体験レポート

何度も参加したくなるのにはワケがある。参加者全員でフェスをつくる『MUJINTO cinema CAMP 2017』

実験的なプレイベントですでに話題となり、今年2017年、満を持して本格開催された「MUJINTO cinema CAMP」。前回の記事はコチラ → https://hyakkei.me/articles-464

参加者全員でフェスをつくりあげることを目指す完全DIY型の野外シネマ・キャンプフェスが、約2年かけてたどり着いた「フェス2.0」のかたちに迫りたいと思います。

スタッフも有料?!舞台は静岡県西伊豆の無人島

無人島という大人も子どももわくわくするロケーションで、星空の下芝生に寝転びながら映画を観る体験はまるで夢のよう。

写真:ryuta seki

今回の「MUJINTO cinema CAMP」には、一般から募集した30人あまりのスタッフが参加しています。彼らは、ボランティアでの参加ではなく、なんと参加者同様、スタッフチケットを買い、お金を払って参加しているんです。準備から本番までイベント運営を携わるのにお金を払っているなんて驚きですが、これは、提供する側と提供される側の垣根を少しでも取り払い、参加者も含めた全員でイベントをつくりあげるという新しい取り組みのひとつとなっています。

ゆったりのんびり、ここはまさに楽園

写真:hitomi fukuda

無人島に着いて、受付を済ませると、各々が自然の中でゆっくりと時間を過ごしているのが印象的でした。

写真:ayami kawashima
写真:hitomi fukuda

お酒を飲んだり、太陽を浴びながら芝生の上でのんびりする人。

写真:ryuta seki

用意されたプールで水浴びする人。

アクティブに釣りやカヤックをする人も。

写真:hitomi fukuda

まだまだ暑い会場には、かき氷も用意されていました。

写真:ayami kawashima

参加者の多くはキャンプ初心者。
1人から大人数でも宿泊可能な、おしゃれなテントをレンタルできるので、初心者でも安心して参加できます。

心地いい音楽でくつろぐ贅沢体験

写真:ayami kawashima

昼下がりのライブはナカムラマサ、Kusabana、Sisaretの三組。
青空に広がる歌声や、アコースティックギターの音色が心地よく響き、お客さんもリラックスしながら聴いていました。

写真:ayami kawashima

その間にライブペイントをしていたのは、イラストレーターのサイトウアケミ。
出来上がるのが楽しみです。

フェスを楽しむグッズをワークショップで手作り!

写真:hitomi fukuda
写真:hitomi fukuda
写真:ayami kawashima

会場には、ドライフラワーでフェスの髪飾りやキャンドルをその場で作れるワークショップや、昨年に引き続きウッドキーホルダーが作れるワークショップなど様々なワークショップが用意されていました。

写真:ayami kawashima

英国式リフレクソロジーで、さらにリラックスしている人たちも。

夕陽色に染まる無人島

写真:ayami kawashima

日が傾きかけてきた無人島は、一層ロマンチック。美しいサンセットを眺めながら、思い思いに黄昏れていました。

班ごとに協力して作り、楽しむBBQ

写真:ryuta seki
写真:ayami kawashima

お待ちかねの夜ご飯は、体験型ケータリングMo:take(モッテイク)のBBQ。
班ごとに、参加者自身でご飯をつくり、みんなで楽しみます。初対面の参加者同士も自然と会話が弾みます。

いよいよ星空の下、無人島で映画鑑賞

写真:ryuta seki

ライトアップされた会場は、明るい時間帯とガラっと雰囲気が変わり、ムーディな雰囲気に。
いよいよお待ちかねの映画がはじまります。

写真:ayami kawashima
写真:ayami kawashima

上映されたのは、『ビックフィッシュ』と『パプリカ』。雰囲気の違う2作品ですが、どちらもこのロケーションにぴったりの映画でした。それまでは無人島の解放感にはしゃぎっぱなしだった参加者も、非日常的な時間にどっぷりと浸っていました。

