストから直接購入できるところもこのイベントの魅力!

お気に入りデザインのアルミ缶で、自分だけの超軽量アルコールストーブを

第二部は、アルコールストーブを作るワークショップ。材料は、私たちの身近にあるアルミ缶。今回は参加者の皆さんに、お気に入りデザインのアルミ缶を持参していただきました。

ゲスト二組からのレクチャー

工程ごとに説明を聞きながら、ワークを進めていきます。

アクリルカッターで切り込みを入れていきます。
力を入れすぎないよう注意しながら蓋を外します。
切り込みを入れる部分に丁寧に線を引いていきます。
はさみを入れるときは慎重に、、、。

工程が進むにつれ、皆さんの作業スピードも上がっていきます。「ものづくり’山’学校」というイベントに参加される皆さんだけあって、心なしか飲み込みが速い方が多かったような、、、。わからないところは、同じテーブルの方同士で教えあいながら少しずつ完成に近づいていきます。

余分な部分は切り落とします。
サンポさんのレクチャーを受けつつ、同じテーブルの方同士教えあいながら進めます。
「なかなか良い出来ですね~」とほめられるグループも。
完成品は、こんなにコンパクト!

少しずつ、普通のアルミ缶がオリジナルのアルコールストーブに生まれ変わっていきます。
完成後は、早速アルコールオイルを入れて着火。ドキドキしながら見ていると、皆さんの作った小さなアルコールストーブから、炎が! 各所で歓声があがります。

アルコールオイルを入れて火がついた瞬間、歓声があがります!

13時に開始したイベントも、トークとワークショップに集中している間に日暮れの時間に。
総括でのサンポさんのコメントでは、「ものづくりの面白さはルールに縛られずに自分なりに改良して良いこと。今回作ったアルコールストーブも一応作り方はあるけど、自分なりに変えたっていい。人に真似されるものを作ったら勝ちですよ。」という格言をいただきました。

お二人のように製品を改良して磨き上げる、というところまでいかなくても、自分なりに少しでも「工夫をしよう」「改良してみよう」と意識するだけで、より快適で、より楽しいアウトドアライフが実現できるのかもしれない。そんなことを感じさせてくれるイベントとなりました。

4時間強という長丁場となりましたが、参加してくださった皆さん、本当にありがとうございました。
次回の開催はまだ決まっていませんが、.HYAKKEIでは「ものづくり」を通じてアウトドアを楽しみ、より好きになってもらうためのイベントや取り組みを、引き続き増やしていきたいと思っています。今後も「ものづくり’山’学校」をよろしくお願いします!

世田谷ものづくり’山’学校 Vol.4〜山や自然を楽しむものづくりの最前線

【場所】
IID 世田谷ものづくり学校 2F Studio

【ゲスト】
Sanpo’s Fun Lite Gear

SOLA TITANIUM GEAR

【主催】
.HYAKKEI

【協力】
IID 世田谷ものづくり学校

(写真:藤原 慶

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ライター:
武石 綾子