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登山・キャンプ好きが感じたキャンプライドの醍醐味 in RIDEALIVE 2016

アクティビティとしての自転車、というとどんなイメージを持たれるだろうか?

スポーティーなデザイン、
ピタッとしたウェアをまとい、
細めのサングラスをし、
ストイックに駆け抜ける。

そんなイメージがあるかもしれない。
登山やキャンプといったアウトドアとはちょっと遠い関係?

でもソロキャンプの流行りでバイクパッキングは注目している。
であるならば、実際にどんなものか知っておく必要がある。

そんな想いで参加してきたのが、『RIDEALIVE 2016』だ。

RIDEALIVE 2016 って?

RIDEALIVE2016は、名古屋の自転車屋Circlesが主催するキャンプライドのイベント。「Circlesの夏休み」をテーマに、大好きな自転車や仲間とともにそれぞれの出発地点からゴールを目指す1泊2日の冒険だ。

キャンプライドとは、簡単に言うと自転車でキャンプとツーリングをすること。今年のRIDEALIVEは1日目が豐田市足助の山の中にある『山根家こびそキャンプ場』をゴール地点とし、2日目は山とはうって変わって海沿いにある西尾市の『cafe OCEAN』を目指す。

今回、編集部を先導してくれたのはCirclesのショップマネージャーの池山さん(通称シゲさん)。このへっぽこライダーを終始面倒見ていただき、終わった今でも頭が上がらない想いだ。

いつもの登山道具を携えていざキャンプライド!

本格的な自転車は乗ったことがない。もちろん自前で自転車は持っておらず、今回は一式Circlesさんに用意していただいた。ただし積む道具については、ソロテント・寝袋・レインウェア・シングルバーナー・クッカーなど普段のUL系登山道具で十分対応することができた。つまり、登山をする方であれば、自転車と道具を積むキャリーがあれば形としてはキャンプライドは可能だ。

『苦』が先行する1日目前半戦

編集部は名古屋駅近くにあるCirclesの店舗から10時前頃に出発。

2時間強ほど走り、途中長い登り坂を何度か経て早速足をつり、既にヘロヘロ状態。「18時までにゴールだからまだ半分も終わっていない・・・これ、本当にゴールできるか?というか、こんな辛いのがあと5時間くらい続くの?」という弱気な考えが頭を駆け巡る。

足助に入ろうというところで元気よく駆け抜ける女性グループと合流。こんな爽やかな気持ちは、正直なところこの時点では感じていなかった。普段から自転車に乗っているとこんなにも楽しんで走ることができるのか、と少し羨望の眼差しで見送る。

登山に似た、自然の中を自力で駆け抜ける気持ちよさ

足助は東海自然歩道が通り、巴川・足助川が流れる緑と水の美しい自然あふれる町。アウトドア好きはこの空間に入っただけで一気にパワーがみなぎる。

登山でも、なにも山頂だけが気持ちよいのではなく森林限界に入る前までの山道がとても心地良かったりする。鳥の鳴き声、木々のせせらぎ、爽やかな風、それと同じものを今回も感じた。

自転車の移動スピードを考えると、車でも良いのではないかという発想になるかもしれない。確かに景色の変化などは同様に楽しめる。けれども、徐々に空気が冷んやりしてくることを実感したり、風を感じたり、森の匂いを感じたり、そういったことは身を外に出さないと味わえない。

途中、今度は男性グループと合流。川に降りられるスポットで小休憩。登山でも水場があると気が和らぐことが多いが、これもまた同じ感覚。違うのは足で地面を踏んで歩むのか、ペダルをこいで走るのか、それ以上でもそれ以下でもない。

1日目のゴール『山根家こびそキャンプ場』でプチフェス気分

終盤、雨にも打たれながら地獄の登り坂をなんとか登り切り、ゴールである山根家こびそキャンプ場へ到着。ここでテントを張ってキャンプをして翌日を迎えることになるのだが、ただのキャンプではなく小さなフェス会場のような空間に。

各チームも続々とゴール。それぞれのコース、それぞれの想いを経てこの会場に一同が集まり、この日の話や自転車話などで夜を明かす。

18時から乾杯の音頭で夜のパーティーがスタート。1日中(中にはもっと前からも)駆け抜けた後のお酒は格別だ。

会場では愛知にあるカレー屋やコーヒー屋、岐阜のおばんざい屋などが出店し、疲れた体を癒してくれる。

会場には子供の姿も?!

冒頭にも伝えた通り、自転車というとどこかストイックなイメージがあり層に偏りがあるように思っていたが、RIDEALIVEでは老若男女、幅広い層がカジュアルに自転車を楽しんでいる様子が印象的だ。

翌朝も早い。DJによって会場が盛り上がった後、山の中には静かな時間が訪れる。それぞれソロテントを積んできており、MSRやモンベル、ニーモ、アライテント、ポーラーなど山荘のテン場やキャンプ場で見慣れたテントたち(さすがにオートキャンプ系のテントはなかった)。印象としてはMSRユーザーが非常に多かった。

