前回は、登山・キャンプを中心に町の魅力をお届けしましたが、今回は里山トレッキングを通して日常生活から感じる魅力をお届けします。
p>前回記事:◆登山・キャンプだけで帰っていませんか?『ステイ&アウトドア』で地方を満喫する in 静岡県川根本町
川根本町の観光地と言えば北部の寸又峡(すまたきょう)エリア・接岨峡(せっそきょう)エリアが有名ですが、今回はSLに乗って川根本町の中心部 千頭(せんず)エリアに向かいます。大井川鐵道は、日本で唯一年間300日以上SLを営業運転している鉄道会社です。SLも4種類あり、夏にはトーマス号も走ります。どれも人気がありますので、事前予約されることをおすすめします。
昭和初期に製造された客車は、木の座席や白熱灯、古い扇風機など、昭和の雰囲気がそのまま残っています。 レトロな雰囲気を楽しみながら、車輪の音や汽笛に耳を傾け、大井川沿いの景色をゆっくり楽しみましょう。
時間に余裕があれば、乗車前後の時間でSLと記念撮影もできます。今回は、キャンパスラボ(各大学のミスキャンパスが集まり商品開発やプロモーションを行うプロジェクトチーム)も静岡県の魅力をPRする活動の一環として参加し、女性ならではの意見で取材を盛り上げてくれました!
静岡の魅力を発信するインスタグラムも開設しています。ぜひチェックしてください!
◆お茶まちdiary (produce by さわやかGreen teaラボ)
奥大井南部エリアは、観光地ではないため、住人の日常生活を垣間見ることができます。
川面からの高さが10mある塩郷の吊橋は、町内の吊り橋の中で一番のスリルを味わうことができます。
地元の方の中には、なんと自転車で渡る方もいるそうです!
一度に渡れる人数に制限がありますので、気をつけて渡りましょう。
川根本町は、大井川に沿って集落が広がります。集落のそばには、必ず川と山があるため、何をするにしても斜面と付き合わなければなりません。せっかくですのでトレッキングを通して、地元の方が普段見ている景色を味わってみましょう。
集落内は交通量も少なく、斜度もきつくないため、歩きやすい靴さえあれば十分です。道の両側には茶園が広がり、新緑の季節には香りも楽しむことができます。斜面を10分も上がれば、山と集落と茶園が織り成す美しい景色に出会えます。
大井川渓谷がもたらす地理的特徴から、早朝は山霧が発生しやすく、幻想的な景色に出会えるかもしれません。また、昼夜の気温差も大きいため、朝は真夏でも快適に過ごせるそうです。少し早起きして里山トレッキングを楽しんでみてはいかがでしょうか。
このあたりの茶園は民家を取り囲むように存在し、人々の生活の中に溶け込んでいます。訪問した『つちや農園』さんは、標高600mに位置し、世界農業遺産「静岡の茶草場農法」を実践されています。川根茶のポスターもここで撮影されたものです。
しかしながら、若者のお茶離れによる消費量減少や農家の後継者不足から、静岡県内でも耕作放棄地が増えており、将来的にこのような美しい景色も減っていく可能性があるとのことです。このような景色を楽しめるのも、各農家さんの努力があってこそと再認識しました。
町では、農家の皆さまが縁側や軒先で直接お茶を淹れ、もてなしてくれる「川根茶縁喫茶」を実施しています。散策の合間に立ち寄ってみましょう。今回は、茶畑・売店のほか工場も併設する山香荘茶園(やまかしょうちゃえん)を訪問しました。4月末頃からは、お茶摘み体験もできますよ。
普段私たちが口にするペットボトルのお茶は、多くの茶葉をブレンドしているため、日本のどこで飲んでも同じ味がします。一方、茶農家さんがつくるお茶は、気候や肥料によって出来が違うため、同じ茶園でも毎年味が変わります。
石山さんから、「お茶はその土地の1年の気象データをすべて持ち合わせたもので一期一会の存在」という説明がありました。同じお茶でも淹れ方や飲む仲間、季節で味が変わってきます。
一般的なおいしいお茶の淹れ方は、こちら(川根茶 つちや農園)を参考にしてください。
一煎目のポイントは、とにかく葉が開ききる前に注ぐことです。この点に気をつけるだけで、今までのお茶の概念がくつがえる味わいになります。文章で伝わりにくいのが残念ですが、参加者からは、「目を閉じるとお茶と思えない」「出汁に近い」という感想が出ました。
茶葉が開くごとに、味も変化します。三煎目を越えたあたりからようやく我々の知るお茶に近づいてきました。ブランドに関係なく、摘出のタイミングに少し気をつけるだけなので、普段の生活にも取り入れやすいですね。
茶歌舞伎をご存知ですか?同じ条件で淹れたお茶を飲み、その銘柄を当てるというものです。一回飲むごとに花鳥風月客(5種類のお茶)の札を投札箱に入れて、それを5回繰り返し合計点を競います。またの名を闘茶会(とうちゃかい)・茶香服(ちゃかふく)とも言われます。優雅な遊びとして流行していましたが、賭け事までに発展したため、1336年足利幕府により禁止令が出されたそうです。
茶歌舞伎前に試飲をしていたため、参加者全員四苦八苦して投札していました。
茶農家の方でも満点はなかなか取れないとのことです。回数を重ねることでさらに面白さが増すので、川根本町にこられた際、体験してみてはいかがでしょうか?参加人数は20人以下がよいそうです。
お茶を使った地元の楽しみ方のひとつにお茶染めがあります。
染物というと敷居が高く感じますが、ビー玉や紐、洗濯バサミなど身近な材料を使って、オリジナルの模様を入れて染めることができるので、年齢・性別問わず楽しむことができます。
「川根茶縁喫茶」とあわせて、散策の合間に体験してみました。
思い思いの模様をつけた靴下やレッグウォーマーが出来上がりました。肌触りのよい綿を使用しているので、夏は涼しく、冬は暖かくいろんなシーンで活躍しそうです。
いかがでしたでしょうか?
観光地化されていない里山も、ゆっくり歩くだけでその土地ならではの景色に出会えます。
川根本町の大井川渓谷と茶園は、時間帯によりさまざまな表情をつくります。飲むだけのお茶ではなく、トレッキングと組み合わせて茶園景観を楽しんだり、お茶染めで自分だけの作品を制作する体験なども取り入れることで、お茶の楽しみ方も広がり、地域の活性化にもつながります。
SLと新緑の茶園や茶工場からの香りを楽しみに、川根本町に出かけてみてはいかがでしょうか?
体験プログラム(川根茶縁喫茶、茶歌舞伎、お茶染)は、エコティかわねのWebサイトをご確認ください。
◆エコティかわね