登山前後の宿で、山トークができたらもっと山旅はおもしろくなるかも。
そんなことを考えたことはありませんか?
北アルプスや白山、乗鞍岳へのアクセスが良い岐阜県高山市には、山に魅了されたオーナーが営むゲストハウスがあるんです。
世界遺産・カナディアンロッキーに寄り添うカナダのバンフ。観光地として有名なこの地で9年間、ツアーガイドやハイキングガイドをしていたのが、岐阜県高山市にあるゲストハウス「とまる」のオーナー、横関真吾さん。同じくカナダでガイドをしていた奥さんの万都香さん、息子の晴くんと3人であたたかく迎えてくれるこの宿には、国内外から多くのバックパッカーやハイカーが集まります。
高山といえば、日本らしい古い街並みと文化が残る情緒豊かな地。もちろん街として魅力的で人気ではありますが、圧倒的な自然のスケールを目の当たりにするバンフで長い年月を過ごした真吾さんと万都香さんは、なぜここ高山でゲストハウスを営むことになったのでしょうか?
「カナダで9年間、ガイドの仕事をしていたんですが、日本にもどってきてカナダの記憶や体験からいくつかの地を転々としてきたんです」
そう話す真吾さんは、若いころ旅行でオーストラリアを訪ねたときに出会った現地のガイドの仕事に魅了され、ワーキングホリデーを利用してカナダでガイドとして働くようになりました。日本人のお客さん向けに、車を走らせバンフ国立公園を案内したり、ハイキングガイドをするのが真吾さんの役目だったといいます。
「日本に戻ることになったとき、バンフからの流れで自然豊かなところがいいなというのと、漠然とした憧れもあって鎌倉に住むことにしたんです。ただ、早いうちに「海より山のほうが自分たちには合ってる」と思い、長野県の茅野市に引っ越してホテルの仕事をしました。それが今から10年前の話ですね。そのあと、自分たちでゲストハウスを営もうと、良い場所を探していてたどり着いたのが高山なんです」
ホテルでの仕事の経験と、カナダでのガイドの経験から国内外のお客さんを迎え入れるゲストハウスをやりたいと思うようになったという真吾さん。国内外のたくさんのお客さんに泊まってもらえたらとはじめて7年、今ではこの地の特性もあってかハイカーも多く利用するようになったといいます。
「以前は観光がメインだった海外の方も、北アルプスの山頂を目指して来られる方が増えてきていますし、日本人のお客さんは登山目的の方が多い印象です。あとは山小屋勤めの方がおりてきたときに、ここを利用してくれています。全体的には20代〜30代くらいのお客さんが多いですね。今は海外のお客さんが多くて7:3の割合くらいなんですが、理想は5:5くらいになればいいなと思っていて、ここでたくさん交流が生まれてほしいですね」
ハイカーにとってもぴったりの宿になっているゲストハウスとまる。実際に高山に住んでみての真吾さんたちの印象はどうなのでしょうか?
「正直、ゲストハウスをはじめてからぜんぜん山には登れていないので、山好きって話すのをためらうこともあるんですけど(笑)。時間ができたり、登りたいなって思った時にすぐ近くに山がある。そういう安心感はありますよね。登らなくても、近くのスーパーに出かけたら駐車場から乗鞍岳が見れたりもしますから。息子が小さい頃に乗鞍岳とかも登ったこともあったんですが、そのときも嫌そうではなかったので、そろそろ大きくなったし家族でまた登りに行けたらなって思います。街自体も、古い街並で時間がゆっくり流れていて過ごしやすいですよ」
最近は登れていないと話す真吾さんですが、昔の山話を聞くと素敵なエピソードが。印象に残っている山について真吾さんの口から出てきたのは、ある夫婦との出会いでした。
「以前、穂高岳に登ったときに山荘で出会ったご夫婦がいたんです。その夫婦は二人で百名山制覇を目指していて、そのときが99座目だったんですね。それを機に仲良くさせてもらっていて、ここにも何度か泊まりに来てもらいました。100座目は槍ヶ岳だったんですけど、サプライズで上高地で待ち構えて見送りをしたんですよ、そしたらすごく喜んでくれて。そういう出会いがあるっていうのも、山の魅力ですよね」
万都香さんは見る山としては八ヶ岳が好きなんだとか。山梨方面からではなく、以前住んでいた長野県の茅野方面から見える姿が素晴らしいと話してくれました。
「新婚旅行もスイスの山を登ったんですよ。本当はカナダに行く予定だったんですけど、当時カナダで鳥インフルエンザが流行っていたので見送りました」
海外の山も知る横関ご夫婦。取材のあいだ、ほかにもご夫婦と八ヶ岳やアルプスなどの山話で盛り上がりました。泊まった宿で好きな山の話ができるとぐんと距離が縮まるし、居心地がいい。晴くんも人懐っこく、宿というよりもホームステイしているような感覚にもなりました。
実は、今月2月1日に高山市内に2号店「Tomarotto Hostel & harubaru」もオープン!新しい宿はよりオープンで1階はエントランスフリーで飲みものを楽しめるカフェのような空間に。ここでもまた、新たな交流が生まれるに違いありません。
北アルプス登山や高山・白川郷観光のベース地として、ぜひ訪ねてみてはいかがですか?
ゲストハウスとまる
<住所>
〒506-0026
岐阜県高山市花里町6-5
<電話>
0577-62-9260
(受付時間 8:00〜11:00/16:00〜21:00)
<Mail>
info@hidatakayama-guesthouse.com
Tomarotto Hostel & harubaru
<住所>
〒506-0026
岐阜県高山市花里町4-6
<電話(とまる)>
0577-62-9260
(受付時間 8:00〜11:00/16:00〜21:00)
<facebookページ>
https://www.facebook.com/Tomarotto-Hostel-harubaru-334955457019418/
(写真:藤原 慶)