自然豊かな岐阜県大垣市の上石津町に木こりとして移住した津田智宏さん。古い建物の屋根裏を自身で改装し、理想の暮らしを実践中の津田さんのお部屋&アウトドアライフを覗いてきました。
ーーまずはじめに、津田さんのアウトドア歴を教えてください。
小さい頃からアウトドア好きだったんですよね。学生の頃はお金を貯めて自転車で旅に出たり、ザックを背負ってヒッチハイクをしたり。自転車がとにかく好きで今も3台あります。部屋作りが落ち着いたらまた色々なところに行きたいなぁって思います。キャンプもしましたけど、僕にとってそれは旅の手段。テント泊だったら安く済みますし、道具も当時はシングルバーナーとコッフェル、そしてテントと寝袋。それくらいでした。
——ではその他のアウトドア道具は社会人になってから揃えられた?
学校卒業後の就職先が愛知県のアウトドアショップだったんです、いいものは大体そのお店で揃えました。いつも「何か安くならないかなぁ」って店内を探ってましたよ(笑)。自転車やテントなどはこの部屋とは別の部屋に全てしまっています。
——お邪魔して真っ先に目に飛び込んだのがこのコールマンのツーバナーだったんですが。
これは僕の宝ものです。ビンテージものではなく復刻版なんですけどいい味出してるでしょ?同じタイミングで人気の赤ランタンもあったんですが、お金がなくてそれはあきらめました。
——他にもお部屋を見渡すとランタンが置かれていたり、お部屋の中でキャンプ道具をディスプレイしているんですね。
ここに見えてるもの以外にもアウトドアチェアとかも部屋で実際に使っています。この家には友達や面白い人がいっぱい来るんですよ。そういう時にキャンプ道具が役に立つ。日常に寄り添いながら道具として使えるものというのをピックアップしています。
——隠れ家的でありながら、ちょっとしたカフェのようにも感じます。
人が集まる家にしたくて、コーヒーや飲み物を色々揃えるようにしているんです。友達が来て気軽にやってもらえたらいいなぁって。移住者がこのエリアには多いんです。そういう人たちが遊びにやってきてくれる憩いの場になったらなぁって。
——この建物自体のこともうかがえたらと思います。古民家を改装したんでしょうか?
築100年以上の建物で、ここはもともと物置だったんですよ。それを改装自由の賃貸として借りています。見てもらうとわかるように、もとの骨組みがとてもカッコよくて、そのまま活かして残しています。屋根も昔のまま。構造上、電気を消すと昼間は外の光が漏れてくるんです。夜なんか軽いプラネタリウムですよ。
——つまりは屋根に穴が空いてるってことですよね?雨は入ってこないんですか?
それが不思議と雨は大丈夫なんです。昔の人の知恵なんでしょうね。ただ構造ではなく劣化で一部雨漏りポイントはあります(笑)
——津田さんのご職業は木こりなんですよね。アウトドアショップからなぜ木こりに?
ログハウスを自分で建てたいっていう夢があって、学生の頃もログハウスのスクールに通っていたんですよ。ショップ勤めだとなかなか時間が取れなかったので辞めてログハウスメーカーを探したりもしました。それで林業なら材料安く手に入るんじゃないか?っていう考えに行き着いて今の仕事をしているんです。ノウハウは最低限ではありますけど身についてきているので、いつかは自分のログハウスを建てます。
——ログハウスにはなぜ興味を持たれたんでしょうか?
ログハウスもそうですけど、木に魅力を感じるんです。この部屋を改造する中でもプラスチックなどは使わず木をできるだけ使うようにしています。木はスキルがあれば直せるんです。削って加工もできるし、色の塗り足しや替えだってできる。結果として一つのものを長く使えるのが木なんですよね。
——自分自身に一定のスキルがついてるから、ここまで素敵に改装ができるんですね。
とはいえ賃貸ではあるので、DIYしたものは退去時に簡単に壊せるようにしています。だから現状復帰も実は簡単で。自分で作ったものは解体もしやすいですからね。
たとえばシェルフは近所の小学校がプランターを廃棄するっていうからもらってきて改造したんです。アイディアさえあれば、自分の理想のものが作れるこの暮らしが好きです。
——こちらに移住してきて、アウトドアライフは何か変化がありましたか?
アウトドアって言ってもびっくりするような景色じゃなくていいんですよね。朝、起きて天気がいいなって思ったらザックと靴を用意して山に登る。この近くに3〜4つ山はあるし、登山口が徒歩5分だったりする。子供も小さい頃はよく連れて行ったんですけど大きくなってきたので、今は一人で行ったりもします。
——アウトドアが生活の一部になっているってことですね。と言うよりも、アウトドアとわざわざ区切る必要もない生活。
そうですね。キャンプにせよ登山にせよ泳ぐにせよ、欲しいものがすぐ近くにあるんです。わざわざ遠くに行かなくても良いっていうのが魅力ですね。自転車が大好きですが、マウンテンバイクもロードも近くに楽しめる道がありますから。
—— 一方で、これだけ日常的に自然に囲まれていると、わざわざキャンプに出かける必要もないのでは?と感じるのですが。
環境はそうですけど、キャンプは気分転換でいきたいと思うことはやっぱりありますよ。日常とは似ているようで違いますから。
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古い建物を自身で改装し、木のぬくもりと人のぬくもりが集まる空間にした津田さん。
その中にアウトドア道具が自然と馴染む様は、道具に振り回されず上手に付き合う本来的な楽しみ方を教えてもらったように思います。