この春リリースされる、出来立てほやほやの「新作ギア」たち。
元アウトドアショップ店員の筆者が、展示会をめぐる中で出合った、“選りすぐり”を前・後編に分けてご紹介。定番アイテムから、ちょっと一風変わったユニークアイテムまで、バラエティー豊かにお届けします!
バーナーなどの燃焼器具でおなじみの「プリムス」からは、キャンプやピクニックシーンで、手軽に“持ち歩ける”ツーバーナーが新登場。
「えっ、これがツーバーナーなの?」と、思わず疑ってしまう見た目ですが、脚を開き、天板などを外していくと…!
使用時は上記写真のように、「ツーバーナー」に大変身!
火口を取り囲んでいるホワイトのフレームは、風防として機能し、風が吹いても安定した火力をキープしやすく設計されています。
しかも、このコンパクトさで、火口が二つ。これひとつで、「湯沸かし」や「煮込み系料理」、「焼き物」を同時に調理することができます。
また、今までのツーバーナーにはなかったシンプルでスタイリッシュなデザインも新鮮。このまま電車に乗って移動したり、街中を歩いたりしてもサマになりますね。この春の大注目株です!
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軽くて、丈夫で、見た目もかっこいい。そんな三拍子そろった魅力的な素材「X-PAC」を使用したバックパックがホグロフスよりデビュー。ドイツで開催されたアウトドアの国際展示会「Outdoor Industry Awards 2015」において、デザイン賞も受賞した話題のモデルです。
このバックパックの特徴は、素材のほかに、「背面からも内部にアクセスできる」という点があります。背面の逆U字方ジッパーを開閉すると、なんと、ぱっくりと開く構造。荷物の出し入れがすばやく、かつ簡単に行えるシステムになっているんです。
荷物をミニマムにして軽やかに登山を楽しみたい人や、スピーディーな山歩きを楽しみたい人、またクライミングシーンにも適したモデルです。
機能美とカッコよさを兼ね備え、アウトドアユーザーのなかにもファンが多いブランド「MSR(エムエスアール)」。とくに「1gでも荷物を軽くしたい!」ハイカーに打ってつけな、超軽量シェルター&テントがこの春リリースされました。
まずは、真夏のムシムシしたシーズン、樹林帯のテント場や、標高の低い場所での使用に最適なシェルターからご紹介しましょう。
通気性に長けたフルメッシュのテントに、屋根の役割を成し風雨から守るシェルター。どちらも、500mlの缶ビールほどの重さしかない、軽量派モデルです。もちろん個々に使うことも可能なので、雨の心配がないときはメッシュだけで過ごす選択肢もあり、大自然のなかどっぷりと解放感に浸ることができます。
日差しや雨を避けたい場合には、シェルターを組み合わせることで快適性がグンとアップ。シェルターは、登山におけるテント泊だけでなく、キャンプやちょっとした河原でのBBQにも活躍しそうですね。
続いては、ダブルウォール構造のテント、その名も「フリーライト」。
フライシートとフロアシートには15デニールの薄手生地を採用し、1人用で890g、2人用で1,120g、3人用でも1,340gという、ダブルウォール構造でありながら驚きの軽さを実現しています。
ゴツゴツとした岩稜地帯で使用する場合は引っ掛けや、過度な擦れになどによる破れに気を付けなければなりませんが、テントの軽さは、ときに歩行も軽快にしてくれるのです。
テントを持たない山歩きをする場合、ケガで動けなくなった場合や、道迷いでやむを得ずビバーク(野営)しなくてはならない緊急時にも風雨を防げるよう、ツエルトやビビィサックは携行しておいきたいアイテムですよね。
けれど、「常日頃使うアイテムじゃないし、できればなにかと兼用できたら便利なのになぁ…」なんて願いを叶えてくれるのが、マーモットが新提案する「ゼロソリタリービビィ」です。
レインコートとして使用する際は、前面のみをジッパーで取り外し、裾部分をくるくるっと巻き付けて収納するだけ。
コート丈のため、雨具として使用する場合は、すべての状況下で快適に機能するわけではありませんが、標高の低い山や、樹林帯歩きがメインの山行であれば十分活用できます。もう少ししっかり雨を防ぎたいときは、レインパンツとの併用もアリでしょう。
なんにせよ、たった243gで、ビビィと雨具を得ることができる。画期的なアイテムです。
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トレッキングパンツはもちろんのこと、近年ではウィンドシェルやレインウエアに至るまで「ストレッチ化」が進んでいますが、ファイントラックからは、ストレッチ性のある「レイン用グローブ」が新登場。
このグローブの優れた点は、伸縮性に優れた独自の防水透湿素材を採用し、さらに指先と爪の間に縫い目が当たらない設計にすることで、ごわつき、もたつきのない着用感を生み出したという点です。より立体的に指にフィットさせることができるため、操作性を損なうことがなく、ジッパー開閉などの細かい手作業も行いやすくなっています。
雨の日でも「ストレスフリー」な山歩きをするのに一役買ってくれるアイテムですね。
※防水素材ですが、縫い目の防水処理(シームテープ加工)は施されていません
軽量バックパックを多く生み出すUSA発の「グラナイトギア」から、生地に撥水性のあるニューモデルが登場。
このモデルの面白いところは、雨蓋・背面フレーム・ウエストベルトの3点が取り外し可能で、自分の山行スタイルや荷物の量(重さ)に応じて、カスタムできる仕様になっていること。テント泊装備一式を収納できる55Lの容量を持ちながら、3点すべて取り外した状態での本体重量は842g。1kgをゆうに切る軽量さを実現しています。
背中の荷物を少し軽くして、オンシーズンのテント泊を軽快に楽しむのもいいですね!
