他人の目は気にしない。自然とともにある「自分らしい」暮らし

時に「コンクリートジャングル」と揶揄される東京。そんな街から飛び出して行き着いた先がニュージーランドでした。

ニュージーランド人の生活は「背伸びしない、自分たちらしい暮らし」。ニュージーランドを旅していく中で気づいたこと。それはみんな、自分たちの家族、暮らし、趣味を大切にしているということでした。

自然で遊ぶことが上手なニュージーランド人、波が来ればサーフィンを楽しみ、潮の満ち引きのタイミングが合えば釣りや貝を取りに行きます。

日本人からすると、そんな生活できたらいいなーと多くの人が憧れるニュージーランド人の暮らし。農園に滞在して見えてきたニュージーランド人の生き方・考え方について紹介します。

農業を通じて、ニュージーランド人のリアルな暮らしを体験

南北大きな2つの島からなるニュージーランドですが、北島のニュー・プリマスという都市に程近い場所に私が滞在したオーガニック農園があります。

WWOOFという持続可能な有機農業に興味のある働き手と作り手が繋がり、労働力を提供する代わりに、食事と寝床、そして、現地の人と共に生活することによって文化的な交流ができる仕組みがあります。今回はそれを利用しました。

滞在先は、トマトや梨を主に生産するブライアンさんとジェイニーさんご夫妻の農園です。

あなたは、あなたが食べたもので作られる。

「You are what you eat.」

英語で「あなたは、あなたが食べたもので作られる。健康は食べ物で決まる」というような意味のことわざがあります。このオーガニック農園では、梨やトマトを都市向けに生産・出荷する傍ら、自分たちの食事の半分以上を自給する生活をしています。

宿泊場所はまさかのキャンピングトレーラー。

「トレーラーに泊まるのが夢だったんだ!」と伝えると「あら、ニュージーランド人なら誰もが持ってるわよ」と話すジェイニーさん。さすがニュージーランドです。

この農園では、レタスやズッキーニ、ビーンズ、ニンニクなどの野菜やプラムやリンゴ、イチジクなどの果物も育てています。

「今日のご飯はこのズッキーニをたくさん使いましょう」

そう言って、自分の農園から大きく実ったズッキーニを切り取り、スキレットで料理をして頂きました。

切り口から溢れんばかりに出てくる水分がそのズッキーニの美味しさ、完熟度を表しています。

自然のリズムにそって働く

1日の主なスケジュールですが、基本的に8時〜17時頃まで。天気次第によっては午後がお休みになることがあります。
時間に追われながら働くというよりも、太陽や自然のリズムにそって働き、1日最低でも2度ティータイムをとります。

もともとこの農園を始める前は新聞社で働いていたお二人。なぜこの農園を始めたのか理由を聞いてみました。

「ガーデニングが好きだったのと、美味しいコーヒーや紅茶をゆっくり飲みたかったからよ」

と茶目っ気たっぷりに笑うジェイニーさんは、お菓子づくりも得意。
昼ドラを見るのが好きなようで、気分が乗らない時は昼ドラを見た後に好きなお菓子づくりに熱中することもあります。

こちらは今までここに滞在した人々の名前が記された貴重な名簿。それぞれ思い思いにメッセージが書き込まれていますが、その中でもひときわ目立つのがご夫妻の優しさとジェイニーさんが作るお菓子や料理が美味しかったというメッセージ。

「色んな人が来て、色んな人と知り合えるから私たちはWWOOFの受け入れをしているのよ」

とジェイニーさんは言います。
ここに来た最初の滞在者は金髪の日本人だったそうです。その他、イギリスやドイツ、韓国などその国籍は様々です。

週末は必ず家族と食事をとる”贅沢”な時間

1日の作業が終わった後に私がパソコン作業をしていると

「あなたは日本人ね。知ってるわよ、日本人は忙しいんでしょ?」

とジェイニーさんが言いました。
ブライアン・ジェイニーさんご夫妻にかぎらず、ニュージーランド人は自分の時間、家族との時間をとても大切にします。すでに息子や娘さんが自立されていて、それぞれで家庭を築いているようでしたが、週末は必ずと言っていいほど家族の内の誰かが実家に帰ってきて食事を共にします。

自宅の農園で採れた野菜と農園で育てている羊の肉をオーブンで焼いて、ジェイニーさん手作りのソースをかけて頂いたのですが、これがなんとも贅沢な時間。決して高級な食材を使っているわけではありません。それでも大切な家族と過ごし、自分たちの手で育てた野菜と共に頂くこの時間がなんとも羨ましいと、日本人の私は感じてしまいました。

不便だけど、それを何事もないかのように受け入れる

ニュージーランドという国は、四季や温泉があり、日本と似ているところも多いと言われていますが、働き方・暮らし方については真逆です。

日曜日に営業しているお店は非常に少なく、24時間営業なんてもってのほか。平日も夕方になるとほとんどのお店が閉まります。
そのため、日本から行くと不便だなーと思うことが多々あります。

また、自然や環境、健康への考え方も違います。電気は再生可能エネルギーを使い、自分の健康を考えてオーガニックなもの、ニュージーランド産のものを摂取する機会が多いです。

オーガニックという言葉を聞くと、菜食主義や砂糖や化学調味料を使わない、高級な野菜で裕福な人が買うものといったイメージを持つ方もいるかもしれませんが、決してそういった考え方や肩肘張ったようなものではなく、誰もが町の中にある直売所で販売されているオーガニック野菜や果物を買うような国民性です。

他人の目は気にしない、自分の人生を心から楽しむ

ニュージーランド人の生活に触れていると、欲が全然ないのかなーと感じます。

ブランド品を身にまとっているわけでも高級外車がたくさん走っているわけでもありません。むしろ走行距離が20万キロを超えたような日本の中古車が平気で街中を走っています。
唯一、ストイックに求めるとすれば、それは家族や友人との時間、そして自分の趣味の時間です。

自分がやりたいことを実現するために人生を送る。

他人にどうこう言われるからといって、自分のやりたいことを制限するなんてこともありません。というよりも、他人のことは気にしない。自分がやりたいことをやること、家族と大切な時間を過ごすことに、他人の目を気にする必要はないのです。

自分の人生を心から楽しんでいるニュージーランド人の生活。ぜひ、大自然とともにその文化を体験しにニュージーランドへの旅行計画をたててみてはいかがでしょうか?

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ライター:
佐久間 亮介

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