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旅した島は200以上!島マニアのおすすめは秘境、無人島、それとも?

海に囲まれた日本には多くの島があります。今回は、そんな島々に魅せられた宮嵜和洋氏(以下、宮嵜)に島旅の魅力を伺いました。

~プロフィール:
大学院にて歴史学の修士号を取得するため、屋久島以南の全ての島々を渡る。その後も自家用車にて日本一周し、道中ではお遍路さんで四国を2周し、寺社でいただける御朱印も700以上集める。現在も仕事をしながら、休日に日本各地を放浪中。

波瀾万丈の島旅。火山の噴火に遭遇したり、牛に突かれて宙を舞ったり!?

松田:はじめまして! ではなくて、個人的に宮嵜さんとは1度だけ初対面ながらサシ飲みをしているのですが、その時の印象が強烈で……。島のことなら、なんでも知っているんじゃないかというくらい、豊富な経験をお持ちだったことに驚きました。

宮嵜:そういえば、はじめて会ったのに新橋で2人で飲めるところがお互い旅人ですよね(笑)
島のことで言うと、日本なら僕は今まで200島以上は行ったことがあって、特に鹿児島・沖縄エリアの有人島はほぼ上陸しています。

松田:スゴすぎてピンときていないのですが、日本ってどのくらい島があるんですか?

宮嵜:日本の有人島数は418島、無人島は6,430島(平成22年国勢調査による)くらいあります。

松田:日本人なのに、知らない場所がまだまだいっぱいありそうです。今日は、そんな宮嵜さんと車でドライブしながら、話をお聞きしたいと思います。

宮嵜:そのために、わざわざ地元にきてもらっちゃってすみません。今日は色々案内させていただきますね。

松田:まずお聞きしたいのが、なんで宮嵜さんはそんなに多くの島を回っているのかってことです。

宮嵜:最初の島旅の思い出は、小学生の時に小笠原諸島の父島に行ったこと。イルカと泳いだりして楽しかったですね。その後、大学の時にスキューバダイビングとお酒が趣味になり、沖縄の島を回ったんですが、直接のきっかけはこの本です。

「オキナワ放浪宿ガイド120」。これを見て、全部回ってやろうと思い、実際に全部の島を回りました。

松田:こういう本を読むと冒険心がくすぐられますよね。そんな宮嵜さんが一番印象に残っている島ってどこですか?

宮嵜:沖縄本島の上の方に連なる「トカラ列島」は、個人的に大好きで思い出がたくさんあります。まず、一番好きな島が悪石島(鹿児島)で、ボゼ祭りを見た時に衝撃を受けました。写真で見てもらうとわかるんですが、もう日本じゃないみたいですよね。

このように、島には独特の文化が根付いていて、それを感じられることの1つがお祭りに参加することだと思っています。
他にも、諏訪之瀬島(鹿児島)のキャンプ場で寝ていた時は、バリバリバリとすごい音がして、外に出たら山が噴火していたんですよね。夜なのに空が真っ赤に染まって……
あっ、これ死んだなと思いました(笑)

松田:いやいや、笑うポイントではないです。生きててくれてありがとうございます。

諏訪之瀬島のキャンプしていた場所

宮嵜:実は諏訪之瀬島はよく噴火する島なので、住民は慣れっこだったりするみたいです。あとは、口之島(鹿児島)でも危ない体験をしましたね。
あの島は人間エリアと牛エリアがあって、有名な温泉が牛エリアにあるんです。その時は自転車で温泉に向かっていたのですが、炎天下の中で走っていたら、脱水症状気味になり道に座ってしまったんです。そしたら、ぼんやりとですが牛がこちらに向かってくるのが見えて……。
気がついたら角で突かれて宙を舞っていたんです(笑)

松田:だから、笑うところがおかしいですって。

口之島には牛がいっぱいいる

辿り着くのに1日以上かかる島や、船で普通に上陸できない島まで

— 場所を移動し、宮嵜さんの自宅に来ちゃいました。

松田:旅グッズがずらり。ずいぶんとコレクターですね。ところで、今回の記事を読む方は、島旅に慣れていない方がほとんどだと思うので、島旅初心者におすすめの島も教えてください。

宮嵜:まずは、沖縄本島ですね。べたですが。都市として発展しているところもあれば、海がきれいなリゾートもあり、「やんばる」と呼ばれる本島の北部は大自然も残っています。主要都市からのアクセスも良いですからね。

松田:では、興味本位の質問ですが、訪れるのが大変な島ってありますか?

