お湯を注いで、ちょっと混ぜるだけ。山の景色がメインディッシュになるとしたら、その脇を固めるのは、きっとこういう料理なんだと思う。
「山は最高のレストランだ」。そんなキャッチーな理念を掲げて活動するクラフト登山食ブランド「MOUNTAIN GOURMET LAB.(通称MGL)」が、新たに2つのメニューを発表した。発売日は、2025年7月14日。全国の登山用品店と自社ECで購入できる。
登場するのは「すじ青のり香るポテトピュレ」。これ、ただのインスタントポテトじゃない。
まず驚くのは、袋にお湯を注いで、すぐ食べられるという手軽さ。しかも香り高い「すじ青のり」をたっぷり使用。混ぜた瞬間、ふわっと磯の香りが立ち上がる。食感はもちっとしていて、口当たりもなめらか。まさに“ピュレ”という言葉がぴったりだ。
この一皿には、伊豆・天城山のイメージが込められているそう。海藻研究と養殖に取り組む「シーベジタブル」とのコラボという点も面白い。山で、海を食べる。それってちょっと詩的だ。
2品目は、ビーガン仕様の「ボルケーノ キーマカレー」。
モデルとなったのは、福島の名峰・安達太良山。真っ赤なマサラソースが火山のマグマを彷彿とさせ、大豆ミートやヒマラヤ岩塩が“火山礫”のように配置されている。
複雑に折り重なるスパイスの香りと、じんわりくる辛さ。その奥にある優しさは、地球が今も生きているという実感に似ている。
開発したのは、東京・namidaの田嶋シェフ。彼いわく、「惑星の鼓動とつながる一皿」に仕上げたという。大袈裟?でも、山の上でこの味を食べたら、きっと意味がわかると思う。
山で食べるものは、軽くて栄養がある。それは当然。でも、MGLはその先を行こうとしている。「うまいかどうか」を真ん中に据える、山食の再定義だ。
さあ、次の山行では、リュックにレストランを詰めていこう。