場所

奥日光に佇む神秘の館。クロスカントリースキーのすゝめ【日光アストリアホテル】

ようこそクロスカントリースキーの世界へ

東武日光駅からバスで70分。

雪の積もる山道をバスで抜けた先にあったのは、クラシックな造りの巨大な館。大きな吹き抜けのあるエントランスに、制服で身を固めたベテランのコンシェルジュ。豪華なメニューで彩られたレストランと、子どものときに両親に連れて行ったもらったペンションを思い出す。

到着したのは午後1時。

バスは、ホテルの真ん前で停車する。降りたら3歩でフロントに上がる階段。このエリアは豪雪地帯なので、1階の高さを担保しないと雪で埋もれてしまうのだろう。そんな想像をしつつ、チェックインカンターへ歩を進める。

日光アストリアホテルは、日光国立公園の中に立地する、光徳温泉唯一のリゾートホテル。源泉かけ流しの露天風呂に、冬は併設している光徳クロスカントリースキーコースでクロスカントリースキーも楽しめる。

そして今回の目的は、クロスカントリースキー。

1週間前にこんな動画を見てしまったからである。

トレイルランナーとして名を馳せる山本健一さんの動画。冬の間はトレーニングとしてクロスカントリースキーをしているらしい。

この動画の中でこんなことを言われていた。

「トレイルランニングは一歩出したら一歩だけの距離なんですけど、クロスカントリースキーは一歩出したところから登りでもちょっと前に滑らせることができる。一歩+αがあって、なんかボーナスをもらった形で一歩でもより遠くに行ける。その感覚がたまらないんです。」

この言葉にそそられてしまったわけだ。

「北関東のロケの中日。ちょうど空いているからどうせなら行って記事でも書こう。」そんな言い訳をしながら宿の予約をした。

まるで90年代。タイムスリップしたかのような“ナツい”体験

荷物をフロントに預けて早速用具のレンタルへと別館へ向かう。まるで山小屋を訪れているような感覚になる歴史を感じる看板が目印だ。

ここで部屋番号を伝えると、レンタル料金が割引になる。良心的な価格設定で家の裏にあればどんなにいいかと思う。

広々としたスペースに来週のご予約分のスキー板が丁寧に並べられている。かつてのブームの時のはこのスペースいっぱいにお客さんがいたのかと思うとノスタルジックな気持ちにもなる。

モノクロの大自然と自分。

コースに出てしばらくは、施設の脇道や駐車場を抜けていくがすぐに、大自然の中に1人ボッチとなる。

そこは雪と木と空だけの世界。冷たく刺さるような空気の中、スキー板が雪を滑る音だけが身体から響いてくる。

誰かがつけたであろうトレースの後を、一歩ずつスキー板に体重を乗せて雪の上を滑らせていく。

しばらくは「どうすれば、スムーズに進むか?」「坂道はどう登ろう?」などと懸命に目の前の課題を乗り越えていく。

しかし、だんだん慣れてくると、頭の中に巡ってくるのは自分との対話。

登山然り、この現象は何度体験しても不思議に思うが、この時間が好きで登山に没頭している。クロスカントリースキーでもそんな時間が流れていく。

約1時間。「精神と時の部屋」から現実の世界にもどってきた。

まだ午後2時。このペースならもう1週回れるなと考えながら、水分と栄養補給をしにホテルに戻ってきた。

まだ自分のレベル的に、山本健一さんのいう「ボーナスをもらう感覚」は味わえそうにないな。そう思いながらも、目の前の課題をクリアしていく感覚に取りつかれてしまっているのかもしれない。

取材協力

店名日光アストリアホテル
アクセス〒321-1661 栃木県日光市光徳温泉
営業時間チェックイン:15:00~
クロスカントリースキー:8:00〜16:00
料金クロスカントリースキーセット
(スキー・シューズ・ストック)2,300円/1日
スノーシューセット2,300円/1日
予約https://www.nikkoastraea.com/

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ライター:
.HYAKKEI編集部 町田