薪、燃やしてますか?
焚き火はキャンプへ行った際の楽しみのひとつであり、この火を見るためにキャンプに行く。という人も多いと思います。
そんな野外で行われていた焚き火が発達し、家の中でも薪で暖を取れるように進化したのが「薪ストーブ」。
家全体を暖める手段であり、なにより、炎を見ていると癒やされますよね。
そんな薪ストーブを自分で作ってしまった方がいるんです。
栃木県日光市の三依地区で自分で家を立てながら自給自足生活をしている「エコヴィレッジみより」の住人、七田 紹匡さんがその人。
七田さんは、住む家を作ったり、自然卵を生む鶏を育てたり、畑で作物を育てたり・・・と、本格的な自給自足生活をしています。
そして、なんと家では3台の薪ストーブを使っています。
今回は中でも自作の2つの薪ストーブについてお話をうかがいました。さて、薪ストーブは七田さんの生活にどう根付いているんでしょうか ?日光市移住体験ツアーの一環で三依に詳しい案内人に連れられ、七田さん宅にお邪魔しました。
建築中の家の中心にあり、ひときわ大きな存在感を放つのがこの暖炉ストーブです。
構想10年制作8年の大作。・・・そう、自作しているんです。
この暖炉型ストーブ。自作したというだけでも十分に驚くことなのですが、さらにサプライズがありました。暖炉だけではなく、裏にオーブンとクッキングストーブもついているんです。
暖炉の熱で部屋を暖めるだけではなく、その熱を料理にも使える。という機能的な暖炉。
便利な反面、それぞれのユニットの火力調整が難しい。
料理に最適な温度に調整するため、火力調整をしては温度を測定します。
慣れるには温度測定を繰り返し、試行錯誤するしかありません。
「ピザを焼くなど、オーブンをメインに使いたい場合は、オーブン側に薪を入れてガンガン暖めます。一回暖まれば、暖炉だけで温度が持ちますね。昨日もやったんですが、スモークもできるんです。ベーコンを作りましたよ。通常スモークを作る際は、ベーコンを70℃くらいの湯煎にかけて火を通してからスモークするんですけど、うちは塩漬けしたベーコンを80℃から90℃の温風で一気にやります。コントロールが難しいんですけどね。こっちの方が手間がかからないんですよ。」
ユニットとユニットの間には仕切りもついていて、メインの暖炉だけ使いたいときは仕切りを閉めて熱が逃げないようにします。
また、同じフロアにあるロケットストーブが稼働しているときは、暖炉だけを稼働しているときと温度調整の条件が変わるので難しいそうです。
続いて「ロケットストーブ」です。
七田さんがロケットストーブの存在を知ったとき、建築中の家は基礎が出来上がっている状態でした。設置するためには、床を走っている太い構造材を切り、基礎を作り直さなければいけない。悩んだ末、基礎を作り直し、ロケットストーブを設置しました。そんなロケットストーブの魅力はどこにあるのでしょうか?
「ロケットストーブの1番良いところは、燃費が良いところです。熱効率が良いんですね。暖炉は、いくら燃やしても暖かくならないんです。普通、薪ストーブは煙突を真上に立てて気圧差で煙が入らないようにするんですが、それをやると暖めたエネルギーがまっすぐ空に逃げてしまうんです。これはもったいない。ロケットストーブは、その温かい熱を有効活用できるのが魅力ですね。」
ストーブの熱が、石の中を通って煙突へ続いています。石の上に座るとお尻が温かい。なんてことだ。
さらに良い点としては、煙突の外に出るときには、熱が30度くらいまで下がっているので、熱源にムダが無いそう。
ロケットストーブはすぐには暖まらないので一日中使うのが基本。
なので、会社に行き夕方帰ってきてからロケットストーブで暖める。という使い方には向いてないとのことです。
会社勤めではなく、一日中家で過ごすような生活なら、ロケットストーブが役立つのですね。
私が来る日の午前中、ロケットストーブの調子が悪かったらしく、二階に伸びている煙突を半分ほどカットしたんだそうです。
七田さんの言葉が印象的です。
「何かトラブルが発生しても、そもそもノウハウなんかないんですね。ネットで調べてもわからない。だから、試行錯誤しながら自分で解決するしかない。それが田舎の面白さですね」
ストーブ、居間、キッチンと、七田さんの家造りはまだまだ続きます。