“軽さとセンス”を突き詰めたプロダクトを奈良から発信するお店 『yosemite』奈良

yosemiteは奈良県橿原市のアウトドアライフスタイルショップ。国内外のUL(ウルトラライト)系のトレッキングギアから、アメカジ系の洋服まで幅広いラインナップを揃えています。また月に1回「Trail Talk」というイベントを開催しており、体験にも重きをおいて運営。今回はyosemiteの豊田さんにインタビューしてきました。

きっかけは職場の仲間と行った富士山だった

聞けば豊田さんは登山はもちろんのこと、トレランからオリエンテーリング(※1)、マウンテンバイクまで、たしなまれているエキスパート。

そんな豊田さんが登山を始められたのは、アパレルで店長兼バイヤーをされていたときに行った富士山がきっかけだったといいます。

yosemite店主の豊田さん

「当時はアメカジの全盛期で、ファッションとしてパタゴニアとかは国内に入ってきていたわけです。そこで新しく入ってきた子が富士山を登ったことがあるというので、“富士山みんなで行かへん?”とノリでなったのがきっかけです。」

自分たちが持っているアメカジとしてのアウトドアウェアを取り繕って登る。ウェアはパタゴニアでシューズはダナー。意図せず、2000年代当時の主流だったハイキングスタイルを体現していました。

思い切った行動がyosemiteへとつながる

豊田さんは、富士山登頂がきっかけで登山に目覚め、プライベートでも山に登るようになったそう。平日はアパレルの仕事をしながら、休日には奥さんと関西エリアの山を登るようになったと言います。

転機のきっかけは会社で購読していた繊研新聞(※2)で見つけたアンドワンダー(https://www.andwander.com/)の記事。高機能で、山でも街でも着られるというところに「次、コレやな」となったそう。

何とか社内で実現しようと奔走された豊田さんですが、アメカジ路線を行く会社では許可も出しづらい。また豊田さんご自身の異動もあり、その時からご自身で独立しようかと考え出したそうです。

創業当時のyosemite

その頃にはUL系のスタイルが徐々に流行り始めます。豊田さんは気になっているブランドに連絡をとり始めるようになり、そこから独立が一気に現実味を帯びはじめたそうです。

アンドワンダーの取り扱いが始まったり、海外のUL系ブランドに翻訳機を使いながら直接連絡し取引が開始となったりと、商売が広がっていきます。

「お店の名前は、アメリカの国立公園だとかクライミングの聖地とか関係なく、“ヨセミテ”という場所への憧れから名前を付けたんです。」

こうやって、奈良の名店が誕生しました。

ちなみに2017年に、念願だったヨセミテのジョンミューアトレイルを踏破されたそうです。

セレクトの基準は「軽さとセンス」

今でこそ、常連のお客さんに愛されているyosemiteですが、そこには明確な戦略が存在しました。

「奈良っていう土地柄的にバッティングの問題がほぼないんですよね。やりたいもんがしっかりできる分、すごく吟味をしたセレクトにしないと、ほんまに埋もれる」

yosemiteの取り扱う商品は、国内のガレージブランドはもちろんのこと海外のコアなブランドまで、都心の登山ショップでも目にかかれないほど品揃えが豊富です。

これらの商品は、海外の新しい情報やトレンドを豊田さんがSNS等で探し、気になったものは直接メーカーに問い合わせているそう。

商品選定の軸を伺ったところ、端的な回答が返ってきました。

「軽さとセンスはまず一番。そこはぶれてないですね」

前職の経験から独立を経て、ご自身がユーザーとして山に入っていくなかで洗練された感性が、豊田さんの核心に存在しているように思います。

yosemiteオリジナルエコバッグ。アメリカの三大トレイルを制覇したRyosuke “sketch” Kawatoがデザインを制作。
ギア類も品揃えが豊富

“体験”を通じて成長してもらうことまでが使命

yosemiteでは物販以外にも「Trail Talk」という月に1回のイベントを実施しています。登山、ハイキング、トレイルラン、オリエンテーリングを通して交流を図るというもの。

Trail Talkの様子

毎月第三金曜日の夜か土曜日の朝に二上山の麓にある道の駅 「ふたかみパーク當麻」に集合します。そして、ダイヤモンドトレイルをフィールドにして、みんなで一緒にアクティビティを実施。

回ごとにテーマがあり、実際にメーカーからサンプルを借りて参加者同士で試しあうこともあるそう。人気の商品はサイズがバッティングするので、参加者同士で交換し合ってもらったりなど距離の近いイベントを開催しています。

「物が届いて売るだけではその辺の小売りと変わらへん。“体験”がその人を成長させる。考え方も変わるし、視野も広がる」

「Trail Talk」は、参加者みなさんの笑顔で溢れるイベントであることは、たやすく想像できます。

突き詰めていくのは山との関わり方

今後の展望について伺ってみたところ、出てきたのはお店の話ではなく、山での活動についてでした。

「38,9歳頃からトレランを始めて、100マイルレースを完走できるくらいにはなってきています。ただ終わりが見えないので、今はUTMB(※3)を目標にしています。」

UTMBには過去二回エントリーしつつも、そのときは残念ながら抽選に落ちてしまったとのこと。しかし現在は次の開催に向けて、トレーニング等をしているそうです。

またご自身が楽しむだけではなく、保全活動にも話は及びます。

「今日本ですごいロングトレイルが活発じゃないですか。関西にも世界遺産を繋ぐトレイルとかいっぱいあるんですけど、トレイルルートの整備の団体に入って整備するときもあります。いろんな面で山と深く関われたら。」

自分と山との関わり方を常に模索し続ける。そんな豊田さんなりの一つのアウトプットがyosemiteというお店なのかもしれません。これからのyosemiteの活動にも注目です。

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yosemite
住所:〒634-0007 奈良県橿原市葛本町147-3
WEBサイト:https://yosemite-store.com/

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※注釈

※1:オリエンテーリング:専用に作られた地図を使って、大自然の中に設置されたチェックポイント(コントロール)を辿りながら可能な限り短時間で走破するアウトドアスポーツ。

※2:繊研新聞:繊維・ファッション業界最大の専門紙。

※3:UTMB:ウルトラトレイル・デュ・モンブランはUTMBと略称され、フランスの東南部にあるシャモニー=モン=ブランで毎年8月末に開催される、ヨーロッパアルプスの最高峰モンブランを取り巻くフランス、スイス、イタリアにまたがる山岳地帯を走るトレイルランニングの大会。

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ライター:
.HYAKKEI編集部 町田