※こちらは2019年12月16日に公開された記事です
北アルプスの玄関口、長野県松本市で生まれた「ZANE ARTS(ゼインアーツ)」。記念すべき第一弾の幕モノ4モデルの初回ロットは、なんと即日完売。9月に投下された2ndロットも予想を上回る予約状況で、ユーザーの心を鷲掴みにし、今もっとも勢いのあるアウトドアメーカーです。
そんなアウトドア界の新星「ゼインアーツ」は、いったい何者なのか。その魅力と裏側を探るべく、松本市のオフィスを訪ねました。
――2019年4月の初回ロットは即完売。9月に発売された2ndロットも、予想を上回る予約状況だったとお聞きしました。その反響をどのように受け止めていますか?
自分が思い描いていたイメージに、やっぱり需要があったんだなと感じました。みんなこういうデザインのテント、この価格帯のものが欲しかったんだなって。もちろん、適正価格を狙って作っていた背景もありますし。「この製品がこれくらいの値段だったら嬉しいな」という製品の平均化をしっかり実現していったので、みなさんに受け入れられたのかなと思います。
――なるほど、ポイントは“平均化”にあると。
たとえば、僕の趣味だけでモノを作って、100人にどうですか?と聞いたら、賛同してくれるのは10人だけかもしれませんよね。僕の趣味だけで作っているわけですから。でも僕は、100人中100人がいいと言ってくれるデザインや機能を追求して作っています。色々な趣味をもったアウトドア愛好家のみなさんがいるなかで、いかに平均を考えられるかどうかが大切じゃないかなと。
ゼインアーツはガレージメーカーではありません。在庫をして、多くの人たちに使っていただきたいと考えているブランドなので、平均化というのは重要だと考えています。
――でも、その平均化を見極める作業こそ、難しいように感じるのですが。
僕は高校生の頃からアウトドアが好きでずっと楽しんできたし、この業界で働いて27年間ずっと見てきました。各社から色々な製品が出てきて、流行りやニーズの移り変わりを目の当たりにしている。だから、今はこういうモノが求められているだろうというニーズと市場を把握できているので、平均化できるのかもしれません。長い間、業界の歴史を知ってきているからこそだと思います。
――購入された方からはどんな声が届いていますか?
男性からは「カッコイイ」、女性からは「可愛い」とよく言われます。僕には「可愛い」にピンとこない部分もありますが(笑)。でも、素直な感想を引き出せているというのは、狙い通りのデザインになっている証拠かなと思っています。また、空間を効率よく広げる設計になっているので、中に入った時に「見た目よりも広い!」という声も多くいただいています。
――わたしも最初ゼインアーツの存在を知ったとき、びっくりしました。機能的で、カッコよくて、さらに価格もお手頃。これって誰しもができることじゃないと思うので、こうやって実現してくれる人が現れたというのは、本当に嬉しいなことだと。わたしに限らず、多くのアウトドアユーザーがそう感じたと思います。
ほかにも、「どのテントにしようか3年悩み続けて、ようやくめぐり合いました」ってメールしてくださる方も結構いらして。おそらく、みなさん価格で躊躇していたんじゃないかなと。ゼインアーツのテントは一番高い「ゼク-M」でも税込みで8万円台。他社さんのワンポールテントと比べると半分くらいの価格なので。
多くの人たちに喜んでもらいたいという想いがきっかけでゼインアーツを始めたので、これまでテントを買いたいけど高くてなかなか買えない……と躊躇していた人たちがキャンプの世界に入ってきてくれたことで業界が活性化していくのであれば、こんな嬉しいことはないですね。
――先ほど、「多くの人たちに喜んでもらいたいという想いがきっかけでゼインアーツを始めた」とおっしゃっていましたが、もう少し具体的に立ち上げたいきさつを教えてください。
もともとはアウトドアメーカーに所属して、製品開発とブランディングを担っていましたが、僕自身もアウトドア愛好家として、モノ作りは趣味みたいな形でずっとやってきていました。自分の外遊びを通じて、「こういうモノがあったらいいんじゃないかな」というアイデアのストックは、常に頭の中にあって。
昔は市場も小さくて、値段もそんなに高くなかった。けれど、最近のアウトドア市場はモノがやたら高くなっているじゃないですか。テント一つで10万、20万円する。これってお客さんどう思ってるんだろう?って、2018年頃からずっとモヤモヤしていて。この疑問が、ゼインアーツを立ち上げるひとつのきっかけになっています。
――確かに、昔に比べると今は10、20万円クラスのテントがたくさん販売されていますね。
本来であれば、市場が大きくなってロットが増えれば、値段が安くなって当然なんです。でも、テントにしても年々値段が高くなっている。
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