ザ・ノース・フェイスと聞いて何をイメージしますか? おそらく多くの人が、ダウンやレインジャケットといった「ウェア」を思い浮かべるのではないかと思います。ザ・ノース・フェイスのアウトドアウェアは機能的に優れているうえ、デザインもお洒落で都会的。フィールドはもちろん街でもよく見かけますよね。
ただ、靴好きとしては、ザ・ノース・フェイスの「シューズ」にもぜひ注目してもらいたい。アウトドアシューズの世界は「餅は餅屋」的なところがあり、シューズ専業ブランドが幅を利かせていますが、アウトドアギアの総合ブランドであるザ・ノース・フェイスのシューズも実はかなり完成度が高いんですよ。これは数々のザ・ノース・フェイスのシューズで山を走ったり歩いたりしてきた僕の実感です。
今回取り上げるのはこちらのモデル。「ウルトラエンデュランスII」という中長距離向けのトレイルランシューズです。
オレンジの色合いが印象的なメッシュ素材のアッパーは、足を保護するTPUプロテクションパーツが全体的にあしらわれ、保護性能の高さを感じさせます。トゥのあたりにあしらわれた大きめのロゴもいいアクセントに。重量は327g(27.0cm/片足)。トレイルランシューズとしては標準的かすこし重ためです。
アウトソールはビブラムのメガグリップ。グリップ力や耐久性の高さに定評がある素材です。ラグ(ソールの突起)もトレイルランシューズにしては高めで、悪路走破性を重視したつくりになっています。
ミッドソールはやや厚めで硬め。圧縮ESSスネークプレートというシャンクが内蔵されていて、ねじれを軽減してくれます。
シューレースにはボコボコとした凹凸がつけられています。これは着用中に緩んだり解けたりしまうのを防ぐためです。
ギュッと固めに結ぶと、通常のシューレースよりも強めのホールド感が得られます。シューレースの余った部分は甲に設けられたゴムバンドに引っ掛けておくことも可能。
ヒール部には着地時の安定性を高める「ウルトラプロテクト クレイドル」という樹脂パーツを搭載。そしてその上にはヒモのようなものが。これはなんのためかというと……。
これは足入れ用のフックです。ここに指を引っ掛けることで、スムーズに着用できるというわけです。
さて、この「ウルトラエンデュランスII」を履いて、実際にトレイルを走ってみましょう。
走り始めてまず感じるのは、ホールド感の高さ。特にヒール部ががっちりホールドされている感じがあり、下りでスピードを上げても安心感があります。
そしてしばらく走ってみて思ったのは、このシューズはかなり硬めの履き心地だということ。トレイルランシューズには屈曲性の高く軽やかなランニングシューズ寄りのものと、ソールが硬く悪路に強いハイキングシューズ寄りのものがありますが、このシューズは圧倒的に後者。硬めのソールはロードのような整備されたフラットな道では若干のもたつきを感じるものの、岩場やガレ場、砂利道といった不整地では抜群の安定性を発揮してくれます。
ちなみに、この撮影をおこなった大菩薩嶺周辺にはそれほどの悪路はなかったのですが、後日このシューズを履いて北アルプスの奥穂高岳〜前穂高岳の岩稜地帯を歩いてみたところ、トレイルランシューズとは思えないほどの安定感があり、ゴツゴツした岩場でも突き上げを感じることなく、足元を快適に支えてくれました(個人の感想です)。なお、このシューズにはアッパーがゴアテックスのバージョンも用意されています。天候が荒れがちな高山のランやハイクで履きたい方にはそちらもおすすめです。
(まとめ)
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