2日目朝、各々のアウトドア飯に興味津々

朝は事前に予約しておけばコッペパンが支給。このコッペパンを用いて、各々オリジナルサンドを作るのも楽しみの一つだった様子。

それぞれがシングルバーナーやクッカーを持ち寄って調理。自転車乗りの方々がこんなにもアウトドア道具を持っているとは、誤った先入観を持っていたようだ。自分たちで調理して食べたいものを外で食べる、その喜びはどんなアクティビティにおいても共通なのだろう。

昨晩に続き朝もコーヒーが飲める。キャンプ好きであれば朝のコーヒーがいかに格別かは言うまでもない。

cafe OCEANに向けて出発!その前に全員で集合写真。また後で!を合言葉にそれぞれがまたそれぞれのコースで走り出す。

復路は『爽快!』の一言。下りの楽しさを存分に味わう

登頂を目的とした場合の登山だと、気分のピークは山頂で迎える。その後の下りは景色を堪能することもできるが、ある種消化試合のように淡々と済ませる方も多いだろう。

けれども、自転車の場合、ピークは下りにやってくる。

往路で苦労して登った坂道をハイスピードで駆け下る爽快感。風を切り、横を走る車に迷惑をかけないようチームワークで声を掛け合い進む。その時間が登山にはない、自転車ならではの面白さだと感じた。

大人たちが一斉に下る姿は、童心に帰ったようで清々しい。そこにストイックな印象はどこにも見られず、そこにあるのは、ただ単純に自転車に乗ってみんなで冒険に出ている、それ自体が楽しいというピュアな気持ちだ。

競うのではない、一緒に楽しみ、ゴールを目指す

RIDEALIVEのいいところは、ゴールはあれどタイムを競い合っているわけではない、ということ。登り坂、辛そうなメンバーがいれば帯同して励まし合って登る。チームでペースメイクをして、その時々を楽しむ姿がなんとも印象的だ。こうして過ごした時間は、終わったあとも必ずや良い思い出になり、「また行こう」という気にさせてくれるに違いない。

山から海へ、またみんなで

山を下り終え、人里をしばらく走った後にいよいよラストスパート。最後の3つの登り坂を駆け上がり海を目指す。

海が見えたならゴールはもうすぐそこ。気分が高揚する、自然とみんなの声がワントーン上がってくる。

ゴールであるcafe OCEANに到着。皆一気に力が抜ける。この達成感は何にも替え難い。

お疲れ様でした!

最後は笑いあり、涙あり、参加者それぞれにストーリーがある

昨晩同様、皆がゴールしたらcafe OCEANで乾杯。このエリアで人気の同店の食事を楽しみながら、今回のイベントの表彰式が行われた。

小さなお子さんを2人自転車に乗せながら完走を果たした方、毎年参加していて、お子様が生まれてライフステージが変化してもチャレンジをした方、東京から名古屋まで自転車で走ってきた方。

参加者それぞれにストーリーがあり、想いの詰まったイベント。それをお互い讃え合い空気。笑いと時々涙が溢れるイベントの締めくくりにふさわしい時間。

映画や音楽などで感極まって泣くことはあっても、大の大人たちが喜びも混じった涙を流す機会はそう多くはない。しかもそれが共通のゴールを目指した仲間たちと共に、と言ったらまさに希少だ。

大人による、大人たちの夏休み

冒頭にもあった通り、RIDEALIVEは主催者である『Circlesの夏休み』というのがコンセプト。ゴール会場の準備やある程度想定されたコース作りなど、あらかじめ用意されたものはあれど、本質的に参加者に与えているのは「きっかけ作り」であり、参加したらたちまち主役は参加者に。そして、主催者は特別な手を出さず、各々が楽しんでイベントを創り上げる。

まさに、大人のための、大人の夏休みなのだ。

実施に走ってみた感じた、キャンプライドの醍醐味

自転車を街乗りですらあまりしない編集部が、総走行距離約150kmに挑んだ今回のキャンプライド。1日目の登りは正直辛かった。急で続く坂道を必死に漕ぐ、その横を車が通る。「車で行けるのになぜわざわざこんな大変な想いをしないといけないんだ?」と思った瞬間が何度もあった。ただ、登りきってみると、登山と同様、「また登りたい」という気持ちになぜかなる。

そして下り道。
この爽快さは車では味わえないし、登山でもなかなか味わえない、自転車ならではの醍醐味。

そしてそれ以上に感じたのは、チーム。
もちろん1人参加でも十分に面白いとは思いつつも、チームで励まし合いながら、ペースメイクをしながら駆け抜ける時間は大人の娯楽としては最高の時間なのではないだろうか。

登山、キャンプに通づるものはたくさんあるが、そのうちの一つに自転車という相棒と共に冒険に出る、ということがあると思う。

アウトドア好きに道具・ギア好きは多い。
そういう方々が自転車を始めたらどうなるのだろう。きっとハマるに違いない。現に編集部も今回はCirclesさんに一式用意してもらったが、今度はプライベートでマイバイクを携えて参加したいと思ったほどだ。

アウトドアの楽しみ方はそれぞれだ。
キャンプライド、自転車ならではの楽しみ方を教えてくれたRIDEALIVE 2016。instagramでは「#ridealive2016」でたくさんの写真があがっているし、以下では続々と各チームのルートがアップされている。

あなたも、自転車をはじめてみてはどうですか?

RAL – RIDEALIVE

写真:茂田羽生