「尾根」という言葉を聞いたことはあるけど、その意味をはっきりと説明できない…そんな方でも大丈夫!尾根とはどんな場所か、尾根歩きをする際はどんな点に注意すべきかを、尾根の魅力とともに紹介します。
尾根を簡単に説明すると、山頂と山頂の連なりのことを言います。地図上では、等高線の突出として示されています。
尾根伝いに山から山へ渡り歩く登山スタイルを、尾根歩きまたは、縦走と言い、登山を楽しむ方にとって醍醐味のひとつとされています。
尾根歩きの魅力は、連なる山頂からの景色を楽しみながら登山ができること。一度尾根まで登れば、高い場所からの景色が続きます。日本アルプスの中央部や、朝日連峰など東北地方の山々、北海道の大雪山など標高の高い場所では、森林限界と言って、環境によって木が育たない場所もあります。そういった尾根では視界を遮るものがないので、より雄大な景色を楽しめます。
標高の高い尾根は、高山植物の宝庫。時には足を止めて、その場所ならではの高山植物を観察したり、写真に収めたりするのも尾根歩きの醍醐味です。下界ではお目にかかれないレアな植物を探してみましょう。
標高の高い尾根には、雪渓と呼ばれる雪や氷が溶けずに残っている地帯も。場所やタイミングによっては、夏でも雪渓があります。安全にアクセスできる雪渓では、冷たい水を補給したり、顔を洗ったりできます。そんな経験は一生の思い出になることでしょう。
尾根は視界を遮る木が生えていない分、直に日光と紫外線が降り注ぎます。紫外線対策や、熱中症対策をしっかり行いましょう。
風を遮る木がないうえ山頂なので、麓や中腹よりも強い風が吹くことも多いです。風でバランスを崩さないよう注意が必要です。風が強い場合は、歩幅を狭め少しずつ前進するのが有効ですが、バランスを崩すほどの強風の際は、風が落ち着くのを待つのが英断です。また、風による体の冷えを防ぐアウターなどの装備も用意して臨みましょう。
悪天候の予報があった場合は、落雷のリスクが高いので登山は避けましょう。急な雷雨の場合は、近くの山小屋に避難するか、もしくは速やかに下山しましょう。登山中は、雷雨の前兆となる積乱雲の発生など、天候の変化に気を配ることが大切です。
ヤセ尾根とは、両側が急斜面になっている道幅の狭い尾根のことを言います。滑落の危険性が通常の尾根より高いので、足元に十分に注意しましょう。また登山者がすれ違うだけの足場の幅がない場所では、前方から人が来ていないかを確認し、譲り合いながら進んでください。
尾根には水場がないことが多いです。尾根歩きの際は十分な水分を用意しておきましょう。
尾根の注意点を踏まえて、尾根歩きをするために必要な装備を揃えましょう。基本的な登山装備に加えて、こちらのアイテムがあれば尾根歩きが快適になります。
尾根は岩場も多いので、グローブがあると怪我を防止できます。
尾根で一息ついて、山ご飯を作る際に便利なアイテムが、折りたたみ式の風防です。尾根は木が少ないことが多いので、強い風が吹きがち。そんな時に風防があるとバーナーの火が安定します。
尾根は木も少なく開けているので、直射日光にさらされがちです。日射病防止のためにツバつきの帽子を用意しましょう。
上記と同じ理由で用意しておきたいのが、日焼け止めやサングラスなどの紫外線対策グッズ。さらに日焼けが気になる方は、長袖のトップスやスパッツも有効です。
標高が高い場所は日中と夜間の寒暖差があり、夏でも冷える場合があります。ゴアテックスなどでできた雨や風を遮る素材のアウターや、保温性の高いミドルレイヤーを用意すれば、さまざまな状況に対応できます。
尾根は砂利道になっている場所も多く、シューズに小石が侵入して歩行の妨げになる場合も…そんな時は、小石の侵入を防ぐゲイターがあると気にせず尾根歩きを楽しめます。
山のてっぺんからの絶景やそこで出会う高山植物など、魅力あふれる尾根歩き。その反面、尾根ならではのリスク対策や準備が必要です。尾根を知り、安全第一で登山を楽しみましょう!