今やポータブル電源市場は戦場だ。アウトドア界隈では、ポータブル電源をキャンプに持って行くことは主流となってきて、電源を必要とするギアが増えている。最近ではポータブル冷蔵庫も人気になっているほどだ。もちろん防災としてのポータブル電源も認知が広がり、「一家に一台」そんな生活になるのもそう遠くないのかもしれない。
Amazonではポータブル電源の商品にレビューも沢山ついているのだが、とりわけ高評価だったレビューに目をやると、実際に使ってみてどのくらい電力を消費していたかのレポートが多かった。「そうか、まだ、みんな半信半疑なんだ」そう思った.HYAKKEI編集部は、2022年9月15日に新商品として登場する『Jackery Solar Generator 1000 Pro』について、徹底調査を行うことにした。
まさにポータブル電源過渡期と言っても過言ではない中、.HYAKKEIのInstagramフォロワー計3.3万人にアンケートを実施し、ポータブル電源がどれだけ普及しているか調べてみた。
約半数の方が持っているとう結果に。やっぱり持っている人多いな、と改めて。
意外と使っていない人も多いという事実。使っている人では月に1~2度ほどが1番多い結果に。キャンプなどのアクティビティで使っていると予想できる。
.HYAKKEIのフォロワーということもあり、ある程度予想はついていたが、キャンプ・登山・車中泊のアクティビティでの利用が8割を超える。
アンケートから見えた実態。約半数がポータブル電源を持っており、アクティビティに使用している。しかし、持っているが使っていない人も多いとうことも分かった。あまり使っていないと、万が一のときに充電が十分でなかった場合など注意が必要だ。昨今発生する地震や台風・大雨による災害では、4日~1週間停電が続いた例もある。情報を得るため、連絡を取り合うため、照明、食事、トイレの利用、そしてミルクを温めるなどの育児用に、、電気が使えないストレスはかなり大きい。
ポータブル電源単体だけでなくソーラーパネルも持つことで、長期停電時にも安定して過ごすことができるので、次の検証を行った。
Jackeryから新作『Jackery Solar Generator 1000 Pro』が発売されたということで、実際に使って検証を試みた。
※Solar Generator(ソーラージェネレーター)とは、ポータブル電源とソーラーパネルがセット販売になった名称
普段使っている家電でどのくらい消費するのか。これを知っていると停電時の対応がスムーズになるのではないか。
そんな想いから、さまざまな家電を使って検証することにした。
今回調査したのは、停電した場合、生活必需品として考えられそうなもの。
スマートフォン・パソコンなど連絡手段、テレビは情報を得るため。その他家で使用するあらゆる電化製品を。
ただし、冷蔵庫は計測しなかった。冷蔵庫の定格消費電力は81W(電熱装置使用時:197W)でポータブル電源を使用することは可能だが、常に繋いでいないといけないため実際に停電時に使用することはないと判断した。
クーラーボックスなどで対応するのが良さそうだ。
また、トイレは電気がなくても流れることを改めて。(※タンクレストイレは電気がないと使えない)温便座やウォシュレットは電気がないと使えないが死活問題ではないだろう。
商品 | 定格消費電力 | 使用時間・回数 | 消費量 |
携帯(スマートフォン) | ~18W | 1回フル充電 | 0% |
ノートパソコン | 12~45W | 1時間使用 | 5% |
LEDランタン | 3W | 1回フル充電 | 2% |
液晶テレビ(55型) | 286W | 1時間使用 | 18% |
Wi-Fiルーター | 6~15W | 1時間使用 | 2% |
扇風機(サーキュレーター) | 32~36W | 1時間使用 | 5% |
充電式掃除機 | 58W | 1回フル充電 | 7% |
洗濯機(HITACHIドラム式) | 140W | 1回使用 | 9% |
ミキサー | 240W | 1分使用 | 1% |
空気清浄機(加湿器付) | 54W | 1時間使用 | 2% |
炊飯器(5合炊き) | 1230W | 使用不可 | – |
ドライヤー | 1200W | 使用不可 | – |
電気ケトル | 1250W | 使用不可 | – |
電子レンジ | 1410~1460W | 使用不可 | – |
