焚き火料理にも色々あるけれど、昔懐かしい気持ちに浸りながらも、その美味しさを再認識できるのが「焼き芋」。ひと手間かける豊かさを提案する本企画では、その焼き芋に最も合うサツマイモの品種を決定しました!ぜひ、参考にしてみてください。
今回も檀さんご夫妻が運営するCLUB3719が舞台。庭にある大きな焚き火スペースをお借りして検証します。
この日は天気にも恵まれて、CLUB3719からは美しい八ヶ岳の姿がくっきり。八ヶ岳を眺めながら焚き火と焼き芋、自然の恵みを全身で受けながら検証スタート!
パープル、紅こがね、鳴門金時、シルクスイート、紅優甘、安納芋、紅まさり、紅あずま。おなじみの品種から初耳のものまで、幅広く揃えてみました。
焼き芋の甘みとホクホクとした食感を楽しむために、まずはコツをお伝えしましょう。
サツマイモを新聞紙で包んだら、それをお水の中へ。しっかりと新聞紙に水分を含ませます。こうすることでサツマイモがしっかりと蒸されて、甘く柔らかく仕上がるのです。この上から定番のアルミホイルで包んで下準備完成。
「焼き芋」だからといって文字通り焼きにかかってはダメ。焚き火の真ん中にドーンと放り込んでしまいがちですが、熾火のサイドにそっと置きましょう。ここでじっくりと焼くのがコツです。
この時期ともなれば周囲は落ち葉で溢れています。昔の人は紙や新聞紙なんてなかったので、水分を含んだこの落ち葉をサツマイモの上にかぶせることで、蒸す力を高めていたんだとか。自然の恵みをうまく活用し、じっくり20分蒸らします。合計40分焼き上げたら完成です。
こうすることで外は焦げずにサクサク、中はしっとりに焼きあがります。焚き火の中に放り込んで、できたと思ったら外が丸焦げで中はまだパサパサだった・・・ということはこれでなくなりますよ。
今回は同じ焚き火で調理ができる焼きりんごと今年できの良い鰯をサイドメニューとして用意。焼き芋を焼く40分の間に一緒にできてしまうのでおすすめです。
焼きりんごはアルミ箔に包んでダッチオーブンに敷き詰め、サツマイモと共に熾火で焼きます。
鰯は梅の果肉をサイドに添えた上で季節の葉で包んで、アルミ焼き。さっぱりとした味に仕上がります。
単体でも美味しい焼き芋ですが、今回は8種類も食べるのでさすがに飽きる?ということで焼き芋にあうオリジナルソースを檀さんに作っていただきました。
簡単ではありますが、ここでそのレシピをご紹介しましょう!(記載の分量はグラムではなく割合になります)
2. クリームチーズクリーム(上段右)
・ 生クリーム:1
・ クリームチーズ:2
・ ラム酒:適量
・ 砂糖:少々
・ ミントの葉:適量
3. 抹茶塩(下段左)
・ 細かいパウダー状の塩:2
・ 抹茶パウダー:2
・ クワの葉の粉末:1/2
4. ハーブバター(下段中央)
・ バター(有塩):15
・ 生タイム:5
・ 生セージ:1
・ 生ローズマリー:1
・ 生フェンネルシード:1
・ ドライレーズン:15
・ はちみつ:3
・ ゲランどの粗塩:3
・ 乾燥パプリカ:適量
・ コリアンダー:適量
5. マヨマスタード(下段右)
・ マヨネーズ:1
・ パプリカ:2
・ チリパウダー:1
・ コリアンダー:1
・ クミン:1
・ フェンネル:1
それではいよいよ採点。今回は檀さん夫妻と編集部2名の計4名が上位3つまでをそれぞれ選び、1位=3pt、2位=2pt、3位=1ptとしその合計点で優勝を決めました。
4名中3名が1位に選び、圧倒的だったのがこの紅優甘。誰もはじめは正しい読み方がわからない初見の品種でしたが、これが絶妙においしかったです。
食感は水分をしっかり含んだねっとりしたもので、甘い。皮が他の品種に比べて薄く全体のバランスが最もとれていました。編集部も最初食べた時は「焼き芋じゃないみたい」と感じたほどです。
残りの1名が1位に選んだのがこのシルクスイート。文字通りの甘さが特徴で、編集部は「おいしい焼き芋」という感覚を持ちました。上述したクリームチーズクリームをつけて食べると、もはやスイーツとして楽しめるくらい口当たりがよくおいしいのでオススメです。
しっとりとしていて、ほどよい甘さの品種。一般的な焼き芋で使われることも多いようで、どこか食べたことのある安心感があります。食べた印象では「そうそう、これが焼き芋だよね」という裏切らない味でしょう。
焚き火とセットで秋は焼き芋をすることが増えると思いますが、こうして品種を選び、いくつかソースを用意することでまた違った楽しみが増えてきます。
焚き火でただ焼くだけというシンプルな調理だからこそ、素材とソースとひと手間かけて、より秋の楽しみを満喫してみてはいかがでしょうか?
(写真:村上岳)