登山歴5年の筆者が、登山初心者向けに【登山の持ち物】をまとめました。登山中に起こりうる、様々なリスクを想定したものになります。実際、初心者の方が軽装で登山を行い命を落とされたという事故も毎年発生していますが、対策をすれば大丈夫。そうならないように、しっかり準備して山に行きましょう!
登山では想像もしえないハプニングが起こります。しっかり備えるためにも、どんなリスクがあるのか把握しておきましょう。
最もよくあるリスクが天候悪化。山の天気は変わりやすいと一般的に言いますが、低山でもよくあります。そのため、雨風の対策は必要です。
急峻なコースで高度を上げると、高山病になってしまったり、睡眠不足で体調が悪化することがあります。一緒に行くグループで、誰か一人は薬を持っておくと安心です。
獣害ももちろんですが、虫の方が出会うことは多いかもしれません。登る山に生息する虫に合わせて、救急キットを持っておきましょう。
登山トラブルにおける死亡リスクが最も高いのが、遭難・滑落です。助けが来ない場合、その場で夜を超すことになるのでテント泊の装備が必要になります。
登山に必要なものはたくさんありますが、まずは「登山靴・ザック・レインウェア」の3つを揃えましょう!それぞれの選び方をご紹介します。
登山で必ず必要になってくるのは登山靴です。登山中は長時間歩いて疲れやすくなります。石や苔などで、足元が滑りやすくなっていることも。ランニングシューズで山に登る方もいますが、滑り止めのついた頑丈な登山靴を購入しましょう。
● 選ぶ際のワンポイントアドバイス!
靴はメーカー毎に仕様が異なります。足のサイズ/幅/甲の高さを把握したうえで、自分に合った靴を探すことが大切です。自分のサイズに合っていない靴を選ぶと、靴ずれや血行悪化により、長時間の登山が苦行になります。
デザインも重要ですが、自分の足に合わない靴を選ぶと靴ずれの原因に。また登山では分厚い靴下を履くことが多く、普段履く靴とは感覚が異なります。登山靴の購入の際は、必ずお店で試着するようにしましょう。
次に必要になってくるのがザック。登山用ザックは、歩くときに重心が安定するよう、縦長のものがほとんどです。また、背中に密着させてバランスを取りやすくするため、ウエストベルトが付いてます。山によっては、足だけではなく手を使って登ることもあるので、両手をあけられるように、必ず登山用のザックを買いましょう。
● 選ぶ際のワンポイントアドバイス!
日帰りであれば20L、山小屋行一泊程度であれば25〜30L程度が目安です。またザックのメーカーによって機能が全く異なります。(ウエストベルトで背負うタイプor肩紐で背負うタイプなど)
初めて買う場合は、ネットではなくお店で実際に試してみることをおすすめします。長時間重い荷物を入れて背負うので、しっかり自分の体にあっているか、店員さんに相談しながら決められると安心です。
登山で必要な持ち物の3つ目はレインウェア。登山において雨は大敵です。雨風にさらされていると、たちまち低体温になり体が動かなくなる危険があります。また登山中は大量の汗をかきます。そのため、汗や蒸れによって体を濡らすことのないよう、内側からの対策も重要です。寒い時にはウインドブレーカーにもなるので、晴れていても必ず持っていきましょう。
● 選ぶ際のワンポイントアドバイス!
