道具

山シャツ戦国時代の黒船はフィッシングからやってきた patagonia / メンズ・リバー・ランブラー・ハイブリッド・サン・フーディ|町田直哉のGEAR REVIEW Vol.001

.HYAKKEIの町田が山道具を使ってレポートする連載。その機能やフィールドでの使用感を確認し、その特徴を余すことなくレポートします。今回はpatagoniaの「メンズ・リバー・ランブラー・ハイブリッド・サン・フーディ」を紹介します。

毎年、ニュースでは過去最高の暑さを更新というが、本当にそうなんだろうなと思えるほどジリジリとした日差しと蒸し暑さに襲われる毎日だった。

しかし8月もお盆をあけたころから少しずつ涼しい日も増えたように感じる。とはいえ、昨年は10月頃まで半そでだったことを考えると今年もまだ猛暑は続きそうだと思う。

そんな夏のハイクは低山ともなると半そで半ズボンで十分だが、標高の高い山になってくるとそうもいかない。

登り始めは軽装で良くても、迫りくる日差しや汗冷えを考えると長袖のシャツやパーカーは忍ばせておきたいところ。

そんな山シャツに着になるアイテムが出てきた。

それが今回レビューするpatagoniaのメンズ・リバー・ランブラー・ハイブリッド・サン・フーディである。

その着心地は?

展示会で初めて見たときは単なるフード付きのシャツかと思いきや、話を聞くと只モノではないことが分かった。

いくつかあるギミックも魅力的だが、最大の特長は素材だと思う。

素材は吸湿発散性を備えたストレッチ平織りの3.5オンス・リサイクル・ポリエステル100%。何かというと1メートルあたり100gのポリエステルということだが、これはかなり軽量な部類に入る。

おおよその山シャツに使われる平織りは130g前後が多い印象で布帛はもう少し軽量だが、伸縮性や速乾性など機能性が失われるので山シャツで使用されることは稀だ。Tシャツに近いかもしれない。

サムホール。袖丈が長めに設計されているのでツッパリ感はない。

その軽量さに加えて、速乾性と通気性と伸縮性を備えている。ハイキュ・ピュア防臭加工済みでUPF(紫外線防止指数)40+のUVプロテクションも。サムホール付きの袖や、取り外し可能なフード。三つ折りになって風防として機能を果たす衿も日焼けから身を守るための要素が備わっているように感じる。

実際に着てみると、その伸縮性からくる着心地の良さは魅力的だ。肩の部分から素材が切り替えてあり、袖の背面は引っ張れば透けるほど薄い伸縮素材となっている。

本来はフィッシング向けに作られていることもあり、防風性より吸湿性と速乾性に機能を振り切っている。山で着ることを考えるならば防風性はウィンドシェルに任せてしまって行動着として割り切って着るのがいいのか?と仮説を立てながら説明を聞いていた。
なんにせよ、その着心地と機能性の高さは高い期待値が持てる。

いざフィールドへ

今回は、日帰りで蝶ヶ岳を歩く。
本来は、1泊2日のテント泊の予定だったが、夕方から雨が降るという予報を受けて予定を変更した。

天気はすこぶる良好。リバー・ランブラー・ハイブリッド・サン・フーディが活躍するための舞台としては絶好の機会となった。

この日の蝶ヶ岳は快晴。気温も15度前後と安定した気候に。

気温はAM3時の三股駐車場で15度ほど。10時の山頂で13度ほどだったか。半そでだと少し肌寒い印象。
それでも歩き始めると汗が滝のように流れてくるので、すぐに半そでになるのだが。

山頂についてしばらくすると冷えを感じるため、すぐにリバー・ランブラー・ハイブリッド・サン・フーディを着用した。
所用や食事などで3時間ほど山頂には滞在したが、結論としては全く欠点を感じなかった。

メンズ・リバー・ランブラー・ハイブリッド・サン・フーディ(フード外し)

これまでの私だと、山頂で活動するときはベースレイヤーの上にロンTを着て、その上からウィンドシェルを着ることが多かった。
風による汗冷えを防ぐためだが、これはこれで全く問題はなかった。

