いよいよ、待ちに待った春ですね!
しかし、雪山登山シーズンはまだまだこれから。
今回は木曽駒ヶ岳にて、残雪登山の様子をお届けします。
長野県にある木曽駒ヶ岳(2,956m)は、
中央アルプス(木曽山脈)の最高峰であり、百名山のうちの一山です。
「中央アルプス駒ヶ岳ロープウエイ」で一気に高低差約1,000mを上がり、
絶景の千畳敷カール(2,612m)まで簡単にアクセスできます。
私が住んでいる東京からも(ギリギリ)日帰りが可能な、
季節を問わず人気の山です。
千畳敷駅〜中岳〜乗越浄土〜駒ヶ岳(往復)
最もメジャーな駒ヶ岳往復コースを歩きます。
標準コースタイムは、グリーンシーズンで約3時間半~です。
(※雪山でのハイクタイムは、通常の1.5~2倍かかるつもりで計算します。この日は念のため、5時間を目安に計画を立てました。)
この日、麓の駒ヶ根市は曇り。
もしロープウエイで上まで行ってもガスだったら、撤退しようかと迷っていましたが…。
雲海を抜けて千畳敷カールまでくると、ドカンと快晴!
ロープウエイ内ではそこかしこで歓声があがり、誰もが興奮状態でした。
氷河期に削られて形成されたというカールは、
まるで大地に抱かれているような錯覚を私たちにもたらします。
巨大な門が、ぎぎぎと隙間をあけて、私たちを誘っているようでした。
ちなみに、
画像左に見えるのが、3月15日に起きた雪崩の跡。
カールはその地形から「雪崩の巣」と呼ばれているほど、冬場は危険な場所でもあります。
カールを上がりきるまでもう少し。
急登が続きます。
カールの中は不思議と無風で、照りつける日差しが雪面に反射し、
とにかく暑い…。
このとき、気温はなんと6℃!
稜線に上がると途端に強風に煽られ、体感温度がぐっと下がります。
ウエアを着込んで再び歩くと、どんどん視界が白と青だけの、まっさらな世界へ。
この情報量のなさは、日常ではなかなか味わえるものではありません。
駒ヶ岳を目指し、無心で歩いているうちに…。
身も心もだんだんと、空と雪の色に染まっていきました。
頭の中の雑音が消えて、とても静かでした。
からっぽになった心の奥底から、
なにか開放的な、妙な快楽がこみ上げてきます。
軽い瞑想状態になり、不思議と疲労を感じませんでした。
気づけばあっという間に、駒ヶ岳山頂の駒ヶ岳神社へ到着。
凍り付いた鳥居が、厳格さを際立たせていますね。
やはり人気のコースだけあって、山頂付近はとても混雑していました。
春の日差しがうれしくて、のんびりランチタイム。
山頂から中央アルプスを眺めていると、まるで雪の世界に身体が溶けていくようでした。
心のありようは、見ている景色に倣うものなのかもしれませんね。
来た道を引き返します。
千畳敷カールの下まで降りていくと、
前を歩いていた人が振り返り、カールの全容をしっかりと目におさめようと、じっと佇んでいました。
立ち去るのが惜しいのか、その人はいつまでもずっと立ち止まっていました。
・雪山での日焼けは、真夏以上です。 私は日焼け止めを塗っても塗っても、鼻と唇の皮がむけてしまいます…万全な対策を!
・「休日は激混み!」と噂には聞いていましたが、最初の画像を見てもわかる通り、特に千畳敷カールは登山客の行列。そのほとんどが、駒ヶ岳を目指します。バスもロープウエイも当然行列なので、早めの到着をおすすめします。
・千畳敷カールは見応え十分!「雪山登山は無理」という人も、ロープウエイで上がって、駅付近からでもこの景色を体感してみてほしいです。ロープウエイに併設されている「ホテル千畳敷」で宿泊して、満点の星空や朝の雲海を眺めてみるのも◎!
画像にはありませんが、
このほかにも地図とコンパス、目だし帽や日焼け止めも携帯。
稜線に出たときの冷風から顔を守るため、ネックウォーマーも必要です。
なお、ビバークしたときのためのツェルトは、同行者が所持しています。
(※雪山登山が初めての人は、必ず経験者やガイドと一緒に行いましょう)
【電車の場合】
駒ヶ根駅から、ロープウエイ直通の路線バスにて45分。