公益社団法人**日本山岳会(JAC)**の育成登山プロジェクト「ヒマラヤキャンプ」隊は、ネパール北西部の未踏峰 「ビジョラ・ヒウンチュリ(Bijora Hiunchuli/標高6111m)」 に挑戦し、2025年10月24日、全員で登頂に成功したとのこと。
10月11日にベースキャンプを設営後、北稜ルートからアプローチを開始。氷雪壁を含む困難なルート工作を経て、2か所のハイキャンプを設置。24日午前2時(ネパール時間)にキャンプ2からサミットプッシュを開始し、同日午後3時30分、全員が山頂に立ったと報告されている。
下山も同日中に実施し、キャンプ2までの往復行動時間はおよそ20時間に及ぶ過酷な行動となったが、事故もなく全員が無事帰還したという。
10月31日にはベースキャンプを完全撤収し、メンバー全員が安全にジュムラ村へ到着したとのこと。
「ヒマラヤキャンプ」は、日本山岳会が創立120周年を迎えるにあたり実施している記念事業の一つで、“次世代登山者の育成” を目的とした長期的な登山教育プログラム。
2015年に登山家・花谷泰広氏(日本山岳会会員)の発案でスタートし、2019年からは同会の正式事業として継続。2025年の今回でプロジェクト開始から10年目を迎えた。
若手中心の構成ながら、ヒマラヤ遠征に向けた入念な準備とチームワークのもと、登頂に成功したとされている。
本遠征は、**「挑戦と継承」**をテーマに掲げた育成登山の一環として位置づけられており、日本山岳会では次のような狙いを示している。
同会は今後も「ヒマラヤキャンプ」などのプログラムを通じて、若手の登山活動支援と山岳文化の発展に寄与していくとしている。
今回の「ビジョラ・ヒウンチュリ」初登頂は、未踏峰という地理的意義に加え、若手主体チームによる成功という点でも大きな意味を持つ。
ヒマラヤでの経験が限られた登山者たちが、計画・ルート工作・安全管理を含む全行程を自ら遂行したことは、今後の日本登山界における「次世代リーダー育成モデル」として注目される。
また、環境変化や登山文化の変遷が進む中で、若手登山者が**“人と自然の関わりを継承していく存在”**として実践を重ねることは、日本山岳会が掲げる理念とも合致しており、教育的側面からも意義深い成果といえる。