小湊鐵道は千葉県市原市の五井駅から上総中野駅までを走る全長39.1kmのローカル線。今回は、小湊鐵道の線路沿いを自転車で走り、帰りは輪行で電車に乗車するというプラン。スタート地点は、JR内房線とも接続している始発駅、五井駅です。
早朝の五井駅をスタート。東口から更級通りをまっすぐ進んでいきます。4.5kmほど走って国道297号線に出たら上総牛久方面へ。
海士有木交差点を右折して養老川へ。広がっているのは里山の田園風景。深呼吸すると、朝のひんやりとした空気が気持ちいい!東京からほど近いのに、地方の田舎に来たかのような気分になります。左に田園を眺めながら、養老川沿いをしばし南下。
国道297号線にぶつかったら上養老橋を渡ります。ここは小湊鐵道がよく見える撮影スポット。養老川と色づきはじめた森に赤い橋がよく映えています。カメラを構えて少し待つと、電車がやってきました。一両編成の電車は、レトロでかわいい!
小さくて個性豊かな駅舎を巡るのも小湊鐵道の楽しみのひとつ。上養老橋を渡って右折し、しばらく進むと線路にぶつかります。そこから線路に沿って走り、気の向くまま、駅で足を止めながら進んでいきましょう。まず立ち寄ったのは上総鶴舞駅。
小さな木造の無人駅です。駅前には大きなイチョウの木。落葉が黄色い絨毯のようでとってもきれいでした。田んぼの真ん中を通る線路を走り、電車が入ってきました。
線路に沿って走っていくとぶつかる高滝湖。冬はボートに乗ってワカサギ釣りが楽しめる人気スポットです。この日は風もなく、ピンク色の加茂橋が、水面に映っていました。
小湊鐵道沿いには、飲食店やコンビニが少ないので食事をする場所は事前にチェックしておいたほうがいいでしょう。今回は、高滝湖にかかる境橋近くにある洋食屋UMEKAさんに立ち寄りました。
自家製デミグラスソースのオムライスをオーダー。とろとろの卵にほんのりビターなソース、具材大きめのチキンライスがとっても美味でした!
田んぼのど真ん中を走る線路。安全な場所に自転車を止め、しばし、あぜ道で電車が来るのを待ちました。
草の匂いを感じつつ、身を低くしてカメラを構えること約10分。電車が来ました!里山に自然と溶け込む小湊鐵道は、どこから見ても絵になります。運行本数も少なく、とくに上総牛久駅から上総中野駅間は平日の昼間だと2時間に1本程度に激減するため、電車の写真を撮りたい場合は事前の時刻表チェックは必須です。長時間待つことも考え、体温調節もできるよう服装にも気をつけましょう。
ひときわ小さな駅、飯給駅に到着。線路は田んぼから森へと続いています。ホームから見えるのは、森を守るかのように佇む鳥居と柿の木。
一日の平均乗車人数は4人(2013年)。自動販売機もないこの駅に、なんと「世界一」のものがあるんです。それは、トイレ!女子トイレのドアを開けると、そこに広がるのは約200㎡の空間。広い空が見えるトイレの中に、草が茂り、木が生えているんです。その真ん中にガラス張りの個室があります。駅舎より断然広いこのトイレは、世界一の広さを誇るそう。女子トイレのため残念ながら男性は入れないのですが、女子のみなさんは飯給駅に行ったらぜひトイレに行ってみてください。
飯給駅からは県道160号線を左に出て少し進み、「月崎駅」の看板が出ている道を左折します。
そこから先は田んぼではなく森に入っていきます。道も悪く、アップダウンが続くので気をつけて走りましょう。
やがて見えてくるのが、まさに山の真ん中をくり抜いたといった感じの素掘りのトンネルです。明治時代に掘られたこのトンネルは、ゴツゴツとした壁がそのまま残されており、遺跡を探検している気分に。中は暗いのでライトを点けて進みましょう。トンネルを抜けると、さらに高い木々が茂る森の中。木漏れ日の中を自転車で走るのも貴重な経験です。
全部で3つあるトンネルの先にある月崎駅の前には、緑に覆われた建物が。これは現代美術家の木村崇人さんの作品。自然の中、昔からそこにあったかのように溶け込んでいます。
月崎駅から線路に沿って走り、今回の自転車での終着点、上総大久保駅へ。
上総大久保駅のホームから見えたのは、傾きはじめた日に照らされた里山の風景。名残惜しさを感じつつ、自転車を輪行袋に入れ、電車に乗り込みます。五井駅まで約1時間、のんびりと列車にゆられました。自転車での走行距離は約40km。はじめてなのにどこか懐かしい「ふるさと」の空気を感じながらのサイクリングになりました。
今回は冬の景色でしたが、春や夏にもまたそれぞれの美しさを見ることができそうです。