夏の『名残』を噛み締めて。とうもろこしづくしの、あまーい外ごはん What a delicious Outdoor #23

夏の風物詩、とうもろこしを最後までおいしく楽しむ。

6~9月に旬を迎えるとうもろこしですが、北海道産などは10月頃まで楽しめます。

また、日本の「旬」には、季節の移ろいを楽しむ「走り・旬・名残」という考え方があり、旬が過ぎてそろそろ終わりの食材を惜しみがら楽しむ時期を「名残」と呼ぶのだそう。北上する産地を感じながら、夏の名残を惜しんで。この季節最後のとうもろこし料理の数々を作っていきます。

覚えておきたい、美味しいとうもろこしの見分け方

とうもろこしの一番の魅力といえば、甘くてみずみずしい味わい。特に旬の時期のとうもろこしは、糖度が非常に高くまるでスイーツのような甘さです。

今回使用するのは、長野県岡谷市の樋沢という地域で作られたとうもろこし。この地域は、昼夜の寒暖差によって、糖度の非常に高い甘いとうもろこしが作れるのだそう。毎年、8月には「もろこし朝市」という岡谷市のとうもろこしの直売会が行われていて、朝早くから行列ができる程人気を集めています。そんな地域の中でも今回は長野の農家「ワームファーム」和田佳浩さんが作る、こだわりのとうもろこしを使っていきます。

檀さん達が用意してくれた、採れたてのとうもろこしをまずは生の状態で試食。これが、驚くほど甘い!まるでフルーツを食べているような桁違いの甘さで、とってもジューシー。思わずあとを引く味わいです。

少しでも美味しいとうもろこし選ぶコツは、なんといっても鮮度を見分けること。
1.芯の切り口が白い、2.ひげ根の色が濃い茶色で、ふさふさしている、3.皮の色が濃い緑色、などがフレッシュなとうもろこしのポイントです。

スーパーなどで買うときも、しっかり食材を観察して、甘いとうもろこしを手に入れたいですね。

素材そのものを味わう!「バターコーングリル」

シンプルにとうもろこし本来の味を楽しむためには、やはり「そのまま」が一番。焼きとうもろこしを作る際も、ちょっとした工夫でグッと美味しさを引き出すことができます。

ヒゲを切り落とし、薄い皮を残して外側の皮を数枚むき、皮付きのまま焼く前に下茹でをします。(水から茹でて、沸騰してから6分間茹でる。)
皮付きで茹でることによって、とうもろこしのうまみを閉じ込めることができるのだそう。

茹で終えたら、皮付きのまま全体的にこんがり焦げ目がつくまで焼いていきます。
皮付きのまま焼くことで、中は蒸し焼きのようになり、シャキ!っとした新鮮な歯ごたえと、甘みを逃さずに焼くことができます。
香ばしい香りと、食欲そそる黄色に、思わずかじりつきたくなってしまいます。

とうもろこしが温かい内に身を削ぎ落とし、熱いうちにたっぷりのバターと混ぜ合わせて、バターコーングリルの完成です。
(とうもろこし4本に対して、バター40g程度を使用)

もちろんそのまま食べても美味しいのですが、今回はこの焼いたとうもろこしを様々なレシピにアレンジしていきます。

DAN’s Point!
・キッチンで簡単にアウトドア気分!究極のとうもろこしの作り方
実は、レンジでチンをするだけでも、とうもろこしがまるでグリルしたかのような香ばしい味わいで楽しむことができます。
レンジ調理をすると水分が飛ばすに、みずみずしいままおいしく頂くことができるそう。
<作り方>
とうもろこしの薄皮一枚を残して、レンジでそのまま5分間加熱したら完成。

コーンと魚介のコラボレーション。ケイジャン風アレンジレシピ

とうもろこしの一大産地アメリカでは、ホームパーティーなどでも様々なとうもろこし料理がふるまわれるのだそう。

今回はアメリカ南部で作られている、ザリガニとコーンを使った「ケイジャン料理」から着想を得て、とうもろこし×魚介の華やかなメニューを作っていきます。

この日は檀さんが宇和島の漁師さんから仕入れてくれた新鮮なアワビも調理の仲間に加わります。晴れの日のアウトドアで食べたい、なんとも贅沢な一皿です。

■魚介とコーンのケイジャンボウル

<材料>
・アワビ 個(その他の貝類でも可)
*肝のソース
・アワビの肝
・アワビの蒸し汁 適量
・日本酒 少々
・醤油 少々
・昆布だし 少々
・塩 少々

・冷凍エビ 1パック
・サラダ油 適量
*お好みで
・レモングラス 適量
・カルダモン 適量

・調理したバターコーングリル 適量

<アワビの下準備>
1、アワビに日本酒をかけて、クッキングシートを敷いた蒸し器で10分程度酒蒸しにする。
2、蒸しあがったら肝を外す。
3,肝を潰しながら、*の材料を混ぜ合わせ、肝のソースを作っておく。

