皆さんは「So-net(ソネット)」を知っていますか?ソニーグループのソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社(以降ソニーネットワーク)が提供するインターネット接続サービスです。
この会社、リアルに田舎の人と都会の人をつなげる「いきつけの田舎touch」というサービスを提供しています。ネットの会社なのに、リアル。
.HYAKKEI は読み終わると自然の中に遊びに行きたくなる記事作りを目指しています。都会の人と自然をつなげたいから。自然から得られるものは人それぞれ必ずあるから。
今回、「いきつけの田舎touch」を多くの人に知ってほしい!というお題を頂き、サービスコンセプトに共感した僕たちはお手伝いすることになりました。
だけど、なぜ、「バーチャル」なネットの世界に接続するサービスを提供している会社が、「リアル」に田舎と都会の人をつなげたいのかまだ合点がいきません。2018年7月22日、八ヶ岳自然文化園で行われる山の日サミットにSo-netが提供する「いきつけの田舎touch」がブースを出すと聞き、サービスの発起人、大隅さんと三田さんにお話をうかがってきました。
大隅さん「『いきつけの田舎touch』はSo-netの会員の方向けのサービスです。田舎のありのままの自然を体験する機会を提供しています。特別なアクティビティをつくるのではなく、そこにあるままの田んぼや、あるままの自然に触れて感じてもらう。そこを大事にしているサービスです。」
「いきつけの田舎touch」は、長野県佐久市、富士見町、原村を中心とした地域にお住まいの方々と連携。夜の里山探検、野菜の植付け&収穫体験、ひまわり油での石鹸作り、葉っぱ図鑑作り体験、スローキャンプ、etc …。WEBサイトでは、たくさんの自然体験企画が掲載されています。都会の人に生の自然と触れ合う機会を提供し続けているのです。
――参加した都会の人に変化はありましたか?
大隅さん「葉っぱ図鑑を作る体験があります。そこに参加したお子さんが、理科の実験でルーペを説明なしでも使えるとか、葉っぱに限らず、ものを観察する時にどこを観察しなきゃいけないとか、ちゃんとわかっていて、学校の先生に褒められたって話を聞きました。その子は葉っぱ図鑑作り体験に2回も参加したそうです。」
――逆に、田舎の人達が、都会の人とつながって変化はありましたか?
大隅さん「例えば農家の磯村さん。佐久の内山地区に移住し頑張っています。彼はこの美しい里山を残しつつ佐久を活性化していきたいとずっと考えていました。」
「いきつけの田舎touch」で何度も体験イベントを開催し、都会の人達とつながっていった磯村さん。いつの間にか都会在住のファンが増え、ご自身の通販サイトでお野菜が売れるようになりました。磯村さんの野菜を使った都心でのお料理教室は2ヶ月前には満員に。都会の人向けの情報発信のコツも掴めてきたそうです。
「いきつけの田舎touch」で変わったのは、磯村さんだけではありませんでした。
三田さん「田舎には、博士みたいにきのこのことをなんでも知っている人がいる。森を一緒に歩いているだけでものすごく楽しい。そういう人が普通にいらっしゃるんです。」
畑での作業の後にすいとんを食べる。夜、里山の近くを歩く。夏野菜の収穫をする。これらもすべて田舎では当たり前のこと。
三田さん「それが参加した都会の人には美味しくて、楽しい。田舎の雰囲気、空気、風、そういったものを全部味わうのが楽しい。」
大隅さん「田舎にあるものをそのまま出すだけで、都会の人には、非日常を感じてもらえる。」
――つながって都会の人がすごいってリアクションしたことで、初めて自分達の持っているものの素晴らしさに気づけるのでしょうか。
大隅さん「そう、だから、ほんとに作ってほしくないんですよね。そのままでいい。」
大隅さんと三田さんには、そう確信するようになったきっかけがありました。
佐久市にはコスモス街道という観光名所があります。9月には4万株のコスモスが咲き誇り、多くの人が集まります。しかし、コスモスを植える労働力もバイトを雇うお金もない。何か良いアイディアはないかと市役所から相談を受けました。