着脱衣がしやすいように上下分かれているものを選びましょう。できれば、GORE-TEXのような耐水透湿性に優れた素材のものがおすすめ。内側に蒸れがこもることで濡れてしまうビニールカッパはNGです。
海外製のメーカーは袖丈が長いことが多いので、靴やザック同様、実際に試着してから購入しましょう。着ぶくれを想定して、サイズには少し余裕をもたせてください。
登山する際に必要な持ち物のリストをまとめました。
★★★ 複数人で行く、且つ緊急装備は人任せプラン
★★☆ 単独で行くプラン
★☆☆ 単独で行く、且つ絶対嫌な思いはしたくないプラン
品目 | 説明 | 重要度 | シチュエーション |
登山靴 | トレッキング用のシューズ。季節で仕様が違うのでショップで選ぶのがおすすめ。 | ★★★ | 通常 |
ザック | 登山用のリュック。サイズがあるのでショップで選ぶのがおすすめ。 | ★★★ | 通常 |
レインウェア | 雨天用のウェア。ウインドブレーカーなどで代用も可能。 | ★★★ | 天候悪化時 |
水筒・水分 | 必須。1.5L以上を目安に多めに持っていきましょう。水筒を2つに分けることを推奨。 | ★★★ | 通常 |
タオル | 汗を放置すると体温が下がって体調を崩す原因になるので必要 | ★★★ | 通常 |
防寒着 | 山頂付近は風晒しになる場合が多いので、マスト | ★★★ | 天候悪化/遭難・滑落時 |
地図 | 地図アプリでも代用可能。スマホ電池がなくなることもあるので、備えとして必要。 | ★★★ | 通常 |
スマートフォン | 緊急時の連絡や地図アプリの活用で必要 | ★★★ | 通常 |
肌着 | 速乾性があり汗冷えしない素材がベター | ★★★ | 通常 |
パンツ(ズボン) | 速乾性があり、風の通さないものが良い | ★★★ | 通常 |
上着 | 保温性のある風を通さないものがベスト | ★★★ | 通常 |
靴下 | 湿気を吸着し逃がす素材がベスト | ★★★ | 通常 |
着替えのシャツ | 下山後の着替え | ★★★ | 通常 |
替えの靴下 | 湿気を吸着し逃がす素材がベスト | ★★★ | 通常 |
ザックカバー | 雨天用のザックカバー | ★★☆ | 天候悪化時 |
行動食 | 登山は気づかずにエネルギーを使うことが多いので、持っておくとベター。 | ★★☆ | 通常 |
モバイルバッテリー | スマホの電池がなくなったとき用に必要 | ★★☆ | 通常 |
コンパス | 遭難時に方角を把握するために必要 | ★★☆ | 遭難・滑落時 |
山行計画書 | 遭難時に、捜索してもらうために必要 | ★★☆ | 通常 |
エマージェンシーシート | 遭難時などに、テント・シュラフ・目印代わりになるので必要 | ★★☆ | 体調悪化/遭難・滑落時 |
救急キット | けがや、虫に刺された際の応急処置用として必要 | ★★☆ | 体調悪化/遭難・滑落時 |
薬類 | 体調不良時の応急処置用として必要 | ★★☆ | 体調悪化/遭難・滑落時 |
ツェルト | 緊急用のテント | ★★☆ | 体調悪化/遭難・滑落時 |
ライター | 料理の際や、遭難時の暖を取るのにあると良い | ★★☆ | 通常 |
ウェットティッシュ | 汗拭きや、汚れを取るのに有用 | ★★☆ | 通常 |
ビニール袋 | ゴミや濡れた衣類をまとめるのに有用 | ★★☆ | 通常 |
ナイフ | 食料を調理したり、緊急時に衣類を破いたりと有用 | ★★☆ | 通常 |
ヘッドライト | 夜行時用のヘッドライト。両手を使った作業が可能に。 | ★☆☆ | 遭難・滑落時 |
手袋 | 冬季は必須。下記でも岩場などある場合はあると擦り傷対策に。 | ★☆☆ | 通常 |
コヘル | お湯を沸かしたり、料理する際に必要 | ★☆☆ | 通常 |
ガスバーナー | お湯を沸かしたり、料理する際に必要 | ★☆☆ | 通常 |
カトラリー | 料理を食べる際に必要 | ★☆☆ | 通常 |
食品 | エネルギー補給のために必要 | ★☆☆ | 通常 |
食器類 | 料理を食べる際に必要 | ★☆☆ | 通常 |
シュラフ | 睡眠時に必要 | ★☆☆ | 遭難・滑落時 |
インナーシュラフ | 睡眠時の快適性を上げるために必要 | ★☆☆ | 遭難・滑落時 |
銀マット | 睡眠時の快適性を上げるために必要 | ★☆☆ | 遭難・滑落時 |
筆記用具 | 地図に書き込むようとしてあると良い | ★☆☆ | 通常 |
ゲイター | 靴の中に砂や雪を防ぐために必要 | ★☆☆ | 通常 |
折り畳み傘 | 急な雨に必要 | ★☆☆ | 天候悪化時 |
アイゼン | 積雪中の行動に必要 | ★☆☆ | 通常 |
サングラス | 夏季の日差し止めや、冬季の雪の照り返しに有用 | ★☆☆ | 通常 |
帽子(ハット) | 速乾性のあり、つばの長いものがよい | ★☆☆ | 通常 |
手袋 | 夏は薄手の物、冬は保温性と防水・防風性のものがよい | ★☆☆ | 通常 |
スポーツタイツ | 速乾性があり汗冷えしない素材がベター | ★☆☆ | 通常 |
登山は道具が多く、始めづらいと思っている方が大半ではないでしょうか。確かに揃えるべき荷物が多いのは事実ですが、小学校の頃の遠足と同様に、あれこれリスク回避を想像しながら用具を揃えていくのも登山の楽しみのひとつ。初心者の場合は、いきなりすべての道具を揃えるのは難しいかと思うので、慣れないうちは経験者と一緒に登るのが良いかと思います。是非このリストをもとにチャレンジしてみてください!