<エビの下準備>
1、冷凍エビを解凍し、片栗粉をしっかりと絡めるようにまぶす。
2、フライパンにサラダ油をしき、レモングラス、カルダモンを加え弱火で熱する。
3、エビを加え、両面に焼き色をつける。
4、水溶き片栗粉を全体に絡めながら入れて、火を通していく。
5、火が通ったバットに移す。
6、塩で味を整え、ココナッツオイルをまわしかけ、
お好みでレモンを絞って完成。
<仕上げ>
1、バターコーングリルのコーンを、お皿によそう。
2、アワビとエビをバランス良く盛り付ける。
3、お好みでハーブやエディブルフラワーを散らして完成。

たっぷりのコーンを器いっぱいに敷き詰め、まるで「丼ぶり」のような満足感のあるメニューに!エビとコーンのコントラストが華やかに映え、テーブルの上をにぎやかにしてくれること間違いなしの一品です。

素材の甘みが引き立つ、とうもろこしのバタースープ

とうもろこしを使った定番アレンジといえば、スープ。ちょうどいい甘さと、クリーミーな味わいは大人にも子どもにも人気のメニューですよね。とうもろこしにバターをプラスして作る、クリーミーでコクのある、優しいクリームスープのレシピを紹介します。

■とうもろこしのバタースープ
<材料>
とうもろこし2本
粗塩 適量
バター 10g
水 400ml

1、 とうもろこしの実をそぎ落とし、バターで軽く炒める。
2、 鍋にとうもろこしの芯と水を入れて中火で15分ほど加熱する。
3、 芯を取り除き、なめらかになるまでミキサーにかける。
4、 味をみて塩を足す。なめらかさが足りなければさらに水を足す。
5、 濃厚さが欲しければ生クリームを少し足す。

まるでスイーツ!?スープをアレンジしてつくる、とうもろこし豆腐

とうもろこしの絶妙な甘さとクリーミーさを生かすメニューとして、檀さんが発想したレシピは、なんと「とうもろこし豆腐」。とろーり口の中で甘く溶けて、まるでプリンのような味わいに!まるでスイーツのように楽しめるアレンジレシピは、この日私が一番虜になったメニューでした。アウトドアのちょっとしたデザートにもおすすめの一品です。

<材料>
・とうもろこしスープ:生クリーム=2:1
・塩 少々
・ゼラチン 適量

<作り方>
1、とうもろこしスープに生クリームを入れてミキサーで撹拌する。
2、1にゼラチンを加え、再度ミキサーで撹拌。
3、全てしっかりと混ぜ合わさったら、お好みのカップにいれて冷やし固めて完成。

お箸が止まらない、やみつきの美味しさ。とうもろこしの土鍋ごはん

いつもよりもちょっと特別なご飯を食べたいキャンプなどのシーンに、土鍋ごはんにチャレンジしてみるのはいかがでしょうか?土鍋でご飯を炊くというと、一見ハードルが高そうですが、実は炊く時間も短く、手軽に調理ができます。

■とうもろこしの土鍋ごはん

<材料>
・ごはん 3合
・水 500cc
※炊飯器で炊く場合は、水は若干少なめで。
・とうもろこし 2本(芯も一緒に炊く)
・塩 ひとつまみ
・バター 15g

<作り方>
1、材料を全て土鍋に入れる。
2、土鍋を中火にかけ、沸騰させる。
3、沸騰してから、弱火で12分程火にかけたら、火を止めてしばらく蒸らす。

炊きあがったご飯は、盛り付けも一工夫。とうもろこしの「皮」の上に盛り付ければ、見た目もとっても可愛く仕上がります!

旬の最後まで、夏の宝を存分に味わって。

旬がもうすぐ終わる時期の、「名残」の期間。夏の眩しい思い出を思い出しながら、とうもろこしの最後の旬を楽しんでみてくださいね。

取材協力:CLUB3719

(写真:小澤彩聖)

▼その他の「WHAT A DELICIOUS OUTDOOR」も好評公開中!

シェアする
ライター:
小林 未歩