大隅さん「それで三田と話しました。コスモス植えるのは地元の人からすると『労働』だけど、首都圏の人達はコスモスを植えることはなかなかないだろうから『体験』と言い換えたら、もしかしたら響くかもしれないと。そして、少しアクティビティを付け加えて、集客してみたところ、何百人もの応募があった。その時にこういう需要があるということ、小さいけど地域の課題を解決できたこと、サービスの存在価値があることに気づかせてもらえました。すごくいい思い出になっています。つなげた達成感がありました。」
1996年からインターネットサービスプロバイダーとしてインターネットを通じて人と人をつなげ続けたSo-net。2000年代後半、大隅さんと三田さんはこの会社で出会います。海釣りが趣味のお二人。半年に1度、一緒に釣りに出かけていたそうです。
2010年にできたソニーネットワークのCSR活動 「So-netの森」。三田さんは候補地探しから関わっていました。立ち上げ後も「So-netの森」の整備活動に主催者側として参加。
元々、ぶどう畑のライブ配信でワイナリーと都会を繋げたいと考えていた大隅さんも整備活動に参加します。
大隅さん「地元の人達と話したり、なんでもない食事を一緒に食べたり、森の整備で身体動かした後の食事がすごく美味しかった。こういう貴重な経験を、社員だけではなく、お客様にわけてあげたいと思ったのも、『いきつけの田舎touch』をはじめたきっかけになっています。」
「So-netの森」があるのは長野県佐久市。お二人は「いきつけの田舎touch」を立ち上げるため、ご縁のあった佐久市役所に毎月何度も何度も足を運びました。直接、担当の方とお話し、たくさんの時間を共に過ごすことで信頼関係を築きあげていきました。
大隅さん「2回目行った時には顔も名前も覚えてもらえてないのですが、5回目行った時には名前をやっと覚えてもらえていました。一緒にお酒を飲む機会もありました。そういうのを繰り返して、このサービスを立ち上げるまでに至っています。ネットはもちろんすごく便利なものではあるし、これからも発展していくとは思っています。でも結局やはり人と人なので、大事なのはどれくらい心通わせられるかだと思っています。僕、人が好きなので。」
前述の佐久の磯村さんにもお電話での自己紹介もそこそこにすぐに会いに行ったそうです。農業に対する情熱、佐久市に来た背景、来る前はネイチャーガイドをしていたこと、30才という若さ、実際に会ってお話しを聞いたことですっかり磯村さんに惚れてしまったそうです。「いきつけの田舎touch」の体験を一緒にやってもらえるよう一生懸命口説いたとか。
大隅さん「やはり、リアルで何度も会って話さないと、人と人の信頼関係はできないと思っています。」
なぜ「バーチャル」なネットの世界へとつなぐインターネットプロバイダーが、「リアル」に田舎と都会の人をつなげたいのか?
その答えは、So-netのブランドメッセージにありました。
人はつながることに価値を感じる生き物だ。 「つながる」の瞬間、そこには喜びや驚き、感動があるから。 あなたと、誰かをつなぐ。あなたと、何かをつなぐ。 あなたの「つながる」を支えたい。その瞬間の喜びを支えたい。
ネットを通じ情報を得て「いきつけの田舎touch」の企画に参加し、田舎の良さに気づき、変わっていく都会の人。リアルな人のつながりから「いきつけの田舎touch」の企画を提供し、気づきを得て変わっていく田舎の人。
So-netの「いきつけの田舎touch」は、「つながったネット上で情報を得て、リアルに人と場につながり、関わった人の世界が広がる」サービスだったのですね。これからもSo-netはどう世界を広げていくのか。楽しみに取材を続けていきたいと思います。
(写真:藤原 慶)
■「“つながる”から未来を創る」 ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社
https://www.sonynetwork.co.jp/
■「ネットにつながる、世界が広がる」ソニーのネット ソネット
https://www.so-net.ne.jp/access/special/sony_so-net/
■「さわる ふれあう 感動する」いきつけの田舎touch
公式サイト:
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