靴が好き。山が好き。そして、走るのが好き。ここではそんな私が、最新の“外遊び靴”を実際に履いて、山を走ったり、歩いたりして、その履き心地をレビューしていきます。
今回取り上げるのは、ニューバランスのトレイルランニングシューズ。「FRESH FOAM HIERRO M D3」というモデルです。
「N」のマークでお馴染みのニューバランスといえば、クラシックなルックスの“お洒落シューズ”の人気が高く、一般的に“ファッション”のイメージが強いかもしれません。とりわけ“Made in USA”のモデル、品番で言うと576、996、1300あたりは、スニーカー好きのあいだではあまりにも有名ですよね。でも、いまも昔も、ニューバランスはあくまでも“スポーツシューズ”のブランドであり、そのベースは“ファッション”ではなく“スポーツ”にあります。ランニング、サッカー、野球、テニス、ゴルフといった幅広いスポーツをカバーするとともに、新しいテクノロジーの開発にも余念がありません。特に近年はランニングシューズに力を入れていて、マラソンの大会に出るとニューバランスを履いたランナーを数多く見かけます。トレイルランニングシューズに関しては、ラインナップはさほど多くなく、業界的にはあまり目立った存在ではありませんが、他人とカブることを嫌う個性派トレイルランナーから一定の支持を得ています。
この「FRESH FOAM HIERRO M D3」には“スポーツシューズブランド”としてのニューバランスが誇る数々の最新テクノロジーが用いられています。
たとえばミッドソールにはFRESH FOAMというニューバランスが開発したクッショニングテクノロジーを搭載。このFRESH FOAMは単一素材でつくられているため、余計なパーツがないので軽量性に優れ、履き心地がソフトという特長があります。
FRESH FOAMのミッドソールはご覧のとおり厚め。長距離ランを快適にする卓越したクッション性を備えています。側面にあしらわれた凹凸のハニカム形状は着地時のクッション性と安定性の両立を図ったものです。
アウトソールはビブラム社製。こちらもミッドソール同様、場所によってハニカム形状を変えて配置することで、グリップ力や屈曲性の向上を図っています。
ライニングはブーティ構造。ミッドカットとまではいきませんが、少し高めの設定になっていて、足をしっかりホールドしてくれます。
足入れをスムーズにしてくれるヒールタブ。全体的にグレー基調のなか、蛍光イエローの差し色がアクセントになっています。
アッパーにはニューバランスが開発したHYPOSKIN(ハイポスキン)を採用。“第二の皮膚”を目指して開発されたこのテクノロジーは、抜群のフィット感と足馴染みの良さが魅力です。
実際に足を通してみると、ブーティ構造のライニングが足をやさしく包み込んでくれるため、フィット感はすこぶる良好。
さて、準備完了。早速トレイルを走ってみましょう。
「FRESH FOAM HIERRO M D3」を履いてトレイルを走ってみた印象は、端的に言うと、実にニューバランスらしい“安心感の履き心地”だなと。ニューバランスのシューズに足を通したことがある人ならわかると思いますが、このブランドのシューズはとにかく“安心感”があって、長時間履いても疲れにくいんですよね。そんなニューバランスの良さがこの「FRESH FOAM HIERRO M D3」にも余すことなく反映されています。今回のテストではこのシューズを履いてトレイルを20kmほど走りましたが、走り終えた後も疲労感はほとんどなし。足をやさしく包み込むアッパーは全体的にソフトなフィーリングで、ソールは厚めながらふわふわとした感じはなく、どんな路面でも安心して前へ前へと進むことができました。
ニューバランスらしいスタイリッシュなルックスも魅力のひとつ。ニューバランスといえば「グレー」を連想しますが、この「FRESH FOAM HIERRO M D3」もご多分に漏れずグレーを基調とした渋めのカラーリングが良い感じです。
ライフスタイル系のスニーカーかパフォーマンス系のランニングシューズかを問わず、ニューバランスのシューズを一度でも履いたことがあり、自分とフィーリングが合うと感じたなら、この「FRESH FOAM HIERRO M D3」は文句なしにおすすめの一足です。あの極上の履き心地を山でも味わうことができますよ。