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春夏秋冬のあらゆる状況に対応できるテントとして、長年にわたり人気を誇るモンベルの「ステラリッジ」シリーズ。これまで本体とフライシートはセット販売でしたが、この春より別売りに変更。さらに、フライシートのカラーバリエーションを増やし、複数のカラーから自分好みの色を選べるようになりました。
とにかくこの「ステラリッジ」テントは、悪環境の下でもユーザーが使いやすいような配慮が細部にわたり施されており、設営・滞在・撤収におけるストレスが本当にありません。これは、高い技術と気配り精神をもつ日本生まれ・日本育ちのテントだからこそ、為せた業とも言えます。
いつどんなときでも、大自然のなかに張りたい。そんな気持ちにさせてくれるー張りです。
トレイルランニング用をはじめ、シーンに応じたテクニカルなバックパックを豊富にラインナップし、高い評価を得ているサロモンからニューモデルが登場。登山に対応する20、30Lの容量を持ちつつも、アクティブな動きに追従する設計で、体にしっかりとフィット。「背負う」のではなく、まるで「着ている」ような感覚のバックパックです。
このモデルは、30Lクラスのバックパックのなかではめずらしい作りで、トレランパックの便利なところをたくさん搭載。
まず、ショルダーハーネスは、両サイドに伸縮性のあるメッシュポケットとジッパーポケットを備えており、ウエストベルトにも大型のメッシュポケットを配置。動きながらでも行動食の出し入れがしやすく、携帯電話やデジカメなどの収納にも便利です。
そして、チェストベルトは上下2か所で留める仕様で、胸部の圧迫を軽減し、快適な呼吸ができるように考慮。中距離のトレイルランニングにも対応できるつくりになっているため、登山シーンにおいても高い安定感で、ブレにくい歩行をサポートしてくれます。
30Lの容量でありながら、本体重量が「500g未満」という、超軽量さも魅力のひとつです!
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数多くのスポーツウォッチを手掛ける「スント」からは、軍関係者からの意見を取り入れて開発したというミリタリーモデル「トラバース アルファ」が5/20(金)にリリース。
もともとスントには「トラバース」という、昨年11月にデビューしたモデルがあり、それをベースとして今回新たにミリタリー機能をプラスして搭載しているわけですが、そもそも「トラバース」は、北米国防総省が定めた軍が必要とする環境耐性規格をクリアしており、とにかくスペックがスゴいんです!
その規格テストの一例を取り上げてみると、
・凍結、解凍テスト
・高湿、乾燥テスト
・高温、氷点下テスト
・砂塵・土埃環境テスト
・落下・衝撃テスト
・塩水テスト
……などなど、全19項目にも及ぶ厳しいテストをクリアしているそう。ウォッチの屈強さが伝わってきます。
そして、新たに今春リリースの「トラバース アルファ」は、日本のリリースに先駆け今年4月に北米でデビューし、軍関係者向けのGPSウォッチとして開発。上記の「トラバース」がもつハイスペックにプラスして、ハンティングに活用できる「射撃位置を自動記録する機能」や、フィッシング等で役立つ「月の満ち欠けの表示機能」、「画面のバックライトが赤色に光る機能」など、ミリタリー仕様になっています。
もちろん、アウトドアに必要とされる機能(高度計・気圧計・電子コンパス・GPSナビゲーションなど)は搭載しているため、ミリタリー機能を使わずとも、大いに活用できるモデルでもあります。
なんといっても、この無骨なミリタリーデザインも魅力的ですよね!
さて、前・後編にわたりこの春リリースされた新作アウトドアギアを紹介しました。
年々、モデルの多種多様化や、新進気鋭な製品が発表され、いちユーザーとしても胸が躍るばかりです。
自分に合った道具を取り入れて、今シーズンもアウトドアを楽しんでいきたいですね!