一方、この日は夕方まで天気は非常によく、日光にさらされる時間が長かった。
このような天気だと、ウィンドシェルは透湿背に優れる疎水性多孔膜のモノでも発汗で多少は蒸れてしまう印象がある。

リバー・ランブラー・ハイブリッド・サン・フーディはそれにサムホール、取り外し可能なフードを備えている。また襟は三つ折りになっていて、スナップ止めで収納されている。襟を立てることで風よけになる。山頂にいる間はサムホールもフードも襟も使用した状態で3時間ほど所用にあたっていたが、日焼けは全く気にならなかった。

三つ折りの襟を立てれば風防になる。

また素材もボディは吸湿速乾素材のリサイクルポリエステルに消臭加工まで施されている。そのおかげか、汗をかいても蒸れなど全く気にならずに快適に過ごすことができた。
これは、袖の素材が切り替わっていることに起因しているかもしれない。袖の素材は伸ばせば透けるほどのメッシュ素材が採用されている。

左(背側):より薄いメッシュ系素材 右(腹側):平織り素材

気温も15度前後で、天気的にも問題がないのであれば稜線ではウィンドシェルではなく、風通しが確保できるUVカットシャツという選択肢もありなのかもしれない。
それでも寒さが気になるなら上からウィンドシェルを着ればいい。

ちなみにフードは取り外し可能。サンシェード付きのハットを着用するときはフードを外せばいい。

フードをとった状態

他にも、本来釣りを想定しているシャツであるため、釣り針外しに使うフォーセップ用ホルダーがついているがサングラスのフックとしても応用できる。

フォーセップ用ホルダー


またメガネ拭きの布が、シャツ前身頃の裾に配置してある。汗でぬれたりレンズを手で触ってしまったりして視界を遮ってしまうことがあるが、これならいつでも視界を保つことができる。

前身頃の裾についているメガネ拭き

そして、もう1つうれしいのはチャック付きの胸ポケット。
ミールを食べたり、道具を展開する中でちょっとしたゴミが出たり、両手がふさがったりする場面が多々あるかと思うが、そんな時に雑に使うことができる胸ポケットの存在はありがたい。

チャック付きポケットは両胸についている

もちろん、これから気温が下がってきたり、風が強い状況だとどうしてもシェルが必要なってくる場面がでてくる。
しかし、春から秋にかけて、天候も安定している状況のハイクではこのシャツは非常に優秀な山道具だといえると思う。

昨今、様々なブランドから山シャツが出てきているが、patagoniaがフィッシングのラインでリリースしたこのシャツが黒船になるのか?


一人のユーザーとして様子を見ていきたい。

日差しが気になる長距離のハイクに最適な山シャツ。それが「リバー・ランブラー・ハイブリッド・サン・フーディ」

蝶ヶ岳のハイク以外にも、普段着として長く着用させてもらっていたが、ギアとしての機能性もさることながら、単純に着心地がとてもよいのも魅力。普段はフードをとって胸ポケットに忍ばせて着用している。


洗濯で気に使う必要もなければ色落ちの心配もないことを踏まえるとイージーケアといってしまってよいだろう。


多少の傷や汚れでも歴史として刻んでいく感覚を味わえることでpatagoniaファミリーになれた実感を持たせてくれるのも、このブランドの魅力か。

また今回は蝶ヶ岳で使用したが、トレイル旅でも活躍してくれるだろう。荒涼とした大地で日にさらされる時間が長くなることを考えると、このシャツこと適任な気もする。

汗を素早く乾かし、日光から身を守る。

そんなシーンでこれからも活用していきたい。

今回紹介したアイテム

リバー・ランブラー・ハイブリッド・サン・フーディ

https://www.patagonia.jp/product/mens-river-rambler-hybrid-sun-hoody/41785.html


写真:水野ITOMIZU

写真(蝶ヶ岳の風景):.HYAKKEI町田

文:.HYAKKEI町田

シェアする
ライター:
.HYAKKEI編集部 町田