体験レポート

世界最難関K2(8611m) 過酷な海外登山に僕が挑戦する理由

皆さんは世界で一番高い山「エベレスト」はご存知かと思います。

しかし次に高い山は?と聞かれるとすぐには出てこないかと思われます。それを今回は特別にご紹介します!

どこにある山なのか?

トップの写真でも載っている特徴的な山容の「K2」という山は、パキスタンという国にあります。標高が8611mと世界で2番目に高く、山が奥まっていることから世界最難関の山とされています。K2という名前がついた由来については、カラコルム山系を測量した際に残ったとされており、それがそのままの名前となりました。

世界の登山家たちが憧れる山が「K2」

K2は世界の登山家も憧れる場所です。それは山容がとても美しく、山自体も奥まっていることから自然がそのまま残っている場所とも言えるからです。さらにK2にたどり着くには、車では入れないバルトロ氷河を1週間ほどかけて歩いていかなければならず、まるで映画の世界のようです。

初登頂は1954年のイタリア隊が大規模隊を率いて行いました。それを皮切りに世界各国の隊が挑戦をしています。また、日本も1977年に重広恒夫、中村省爾、高塚武由らが登頂を果たしその後も様々な隊がこの山を目指すことになりました。

ベースキャンプは、富士山よりも高い標高5000m!?

K2を登るには多くの日数が必要となり、短くても3ヶ月は必要となってきます。その生活の中心となる基地は、ベースキャンプと呼ばれ標高は富士山3776mよりも高い5000m付近で設置します。

したがって、登るだけでも一苦労なのにも関わらずこのベースキャンプに慣れるため、事前に高所順応を行ってきます。頭痛や吐き気などがあり、はじめはとても苦労しますが、ゆっくりと高度に体を慣らしていくことによって標高に順応をさせていくのです。

登山期間中は、ベースキャンプの標高以下には下がらないので、体力もしっかりと回復できません。登るのにも一苦労なのにも関わらず、普段の生活も大変なのでここでは時間との勝負が重要となってきます。

筆者も南東稜を挑戦したが、雪崩により敗退する

僕もこの山へ挑戦をしました。当時は23歳ということもあり隊の中でも最年少でした。

登るルートについては、南東稜と言われるところから登るのですが、全て自分たちでルートを作り上げていかなければなりません。山頂までにたどり着くためには、何箇所かにテントと食料を設置していき、何度も往復しながら登っていく必要があるのです。テントを分ける理由は、高度が高く体の負担を減らすためです。

標高が上がると身体にどのような影響が出てくるのかというと、まず頭痛や吐き気、食欲不全に陥ります。さらに数歩進んだだけでも息が切れてしまいます。例えるのであれば、50mを全力で走りきった時の状態に似ています。酸素が地上の1/3ほどなので酸欠状態になります。したがって、ここでは自分のペースを崩さずに登っていくことが重要となります。

しかし、体のコンディションを万全に整えていても登ることができない時もあります。それは、雪崩などといった自然の脅威にさらされる時です。

僕が挑戦した時にも標高7000mで雪崩が起き、危うく流される可能性がありました。落ちてしまうと2000mもの高さを落ちていくことになるので、考えただけでもゾッとします。

そのため、この時のチームでは登ることができず断念しました。けれども、もう一度頂きに立つために計画を進めています。

そんな過酷な登山なのに、何故挑戦するのか?

8000mの世界は、常に「死」と隣り合わせです。なぜそこまでしてでも登りたいのかと聞かれてしまうと言い切ることはできません。

しかし、僕は「死は常に身近なもの」と思っています。それを過酷な環境に身を置くことによって意識を洗練させることができます。危機的状況に置かれると、想像力や直感が研ぎ澄まされていくのです。それは「生きる」という人間の根本を意識するからではないかと僕は考えています。

そう考えてみると普段の生活を俯瞰してみることができ、自分にとって生きるために最善なものを判断できる力が身につくと感じています。つまり、自分の成長の一環として、海外登山に挑戦しているのです。

K2ならびに海外登山ならではの魅力とは

魅力は、景色というのももちろんあると思います。くわえて僕が魅力として感じているものは、登頂そのものではなく、それまでの過程にあると思っています。

未知の山に挑戦することは大変過酷です。資金の準備から始まり、現地の連絡調整、装備・食料の準備などあらゆることを想定して計画を進めていかなければなりません。それを一つずつクリアしていき、登頂できて生きて帰ってきたときは言葉では表せない達成感を感じることができます。それが僕にとっての大きな魅力といえます。

あまり知る機会がないかと思いますので、これからも.HYAKKEIを通じて自然の楽しさを発信していきます!

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ライター:
佐々木 理人

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