宮城県の沖合に浮かぶ神の島、金華山。そのすべてが黄金山神社の神域で、標高445mの奥宮付近から眺める絶景は、前回(リアスを望む絶景、神の島・金華山|『文系登山』をはじめよう #05)ご案内した通り。しかしこの島は、山登りをしなくても楽しめる、島遊びの隠れた聖地。今回はこの島の“神秘”の正体を、巨木の森に訪ねます。
人の手が入らない森。それは、この島が「南三陸金華山国定公園」として保護されてきたことによる部分が大きいでしょう。実際に島に渡れば、こんな美しさが残っていることに感謝したくなります。2011年3月の東日本大震災からの復旧の道すがら、2015年に「三陸復興国立公園」に指定されました。毎年この島に渡り、静かに自然とともに過ごすことを楽しみにしていますが、来年もまたこの自然に触れられることが、いまから楽しみです。
島全体が木々に覆われ、本当に独特の景観を残しています。山頂奥宮への登拝の山道にも巨木があちこちに見られ、まるで別の生き物のようなその姿に、思わず木肌に触れてみたくなったり、かと思えば、近寄りがたい雰囲気に遠目に見つめることしかできなかったり。とにかく、こんなに「木」を意識することもないだろうというほど、その存在感に圧倒されます。そんな中を、地図を頼りに歩く楽しさ。道がはっきりしないところもあるので、むやみに分け入るのは危険ですが、こんな大自然を目の当たりにすると、心躍るのは間違いないでしょう。
黄金山神社の裏手には、息を飲む巨木や心弾む植生の森が広がっています。この島の真骨頂は、前回ご案内した山頂奥宮登拝だけではなく、この森歩きもそのひとつ。写真ではなかなか伝わらないのが歯がゆいですが、人の大きさと比較してもらえると、木の大きさだけではなく、森の大きさや木々の個性が伝わるかもしれません。
日ごろ、登山やキャンプをしている人には馴染み深い杉などの木々がなく(ぼくは毎年花粉に“お世話”になってます……)、その意味でも森の個性が際立つように感じるのかもしれません。
次回は、金華山の魅力に「海」から迫ります。