カテゴリー: 登山情報

ゆっくり歩く登山、自然好きたちを魅了するロングトレイル3つの魅力

今、「ロングトレイル」ブーム!

近年話題になっている「ロングトレイル」
日本語で「長距離歩き旅」と訳されており、山の縦走に限らず街中も歩くたびです。

全国的に有名なのは、長野県と新潟県の県境にある「信越トレイル」
全長80kmのコースには、年間3万人を超える利用者が主に春~秋に歩き旅を楽しみに来ています。冬はスノーシュートレッキングも盛んです。

信越トレイルの斑尾高原からスタートしました

ブナの原生林が残る気持ちがいいトレイル

九州でも多くの道が作られており、その中でも九州自然歩道が特に距離が長く、九州を楽しめるトレイルです。

九州自然歩道の地図。北は皿倉山から南は佐多岬まで一周することができる。

全長3,000kmの道の中には、くじゅうや阿蘇、雲仙、霧島といった山々はもちろん、長崎市や大宰府といった歴史文化を楽しめるスポット、長湯温泉や古湯温泉、指宿温泉といった様々な温泉地もめぐることができます。

霧島連山の高千穂峰。6月のミヤマキリシマが美しい

九州で一番登られているといわれている宝満山

「ロングトレイル」の3つの魅力

そんな九州自然歩道を歩いている「歩き人・福島」がオススメするロングトレイルの魅力を3つ紹介!

①日常の中に「非日常感」

都市部で暮らす私にとって自然に入ることは非日常です。しかしロングトレイルを歩いていると、自然の中にいることが日常化してきます。何日も何日も自然の中に身を置き、自然に順応します。

そうしていると、身体が自然に同化してきます。
自然の中に森の中にいることが「当たり前」「日常」になってきたということですね。
本来人は、自然と共生して生きてきたので、それが人の力を最大限発揮する環境の一つです。

祖母山(1756m)からの朝日は、町では味わえない光景

しかしずっと山で暮らして歩くわけにいかないので、数日して都市部へ戻ります。
そうすると逆に今まで住んでいた場所に違和感、非日常を感じられます。
それもまた、良い反応。日常化しすぎた「当たり前」を考えることによって、人生に刺激をもたらしてくれます。

②往年の道々の歴史を感じる

ロングトレイルの面白いところは、昔は生活道として使われていた道も通ること。
自動車ができてから人は歩くことが少なくなりましたが、昔歩かれていた道は今も面影を残して、現存しています。

その一つが、宿場町。
往年の人たちが歩いていたときは、一日一日泊まれるように定期的に宿場町が栄えていきました。
ロングトレイルを歩いていると、例えば朝山を登り、夕方反対側に降りると人が一日に歩けるくらいの距離に町があることを感じられます。

眼下に見えるのは青の洞門がある本耶馬渓町

山に限らず、街から街へ歩くときもだいたい2,30kmの距離に町があるのに気づきます。
特に九州は、古くから交流が栄え、自然と人との距離が近いため、往年の宿場町が栄えていることが感じられ、歩いてとても楽しいです。

③一期一会の思い出

歩いているとたくさんの人に出会います。
山道を歩いていると「こんにちは」と声をかけあうことが元気の源になることもあります。
ロングトレイルは、一人で歩く場合は孤独との戦いでもあります。長距離を歩くときは人があまり歩かない場所も通るため、数日人と話さないことあるからです。

そんな中だからこそ人に出会い、雑談したり情報を交換したりといったやりとりが一つずつ思い出となります。
ときおり、差し入れをいただくことがあるのも魅力の一つです。
以前大分の九州自然歩道を歩いていたときに、畑で作業しているお母さんに声をかけていただいて、ちょうど出来立てのトマトをいただいたことがありました。

なにげないトマトも格別の思い出

山から降りてきて疲れていたときだったので、元気100倍、復活することができました。今でもその感謝は忘れません。

九州は、高くても2000mない山なので、山頂を目指すピークハントとしては物足りない側面があるかもしれませんが、山から山へ町から町へつなぐロングトレイルは、とても魅力あふれています。

特に九州自然歩道は、今はまだ整備の面や利用のしやすさではまだまだですが、いずれは日本を代表するロングトレイルになりますので、ぜひ今のうちに一度歩きに来てみてください。

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ライター:
福島 優