山登りの装備と聞いて、ザックや靴、水筒、食料、着替え…など、使用頻度の高い装備を想像することは難しくないでしょう。しかし、実際に自分で計画を立てて山へ行くことになったら、これらのほかに何が必要になるのか、具体的にイメージすることはできますか?
雨が降ったら…?予想外のケガをしてしまったら…?山の天気は変わりやすく、ケガをしやすい場所も多くあるため、想定外の事態に対応できる装備も必要になってきます。ただし、心配だからと言ってさまざまなものを装備に含めると、「重くて山登りが楽しめなかった…」なんてことになりかねません。
そこで今回は、「セルフレスキュー」という観点から、自分自身の身を守るために必要な装備をご紹介します。
今はネットなどで多くのルートを検索できますし、それをプリントアウトして持っていくことも可能です。また、スマートフォンのGPSアプリなども充実しています。
しかし、電池がなくなってしまったら?そして道に迷ってしまったら?といった状況も考えられるので、必ず地図とコンパスは持参しましょう。地図に関しては、登山地図と地形図を合わせて持参するのがベストです。以下では、山登りで活用しやすい登山地図・地形図をご紹介しましょう。
登山地図のベストセラー。防水加工がしてあり、山小屋や水場などの情報、周辺エリアの連絡先なども載っています。付録の冊子には、地図以外の情報が満載。
一般的な山道以外で、バリエーションルートなどを行く場合は、国土地理院から出版されている地形図が必須となります。登山用品を扱うお店などで販売されています。
「地図の読み方がわからない…」という方は、地図とコンパスの読み方などを学べる、登山者向けの講座に参加してみると良いでしょう。地図を読めるようになると、登山がもっと楽しくなります!
また、せっかく地図を持参しても、北も南もわからないのでは地図を読むことができません。道に迷うことは誰にでも起こりうるため、地図とコンパスは必ずセットで持参しましょう。
山登りにおいては、ヘッドライトも必須になる装備です。中には、「日帰りだし、夜歩く予定がないから必要ない」と思っている方もいるかもしれません。しかし、山登りでは予想外のトラブルに巻き込まれる恐れがあります。
私は以前、過去5回以上登り慣れている山で日帰りの山行計画を立てましたが、大雨落雷に遭ってしまい、山小屋で予想外の待機をしたことによって、下山時刻が遅くなりました。そして、山小屋の方の「今から下山するの?まあ、慣れた山だし、月明かりもあるから充分下山に間に合うね」という言葉通り、遅くなってから下山を開始しました。
しかし、慣れない月明かりはあまり頼りにならない上に、頼りのヘッドライトをこの日に限って忘れてしまいました…。最終的には、携帯のライトとカメラのフラッシュをたいて、泣きながら這うように下山した苦い経験があります。
明かりが一切ない山は、想像以上に怖いものです。予備電池とともに、ヘッドライトは必ず持っていきましょう。
山の天気は変わりやすく、晴れの予報であったとしても、突然天気が崩れてしまうこともあります。そのため、雨具も必須になる装備と言えます。
山では「雨に濡れないように」と言うより、「濡れた後の体温低下を防ぐ」という意識を持ちましょう。山で体を濡らすことは、実はとても危険なこと。雨が降る前に素早く装着できるよう、雨具を準備しておきましょう。
エマージェンシーシートは、防風・防水・保温などに効果的な装備です。特にツェルトなどを持ち合わせていない場合は、すぐにくるまれるように準備しておくと良いでしょう。
本格的なクライミングに使用する目的でなくても、登山ではロープとカラビナが何かと役にたちます。ツェルトを張る時やケガをした時の応急手当などに活用でき、使い方に特に決まりはありません。
登山時にはペットボトルなどの水分以外に、温かい飲み物を入れる水筒や、休憩時などに温かいものが食べられるように、クッカーやガスを持っていくと良いでしょう。これは季節に関係なく、山ごはんなどでも活躍しますね。
持病薬や応急手当ができるものは、必ず持っていきましょう。このほかに、ガーゼやテープ、包帯、小型の医療用ハサミなどがあると便利です。
山登りにおいて、意外と使える装備が手ぬぐいです。汗を拭くタオル代わり、防寒のために首に巻く、簡単に割けるので包帯代わりにと、さまざまなシチュエーションで活躍します。
冬はもちろんのこと、夏でもそれなりの防寒具は用意しておくべきです。特に標高の高い山に行く時には、私は夏でもコンパクトになるダウンジャケットを持っていきます。
体温調節をする際には首と脇の下が効果的であるため、ネックウォーマーなどを持参すると良いでしょう。
山登りの装備で大切なポイントは、自分の体力や知識、実力を基準として選ぶことです。「一緒に行く人と同じものにしよう」という考えではなく、登る山や気候などをよく調べた上で、最低限必須のもの以外に、自分にとって必要になるものを用意しましょう。
また、めったに使わない新品の装備もあるかもしれませんが、いざという時にすぐに使えるように、使用方法に慣れておくことも大切なポイントです。何度も繰り返し山に登って経験を積めば、自分に合った装備も少しずつわかってくるでしょう。