各地域の地形や気候が、風土を造り、風土が文化を生み、文化が人を育みます。
でもわたしたち登山者やキャンパーが遠くの山や海に遊びに行く時、楽しんでいるのは、その地域の風土だけ。
交通の便の良さゆえの、雄大な自然への直行直帰。
もちろんそれもいいのですが、どうせ遠くへ遊びに行くなら、たまにはその地域の文化や人も含めて楽しむのもいいのではないでしょうか。
とはいえ、忙しいわたしたちにとれる休日は2,3日。
それなら1日は登山やキャンプに、1日は地元の人との交流に。
そんな休日はいかがでしょう?
いつものアクティビティに「いきつけの田舎touch」をプラスすれば、その地域の自然、風土、文化、人、ぜーんぶ、楽しめる休日が過ごせるかもしれません。
「いきつけの田舎touch」で開催された「やってみよう、ひまわりの収穫体験と地元素材の石けん作り」も、そんな田舎まるごと楽しめる体験でした。
今回やってきたのは、八ヶ岳の麓、長野県富士見町。午前中はひまわりの収穫、そして午後は地産の素材をふんだんに使ったカラダにやさしい石けん作り。さらには、地元のおかあさんお手製の田舎ランチも味わえる、もりだくさんの1日です。
まずは農家さんのひまわり畑におじゃまして、ひまわりの種を収穫です!
刈り取る部分は、花の部分だけ。「こうやってカマの刃を花の柄に入れて……」と、農家さんにレクチャーしてもらいながら、みんなで実践していきます。
最初は使い慣れないカマの扱いに、緊張したり、ドギマギしたり。でも、一度慣れてしまえばなんのその。収穫スピードはどんどんペースアップ。
「パパ、僕にもできるよ!」と、子どもたちも積極的に参加。カマで怪我をしないように見守りながら作業をしていきます。じつに頼もしい姿!
そして開始から30分。じゃーん! 見てください、この収穫量。30袋以上ものひまわりの花を収穫できました。これを軽トラで農家さんの家に運んで、しばらく乾燥させ、脱穀と搾油を経て、ひまわりオイルとして他の食用油のように料理などに使うことができるようになるそうです。
花を咲かせているときのひまわりの姿はよく目にしていましたが、こんな風に収穫をしてオイルを作ることができるなんて、ちょっと意外ですよね。
もともとここは畑作を行っていない休耕地。けれど、「雑草を生やしておくだけじゃもったいない!」と、今から15年以上も前に、この土地に住む農家のお嫁さんが「ひまわりの会」を旗揚げ。日本でも有数の日照時間が長いこの土地の特性を生かし、ひまわりを植えてオイルを搾油することにしたそうです。
それがきっかけで、今ではひまわりオイルが富士見町の特産品になったわけですから、本当にスゴイことですよね。
現在、「ひまわりの会」メンバーは、およそ30名。富士見町に住む女性が中心で、本業である農業の合間を縫ってひまわりの耕作をしているとのこと。そのため大量生産ができず、地元のスーパーなど限られたお店にしか出回っていないんだそうです。とても貴重な体験でした。
収穫したあとは、別室に移動して石けん作り……なのですが! 今日作るのは、単なる石けんではありません。石けんに加えるドライハーブ、はちみつは、すべて富士見町産という、まさに“地産地消石けん”です。
石けんの元になる素地に、好きなドライハーブ、はちみつ、好みの香りのアロマ精油を加えて、混ざりあうように何度もこねていきます。
「形どうする?」「なに混ぜよう?」と、久しぶりの工作に大人も大はしゃぎ。子どもたちも想像力を膨らませながら、夢中でこねこね。
そして最後に、混ぜ合わせた石けん素地を型に押し込み、取り外せば完成です。
ただし、石けん自体はすぐに固まらないため、1週間ほど自宅で乾燥させると使える状態になるとのこと。
今回はひまわりの収穫だったのでオイルを入れられませんでしたが、「はちみつの代わりにひまわりオイルを加えて作ってもしっとりするのでいいですよ」と、小古間さん。
「この石けんはあの場所で育った素材から出来ているんだよなぁ」と、家に帰ってから想いを馳せるというのも、アウトドアのひとつのあり方かもしれませんね。
ひまわり収穫と石けん作りの合間に、地元食材のお弁当をいただきました。
本日のメニューは、古代米とキヌアのご飯、じゃがいものごま味噌和え、鹿肉コロッケに、夕顔となすの煮びたし、そして天よせ。使用している食材はすべて地のモノで、そのときの旬な食材をメインに作っているそうです。
ところでみなさんは、“天よせ”って何か知っていますか? わたしはてっきり天ぷらの何かかな?と思ったのですが、「寒天で作ったゼリー」を天よせと呼ぶそうです。長野県の伝統食で、よく食卓にあがるんだとか。今回いただいた天よせは、ルバーブとくるみ入り。さっぱりとした味わいでデザートにぴったりでした。
「田舎料理でどうってものでもないんですが」と、おかあさんたちは謙遜気味でしたが、どれも食材の旨みがひき立っていて、とってもおいしい! それに、なんといっても、おかあさんたちのやさしい笑顔に心が和みます。
自分のカラダの元になる食材が育った環境に足を運んで、そしてその食材を調理した人と交流しながら味わって。同じ国でも、風土が違えば食文化も違ってくるわけで、“知っていることがどんどん増えていく“のは、大人になっても楽しいもの。やっぱり、ぬくもりのあるごはんっていいなぁ。
ひまわりを収穫して、石けんを作って、お弁当を頬張って。今回、さまざまなことを地元の方々に案内してもらって体験しましたが、総じて感じたことは、また行きたくなる、会いたい人ができるっていいものだなぁということ。
「いきつけの田舎touch」で開催している体験イベントは、地元の「案内人」と呼ばれる方たちの活躍に焦点を当てているだけあって、とにかく案内人の方が生き生きとしている姿がとても印象的でした。
体験は終始ゆったりとした雰囲気で、いい意味でゆるい。でもそれがアットホームな空間を生んで、参加者を心地よく楽しませてくれているんだろうなぁと。
実際、参加者からは、「地方ならではの温かなおもてなし、言葉かけに感激した」(東京都・50代女性)、「デジタルにふれる時間が長いので、こういった機会をこれからどんどんと増やしたい」(東京都・30代男性)、「想像を超えた非日常感の体験で楽しかった」(神奈川県・40代男性)といった声があり、交流も含めて野外活動を楽しんでいました。
自由に気軽に、個人旅行ができる今の時代。でも、「地元の人と交流したい!」、「出かけた先々の文化を知りたい!」と思っても、わたしたちが気兼ねなくできることといえば、郷土資料館に出かけたり、食堂のおかあさんに話しかけて聞いたりすることくらいです。
ぜひ、あなたも登山やキャンプに「いきつけの田舎touch」を加えて、その地域の自然、料理などの文化、人との会話、その地域をまるごと楽しむ休日を過ごしてくださいね。
(文:山畑理絵/写真:茂田羽生)
■今回の体験案内人:小古間さんインタビュー
「山好き両親との八ケ岳移住で、人生が変わった」
https://hyakkei.me/articles-813
■「さわる ふれあう 感動する」 いきつけの田舎touch
https://www.so-net.ne.jp/touch/
■「ネットにつながる、世界が広がる」 ソニーのネット ソネット
https://www.so-net.ne.jp/access/special/sony_so-net/
■「“つながる”から未来を創る」 ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社
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