グランピングが早くもコモディティ化してきた。
日本全国で 15,000円〜20,000円程度で体験できる施設も増えてきている。
そんな状況を考えると、
「手ぶらで行けるキャンプ」
というのが、今の日本のグランピングシーンを表現する言葉なのかもしれない。
ただ、本当にそれで良いのだろうか?
グランピングの語源は「グラマラス+キャンピング」であるが、グラマラスな印象を感じるグランピングサービスは少ない。
そんな日本のグランピングのあり方に対して、「ちょっと待て」と言わんばかりに、
「お客様へ日頃の感謝を込めて」
「アウトドアフィールドへの入り口に」
という「特別な想い」をかけて実施されたグランピングがある。
8月末に開催されたルミネグランピングだ。
駅ビルのルミネといえば知らない人はいないであろうファッション商業施設。そのルミネではファッションのみならず、お客様へライフスタイルの提案まで広げる取り組みを行っている。その中でこの夏、グランピングというキーワードが出てきたそうだ。
ルミネが今回タッグを組んだのは、「東京にある秘密の森に、世界一美しいアウトドアフィールドを作る」を掲げるサーカスアウトドア。グランピングを手がける数あるプレーヤーの中でも最もゴージャスと言って良いほどのこだわりを見せる団体だ。
今回彼らが作り上げる独特の世界観とルミネの考えやお客様像が合致し、ルミネグランピングが開催された。
ルミネグランピングは、1日5組の2日間、計10組が体験できるイベント。その参加者は事前に新宿のルミネで行われたグランピングイベントで応募のあった7,000組を超える方の中から選ばれた。この7,000組という数字は、過去のルミネが行ったキャンペーンの中でも最多なんだとか。グランピングの注目度がうかがえる。
そして、当選者はこのゴージャスなグランピングに招待される、つまり無料だ。
「お客様への日頃の感謝も込めて。思う存分本格的なグランピングを満喫してほしい」
そういったルミネの想いが形になった。
ではそもそも、なぜ今回ルミネとしてグランピングを行うことにしたのだろうか?
繰り返しになるがルミネは駅ビル。
お客様はその駅を起点に様々な場所へ旅立つことになる。そんなお客様の行動の起点になる駅に構えるルミネだからこそ、アウトドアフィールドに出るきっかけを提供したい。そんな思いからグランピングをやろうというアイディアが生まれたそうだ。
そして今回の開催場所は千葉県の流山。都内からも電車で1時間ほどで行けるアクセスの良さも「きっかけ作り」という点で重要だった。
このように確かなビジョンのもと練られた今回のルミネグランピング。
お客様は具体的にどんな体験をしたのだろうか?
今回用意されたのは、5つのテント。それぞれ家具ブランドがプロデュースを行い、どのテントにも豪華な家具が揃えられた、まさに「ゴージャス過ぎるグランピング」のしつらえだ。
提供されるアメニティも一流ホテル並みに充実。なんと一人当たり総額9,000円を超えるラインアップなんだそう。
テントに案内され、その内装の豪華さに感動を覚えテント内を見るとこの豪華なアメニティ。矢継ぎ早に訪れる感動の連続にお客様も驚いたにちがいない。
テントの他にも、会場の中央には食事を行うダイニングルームが用意された。ここでお客様が一堂に集い自分たちだけの特別な時間を過ごすことになる。
サーカス団の楽屋、がコンセプトだというこのダイニングルーム。確かに、椅子とテーブルの周りにはところ狭しと小道具のようなものが並ぶ。外の風を感じながら、ここでウェルカムシャンパンを楽しむお客様も。森の中に突如現れた、サーカス団の特別な空間。
このダイニングルームで、いよいよ目玉の一つであるディナーがはじまった。
グランピングには豪華な食事がマストだ。オリジナルドリンクも含め食事を担当したのは、クレイジーキッチン。独創的なウェディングで知られるクレイジーウェディングの手がける結婚式での食事やケータリングを行っている新進気鋭のチーム。
ウェディングで培った至れり尽くせりのサービスは、グランピングとの相性抜群だ。お客様もまさかキャンプに来てウエディングクオリティのサービスを受けることになるとは、露にも思ってはいなかったのではないだろうか。
ひとつひとつの料理に歓声が上がり、写真を撮る光景がお客様の満足度を表していたように思える。特別なしつらえにプロによるサービス。皆さんのイメージしているグランピングとは一回りもふた回りも違うのではないだろうか?
この日の最後はパントマイムなどのエンターテインメントも。サーカス団の楽屋で行われたちょっと不思議なパフォーマンスに、不慣れなお客様は一瞬戸惑いながらも、一緒になって楽しんでいた様子だ。
こうして1日目は終わり。翌朝もクレイジーキッチンによるエッグベネディクトなどの朝食が用意されたそうだ。
お客様からこんな言葉を聞いた。
「これってこの日のためにだけに用意されたんですか?」
そう、このルミネグランピングは千葉県流山の森をこの時のためだけに整備し、この時だけテントやダイニングルームが設置された。3日間の開催期間が終われば、即日撤収され、また元の森に戻るのだ。
そんな、「この時」「この場所」だけで行われたルミネグランピング。まさに参加者だけが味わうことのできる特別な時間と空間。
そこには「手ぶらで行けるキャンプ」という姿はない。
日々の感謝を込めて来場したお客様に最高の時間を、という想いが具現化した、まさにグラマラスなキャンプだった。
グラマラスである要件はいくつもあるだろう。
ロケーション、内装、食事、アクティビティ、希少性。
そういった中で、
ただの手ぶらキャンプ、お洒落グランピングだけでとどまらない、ルミネグランピングが体現したものは一つの指針になるのではないだろうか?