焚き火といえば、キャンプに欠かせないもののひとつ。ゆらゆらと燃える炎やパチパチと木のはぜる音は、心に深い安らぎをもたらしてくれます。焚き火にはいろいろなやり方がありますが、昨今注目されているのが1本の丸太を使った「スウェーデントーチ(スウェディッシュトーチ)」です。ここでは、スウェーデントーチ(スウェディッシュトーチ)のやり方と、実際に楽しむときに注意しておきたいことをご紹介します。
「スウェーデン(スウェディッシュ)トーチ」とは、ある程度の太さがある丸太を立ててタテに切り込みを入れ、内部に火を付けて使うかがり火のことです。北欧の伝統的なスタイルの焚き火で、一度火を付けてしまえば薪をくべる必要がありません。明かりになるのはもちろんのこと、暖を取ったりご飯を調理したりすることもできます。大きなキャンドルのようなシルエットもおしゃれで、アウトドア気分を盛り上げてくれるアイテムです。
まずはスウェーデントーチに必要な材料と道具をご紹介しつつ、基本的な作り方・楽しみ方の手順を解説します。
スウェーデントーチに必要な材料と道具は、すべてホームセンターで手に入れられます。チェーンソーは丸太に切り込みを入れる際に使いますが、実際に使用する際は使い方の知識やプロテクター(防護服)が必須です。
丸太を固定し、チェーンソーを使って地面から10cm程度の深さにまで丸太に切り込みを入れます。切り込みの数は4本から6本が一般的ですが、これといった決まりはありません。丸太の太さや燃えやすさを考慮しつつ、自由に好きなだけ入れましょう。ちなみに切り込みが多いほど空気が通りやすくなり、よく燃えます。
火を付けやすくするために、切り込みの中央部分に着火剤や焚き付けを入れます。焚き付けとは、火が付きやすく燃えやすいもののことです。乾燥している小枝や落ち葉、ほぐした縄や麻ひも、松ぼっくりなどが適しています。現地調達することもできますが、準備しておくと安心です。
ライターやマッチで着火剤に火を付けます。着火剤だけでは不十分ですので、焚き付けに火が移るようにして燃やしていきましょう。火の着きぐあいをみながら空気を送りつつ焚き付けをくべていき、丸太に火が燃え移れば着火は完了です。
燃やし終わったスウェーデントーチを消火するときは、完全に火を消すために水を張った金属製のバケツにすっぽりと沈めましょう。内部の火が完全に消えていないと、後で再び燃え始めることがあります。燃えがらを処分するときは、必ずキャンプ場や各自治体のルールに従ってください。
スウェーデントーチは、乾燥している木であればどの種類でも問題ありません。火の付けやすさでいえば「スギ」や「マツ」、長時間燃やしたいのであれば「クヌギ」や「ケヤキ」が適しています。
スギやマツは、葉っぱが細くとがった形をしている針葉樹です。手に入りやすいうえに材質はやわらかめで軽く、火が付けやすいという特徴があります。よく燃えるため火持ちはあまりよくありませんが、そのぶん火力は高めです。
クヌギやケヤキは、葉っぱが大きく平たい形をしている広葉樹。針葉樹と比べると広葉樹は材質が硬めで重く、火が付けづらいという特徴があります。一方で火持ちはよく、長時間にわたって燃やすことが可能です。
スウェーデントーチはアウトドアでの調理にも大活躍します。やり方も簡単で、食材を入れたナベやフライパンをトーチの上に乗せるだけです。ただしトーチは燃えるにつれて少しずつ形が崩れてくるため、カスガイ(建築用の金具)を打ち込んで固定しつつコンロのゴトクのようにしたり、目の粗いバーベキュー用の網を乗せたりすると安全性がアップします。さらに火力がかなり高いので、食材が焦げたり燃えたりしないよう、調理中は目を離さないようにしましょう。
便利でおしゃれなのが魅力のスウェーデントーチですが、火を扱う以上、安全に楽しむことや周囲への配慮が大切です。気をつけておかなくてはならないことをまとめてご紹介します。
直火OKとは「地面の上で直接焚き火をしてもよい」という意味です。直火禁止のキャンプ場では焚き火台を利用することになりますが、丸太を使うスウェーデントーチは台の上にきちんと乗らないこともあります。焚き火に関するルールはキャンプ場ごとに異なるので、必ず事前に確認しておきましょう。
スウェーデントーチが燃え尽きるまでには最低でも3~5時間必要で、意外と時間がかかります。消灯時間や燃焼時間は木の種類や切り込みの数によって変わり、切れ目をたくさん入れれば早く燃えます。
消火用の水は、火を付ける前にあらかじめバケツにくんで用意しておきましょう。もしものときにも役立ちます。
スウェーデントーチを楽しむときにネックとなりがちなのが、チェーンソーで切り込みを入れる作業です。ここでは、チェーンソー不要のあらかじめ切り込みが入ったスウェーデントーチキットをご紹介します。
スウェーデントーチは、キャンプの醍醐味ともいえる焚き火の古くて新しいスタイルです。やり方はシンプルで初心者でも難しくありませんが、マナーを守って安全に楽しみましょう。