キャンプファイヤーで盛り上がりがピークに

写真:ayami kawashima

映画のエンドロールとともに、灯されたキャンプファイヤー。照らされた会場を盛り上げたのは、ZENZAMANとギャル電、NOMATH。

写真:ayami kawashima
写真:ayami kawashima

会場はキャンプファイヤーの炎が燃え尽きるまで大盛り上がり、熱いパフォーマンスは日付が変わって深夜まで続きました。

晴天の下、食べる朝ごはん

気持ちいい太陽の光で目覚めた2日目の朝。

写真:ayami kawashima

朝ごはんのシリアルやサンドイッチも参加者の手で作ります。昨夜ごはんをたくさん食べてお腹いっぱいだったはずが、朝にはお腹がぺこぺこでした。

無人島を最後まで楽しみ尽くす

写真:hitomi fukuda

スタッフも参加者も無人島で過ごす残りの時間も楽しみ尽くします。

写真:hitomi fukuda
写真:ayami kawashima

一緒になって映画の幕を片付ける姿には、提供する側と提供される側の境目など感じられませんでした。

写真:ayami kawashima
写真:ayami kawashima

西伊豆の田子漁港までフェリーで向かい、最後まで、無人島を満喫できる体験でした。

消費していくだけの仕組みを変えるエコシステムをつくる

写真:ayami kawashima

フェス2.0とは、提供する側と提供される側という対立する概念の溝を少しでも埋めて、参加者も含めた全員でイベントをつくりあげるということ。この新しい取り組みについて、主催のConstruct Film Worksの代表である三宅さんはこう語ります。

「例えば、店員と客という構図は、本来はその前にただの人と人なはずです。もちろん、サービスだったり対価としてのお金だったりという話はありますが、隣にいる人を少しだけ気遣ったり助け合えたら物事はもっと楽になるんじゃないかと考えています。そして足りないことを補填し合えたら、そこには自然なコミュニケーションが生まれるのではないかとも。そこに可能性を感じているんです」

写真:ryuta seki

「そしてもうひとつ。消費していくだけの仕組みを変えたいと思っています。コンテンツもサービスも人も、消費されるだけの循環から脱却する考え方をつくりたい。映画を含めたコンテンツについて生態系をもう一度きちんと作って、生産して、使って、活かす仕組みを実現したいんです。 そういった仕組みを生産する人を生産する、その試みのひとつがMUJINTO cinema CAMPなんです」

写真:hitomi fukuda

「企画する人、コンテンツを作る人、そこで遊ぶ人、スタッフとなる人、みんなトップダウンで配置するのではなく、土台からきちんと生み出す。僕らがやろうとしていることは、単なる体験型イベントというわけではないんです。参加して楽しんでもらうこともひとつの要素ですが、本当に重要なことはその物事の全体の生態系、エコシステムを作ることです。フェス2.0とは、これらに基づいてイベントをつくってみるという考え方なんです」

何度でも参加したくなるフェス

写真:hitomi fukuda

このフェスはどうだったとか、このイベントはこうだとか。
どこかでいつの間にか、フェスやイベントを消費していたような気がします。

このフェスをつくりあげることに自分も参加するからこそ、愛着が生まれ、単に良い悪いじゃなく、自分にとって特別ななにかとなる。一緒につくりあげた人たちとの時間が思い出となり、またこの地へ帰ってきたくなる。

このフェスが目指す「フェス2.0」という考え方こそが、何度も参加したくなる秘密なのかもしれません。

そして注目の新しいプロジェクトも始動!

このフェスの主催者であるConstruct Film Worksさんが「コミュニケーション型カフェバー」を新たに始動!こちらも要注目ですのでぜひチェックしてみてください!

■シネマフェス『無人島シネマキャンプ』運営会社が池尻大橋にカフェバーを作ります!
https://camp-fire.jp/projects/view/49182

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ライター:
金指 美菜