私が旅をするときに持っていくウェアは以下のようなものです。自転車によるキャンプツーリングでも、オートバイによる旅でも、バックパッキングでもほぼ同じラインナップで旅に出ます。季節や旅する場所によって若干アレンジはしますが、基本的には1週間の旅でも、1年の旅でも、日本でも、海外でも、ほとんど変わりません。
シャツやパンツは、吸湿速乾性があり、肌触りのいい素材のものを選びます。ジャケットとオーバーパンツは、透湿防水性能があり、レインウェアとしても使えるもの。ロングパンツはひざ下をセパレートできるものであれば、ショートパンツとしても使えます。ジーンズは荷物としてかさばる上に濡れたときに乾にくいので、おすすめしません。
シューズは街歩きにもトレッキングにも対応できるようなものを。自転車ツーリングならショートカットのトレッキングシューズ、バックパッキングの旅やオートバイツーリングならミドルカットのアウトドアブーツ「ダナーライト」が私の定番です。
ウェアをそろえる場合は、一般の人向けの量販店のものではなく、信頼のおけるアウトドアメーカーの製品を選ぶのがよいでしょう。同じような機能性が記されていても、実際に使い比べてみるとその違いがわかります。多少高価でも、耐久性も含めて専門メーカーのウェアにはそれだけの価値があるのです。
1年を通した旅や海外で熱帯から寒冷地にまで移動するようなツーリングでは、レイヤリング(ウェアなど、衣類の着脱)によって、気温の変化に対応します。寒さ対策に厚手のウエアを用意するよりも、透湿防水、保温、吸湿速乾といったそれぞれ機能性の異なるウェアをいくつか持つようにして、状況に合わせて着脱するのです。重ね着することで、ウェアとウェアの間に空気層ができ、それが保温力を高めることにもつながります。
先述したウェアで、以前東南アジアの熱帯雨林から気温が氷点下を下回るヨーロッパの北極圏、アフリカのサハラ砂漠など、1年を通して大陸や赤道をまたぐ旅をしたことがありますが、十分対応することができました。
たとえばサハラ砂漠では薄手の長袖シャツとロングパンツ。日焼けによる疲労を抑えるため、暑くてもTシャツはNGです。ノルウェー北部では、厚手のアンダーウェア+Tシャツ+長袖シャツ+フリース+ジャケットと、寒さを感じない程度に持っているウェアを重ね着しました。
ツーリング中のキャンプは、ラフなウェアで過ごしましょう。
寒さが厳しい環境じゃなければ、ショートパンツとサンダルが楽ちんです。また、寝袋に入るときのパジャマ代わりになるようなウエアも決めておくといいでしょう。パジャマに特化したウェアじゃなく普段使いと共用できるものを選べば、その分、荷物を少なくすることができます。寝るときは、暖かい季節ならTシャツとパンツでOKです。気温の低い環境でのキャンプは、レイヤリングで寒さを感じないくらいに着込んだうえで、寝袋に入るようにしましょう。
長期のツーリングでは、定期的にウエアの洗濯をしなくてはいけません。特に、汗をよくかく季節や環境ではTシャツやパンツ、靴下などは、できれば毎日でも替えたいものです。
洗濯は、手洗いが基本ですので、水があればどこでもできます。あまり神経質にならずに、汗や汚れをさっと洗い流す程度で十分と思うことにしましょう。水があればできるとはいえ、長期ツーリングで毎日洗濯するのはなかなか難しいですから、周囲の人に不快感を与えない程度に数日はき続けるのもありでしょう。そして、宿やキャンプ場を利用するときにまとめて洗濯するようにします。
脱いだウェアは、非常にかさばる荷物になってしまいます。バックパックやツーリングバッグに収納する場合は、そのまま入れず、スタッフバッグなどに小分けにして入れるといいでしょう。かさが小さくなりますし、出し入れも便利です。移動中に着脱するかもしれないものは取り出しやすい場所におきます。
また、パッキングしたウェアは絶対に濡らさないようにしてください。ツーリング中に雨が降って、そのとき着ているウェアが濡れてしまった場合に着替えるものがなくなってしまいます。
長期のツーリングでは、ウェア選びは本当に迷います。必要なものをすべて持とうとするときりがありませんから、なるべく厳選するようにしましょう。
ただ、旅先の環境によっては持ち歩いているウェアでは対応しきれない場合もあります。そんなときは、その場で入手すればいいのです。そこで手に入るものが、その場所の環境に最も適しているのですから。
それからウェア選びについて大切なことをもうひとつ。
長い旅をともにするウェアです。機能性はもちろんですが、気に入ったデザインのものを選ぶのも大切です。カッコよさにこだわりましょう。毎日でも着たくなるような愛着をもてるウェアなら、それだけで旅の気分は高揚しますよ。