コーヒー好きなら、アウトドアで飲むコーヒーの美味しさはよく知っているはず。
寒い時ほど淹れたてのコーヒーの温かさが嬉しいものですが、飲むころには冷めてしまっている、なんてことはありませんか?
実はあるアウトドアイベントで、メーカーさんがコーヒーを振る舞ってくれるというので楽しみにしていたところ、淹れたてのはずなのにまるでアイスコーヒーのようなコーヒーが手渡されたことがありました。
そのメーカーさんが使っていたのは、ステンレスのドリップポットとシェラカップ。もちろん見た目の雰囲気はなかなかですが、それじゃ冷めて当たり前です。
その時思いました。
意外と皆さん、保温性を考えずにコーヒーを淹れているんじゃないかな?と。
まずコーヒー豆ですが私は豆のままで持っていきます。
コーヒーはキャンプ用の道具の中に入れっぱなしということもあって、豆のままの方が風味が落ちにくいですし、挽きたての豆で淹れた方が香りも良いからです。
そしてドリッパーはコンパクトに収納できるタイプを使用。
主に使っているのはユニフレームとGSIのもので、これに市販の紙フィルターを組み合わせます。ユニフレームのものは本来専用のフィルターが必要ですが、一般的な規格のものでも少し折り曲げて装着すれば問題なく使えます。
2種類持っていく理由は、両者は下部のフィッティングに少し差があるため。淹れるカップによってフィットする方を選んで使っています。
豆とドリッパーの用意が出来たら湯を注ぐわけですが、私は沸騰した湯をそのまま注ぎます。
一般的には沸騰した湯だとえぐ味が出るから少し冷ましてから、なんて言われますが、外気温が低い時はすぐに湯が冷めてしまいますし、標高が高いと沸点が下がり、そもそも100℃に達していないこともありえますから、なるべく高温で淹れた方が良いと思います。
そしてここで重要なのがコーヒーをドリップするカップ。
このカップの保温性が重要となります。
キャンプですと最近はシェラカップタイプのものが人気で、コーヒーを飲む時にも使っている人は多いと思いますが、熱伝導率が高いため保温性は最低です。
もちろん薪ストーブなどがあって、上に載せて温めながら飲んだりできるのであれば選択肢としてはあり得ますが、淹れたてのコーヒーを冷めないうちに美味しく頂く、ということであれば、やっぱり保温性の高いカップがオススメです。
保温性の高いカップですと、現在国内で一番入手しやすいのは、やはりダイネックス社のものでしょう。
これは中空のプラスティックの内部に、発泡ウレタンを断熱材として充填したもので、軽くて丈夫。
最近はコラボレーションも盛んに行われているので、色々なデザインのものが出回っています。
またこのカップは内径が350ml缶にピッタリなので、なんとビール缶の保冷にも使えるのです!
ただダイネックスの場合、カップ自体はそれなりに保温性があるものの、フタが無いのでその分冷めやすいのが欠点です。
そこで私がよく使っているのが、フタ付きの断熱カップ。海外のアウトドアショップでは、わりとよく見かける定番品です。フタがあることで冷めにくく、また焚き火のそばで使っても灰が入りにくいというメリットがあります。
雰囲気もなかなか良いのですが、何故か日本のアウトドアショップではあまり見かけません。類似のものであれば、ホーム用品などで売っているものもありますので、それらをステッカーチューンして使ってもいいですね。
フタつきの断熱カップで比較的手に入れやすいものとしては、MSRのものがあります。
このユニークな形状は、本来ナベの中に収納するためにデザインされているのですが、手でつかんだ時のフィット感もなかなか良く、使いやすいカップです。
子供にジュースを飲ませる時も、このカップを使えば倒してしまった時に中身がこぼれにくいので便利。
運搬時には小物や調味料を入れる収納ケースとしても使えますし、アイディア次第で用途のひろがるアイテムだと思います。
そして最後に本命のサーモス。
真空断熱により、高い断熱性をほこるカップです。
日本で発泡ウレタンを使った樹脂製の断熱カップがあまり売っていないのは、真空断熱の製品が多く出回っているからかもしれませんね。
サーモスはもともとドイツの会社でしたが、現在は日本の会社の傘下となっており、親会社である大陽日酸(当時は日本酸素)こそが真空断熱を発明した会社。
つまり真空断熱は日本のお家芸なのです。というわけで、日本では魔法瓶と呼ばれるポットタイプからカップまで様々な真空断熱製品が販売されていますが、その中であえて私が使っているのが、保冷缶ホルダーなんです。
保冷缶ホルダーはその名の通り350ml缶を保冷するためのものですが、構造はカップと何ら変わりがないので、滑り止めのパーツを外してしまえばカップ(というよりコップ?)として使えてしまいます。
しかも軽量で、コーヒーを飲むにも丁度良いサイズ感。
フタはありませんが、何しろ断熱性が抜群なので、全然冷めないのです。そしてもちろん、本来の用途である缶の保冷にも使えるという汎用性の高さも魅力。
欠点といえば、あまりに熱が外に伝わらないので手を温められないことと、ハンドルが無いのでコーヒータイム感が薄れることでしょうか。
ハンドルが無いことで収納性が高いというメリットもあるのですが、まぁその辺が気になる方は通常のカップタイプのサーモスを使えば良いと思います。
また何人分かをまとめて淹れたい、あるいは少しずつ飲みたいという時には、ボトルタイプのものに淹れておくと良いでしょう。
ただボトル自体が冷えているとドリップしたそばから冷めていってしまうので、あらかじめ熱湯を注いでボトル内を温めておくことが重要です。
しっかり温めた真空断熱ボトルに直接ドリップしたコーヒーは、氷点下の気温の中でも半日くらいは熱々で楽しめます。
実際のところ、保温性を最重視すると真空断熱の容器が断トツの性能なわけですが、これはアウトドアでの遊びなわけですから、ギア選びにも遊びがあっていいと思うのです。
だから私は雪の中でコーヒーを楽しむなら真空断熱のカップを持っていきますが、そこまで寒くないキャンプや焚き火をする時には、フタつきのプラスティックカップを使いますし、山に登るならMSRのマグを使ったりと、シチュエーションに応じて一番似合いそうなカップを選んでいます。
いずれにせよ、ちょっとした工夫でアウトドアでも熱々のコーヒーを楽しめるようになりますから、お気に入りの断熱カップをみつけて、コーヒータイムを楽しみましょう!