ここでの調査はJackery Solar Generator 1000 Pro本体に表示されるDISPLAYの表示%であり、コンマ何桁の数値は分からない。スマートフォンの結果が0%になっているが、何回充電しようが0%でないことはあしからず。公式によればスマートフォンは55回と記載されている。
また、ドライヤー、電気ケトル、電子レンジは消費電力が1000Wを超えているため、Jackery Solar Generator 1000 Proでは使えない。洗濯機の乾燥機能も1000Wを超えているので、注意。
炊飯器は何号炊きかによっても消費電力が変わるし、炊飯方式でも違うようだ。ヒーターで釜を加熱するマイコン式炊飯器は、IH式炊飯器に比べて消費電力が少なく、1000Wを下回る。我が家の炊飯器はIH式5合炊きのためアウトだった。車中泊をしている人を見ていると炊飯器を使っている人が多く、自分の家でもすっかり使えるものかと思っていたが、思わぬ落とし穴だった。
では、充電にはどのくらい時間がかかるのか。
公式には「AC充電:1.8時間、ソーラーパネル200W(4枚使⽤時):1.8時間」とあるが、実際はどうなのか試してみた。
まずは、家庭用コンセントからの充電。10%になった本体をコンセントへ繋ぎ、100%になるまでの時間を計測した。
20時41分に充電スタートし、100%になったのは22時11分。
充電時間(90%分):1時間30分
公式の通り高速充電だ。キャンプに行く前、充電し忘れたことに気付いてもすぐに充電できるメリットは強い。
計測日:9月6日(火)
天候:晴れ時々曇り
「Jackery SolarSaga 80」を使っての実験。
晴れ間と、雲が覆って全体が陰る時間がまばらにある。
太陽光を全面に受ける際、INPUTは56Wまで上がり、日陰になると5Wまで下がった。
9時~15時までの充電の記録はこちら。
計測時間 | 計測時残電力(%) | 充電量 |
9:00 | 21% | 0% |
10:00 | 23% | 2% |
11:00 | 26% | 3% |
12:00 | 28% | 2% |
13:00 | 31% | 3% |
14:00 | 31% | 0% |
15:00 | 33% | 2% |
合計 | - | 12% |
正直、曇りの時間が多かった。しっかり晴れないとなかなか充電できないこと、ソーラーパネルの一部分が陰るだけでも充電量はかなり落ちることを考慮すると、マンションやアパート住まいの人は相当陽当たりの良い場所がないと、普段の生活で太陽光充電は難しいことが分かる。
ただ、このような天気でも10%以上は充電できるとするならば、できることは多いことも分かったことは大きい。
計測日:9月9日(金)
天候:曇り時々雨
「Jackery SolarSaga 200×4枚」を使っての実験。
計測時間 | 計測時残電力(%) | 充電量 |
9:00 | 57% | 0% |
10:00 | 58%(この時点で雨天になったため一旦撤収) | 1% |
11:00 | 雨天のため撤収 | – |
12:00 | 雨天のため撤収(12:00に再度計測開始) | – |
13:00 | 63% | 5% |
14:00 | 67% | 4% |
15:00 | 70% | 3% |
合計 | - | 13% |
この日は「Jackery SolarSaga 80」での実験日よりもさらに厚く暗い雲に覆われていた。だが、さすがソーラーのスペックが違う。「Jackery SolarSaga 80」の際は曇りだと5Wくらいにしかならなかったが、17W~最大50Wを超えるような数値を出していた。
晴れた日であれば、この10倍ほどの充電力があると考えると、相当すごい。
今回、新商品である『Jackery Solar Generator 1000 Pro』で色んな実験をしてみて、まずはAC電源(コンセント)での充電の速さに驚いた。1000Wを超える商品は使えないとはいえ、生活必需品はほとんんど使える。それも長時間使うことが可能なスペックを持っているのだ。
出力ポートも充実しており、AC電源3口、USB(Aタイプ)が2口、USB(Cタイプ)が2口ある。今回からライトも搭載しているため、キャンプや車中泊だけでなく、災害時にも大いに活躍してくれるだろう。
ソーラーを使うことで、プチオフグリット生活を始めるのもいいと思う。
仕事に行っている間にソーラー充電しておいて、夜はなるべく充電したポータブル電源を使って過ごす。自らできるSDGsに他ならない。
私は始めようと思う。