宮嵜:まず、単純にアクセスの面から言うと小笠原諸島の母島ですね。航空路はなく、東京の竹芝桟橋からフェリーで片道約25時間半かけて父島まで行き、そこからさらに定期船「ははじま丸」で約2時間10分の道のりです。

松田:東京都にありながら、1日以上かかるのはすごいですよね。

宮嵜:あとは沖縄県の南・北大東島もすごいですよ。台風による高波を避けるため、港が海抜数十メートルの高さに築かれていて、船を直接接岸させることができないんです。どうやって上陸するの? と、思うじゃないですか。実はクレーンで車も人も引き上げてくれるんです。

この籠に人が乗ってつり上げられる

松田:大東島と言えば、まぐろが獲れたり島の下に洞窟があったり、面白い島ですよね。

宮嵜:沖縄県では、トップクラスのお金持ち市町村とも言われています。

透明感抜群の海には理由がある

松田:あとは、個人的に海が好きなんですが、宮嵜さんの主観でも良いので、海が綺麗な島ってありますか?

宮嵜:まず、綺麗な海の条件として、島に◯◯がないんです。その◯◯、わかります?

松田:島に……人間がいない!島に港がない…ん〜違うかな。

宮嵜:綺麗な海がある島には「山」がないんです。山がないということは川がない。川がないということは、泥水が流れ込まないということもありますし、プランクトンの餌となる山からの栄養分が海に流れてこないんです。
そのため、プランクトンが少なく海が濁っていないんです。そして、プランクトンは魚の餌にもなるので、スコーンと抜けた透明度がある海には魚がほとんどいません。

松田:なるほど、それでいうと宮嵜さんのおすすめの海が綺麗な島は?

宮嵜:個人的なベスト3は、多良間島(沖縄)、下地島(沖縄)、与論島(鹿児島)ですね。

下地島は、お隣の宮古島から伊良部大橋が開通したので、アクセスが良くなりました。他に、魚が多くいて綺麗な海がある島では、慶良間諸島が良いですね。1月〜3月の冬の時期は、ザトウクジラのダイナミックな泳ぎやブリーチング(ジャンプ)も見ることができます。

松田:慶良間諸島は沖縄本島からも高速船で1時間かからず行けて、アクセスが良いですよね。では、次の質問で、女性におすすめの島ってありますか?

宮嵜:それでいうと、ある程度観光地化していて、衛生面が整っている島でしょうか。私のおすすめベスト3は、日本最南端の波照間島(沖縄)、星のリゾートなど宿泊先や観光スポットが充実している竹富島(沖縄)、「瑠璃の島」の舞台&ロケ地になったことで有名になった鳩間島(沖縄)などですね。

松田:やっぱり南国ムード満点の島が人気そうですね。

秘境には個性がある

松田:最後に、一般の人でも行ける秘境の島ってあったりしますか? なんだか響きが良いですよね、秘境って。ワクワクします。

宮嵜:それで言うと、都内からアクセスの良い沖ノ島(千葉)は、島までは200m程の砂浜で繋がっていて、歩いて渡ることができる無人の陸繋島なので、一般の方でも行きやすい場所です。

沖ノ島の中には歴史スポットもある

もう1つ千葉県指定の名勝で、新日本百景の地としても選ばれている仁右衛門島(千葉)。平野仁右衛門さんが一戸だけで住んでいて、観光する際は手こぎ二丁櫓の赤い船で島へ渡るんですよ。2つとも秘境って程じゃないかもしれませんが、都内からアクセスが良い場所にこんなところがあるんだ! といった印象を受けると思います。

この島に赤い船で渡れる

宮城県石巻市の太平洋上に浮かぶ金華山島(宮城)も、恐山、出羽三山と並ぶ「奥州三霊場」に数えられている秘境ですね。外洋でうねりが強く、強烈に船酔いしたことを覚えています。

金華山島には野生のシカがいる

あとは、粟島(新潟)の海も青くて素敵ですね。新潟と言えば佐渡島が有名ですが、粟島の海は透明度が全然違います。夏のキャンプがおすすめ。自転車で島を一周するのも楽しいですよ。

自転車でサイクリングを楽しめる

関西で言うと、琵琶湖の中にぽつんとある沖島(滋賀)なんていかがでしょうか? 日本で唯一の「淡水湖に浮かぶ有人島」で、鳥人間コンテストを琵琶湖で開催する際は映ることもありますね。あと、この島ではお茶の箱がついている三輪自転車がいっぱいあって不思議です。

不思議な自転車が何台かある

松田:日本には本当に個性的な島がたくさんありますね。いつかは行ってみたいです!

宮嵜:松田さんは自転車乗りなので、瀬戸大橋が通る櫃石島(香川県)も良いかもしれませんね。島内は、住民しか自家用車で乗り入れることができませんので、全て徒歩か自転車移動なんです。

宮嵜さんに聞く、島旅の魅力とは?

松田:島情報をいっぱい聞き過ぎて、正直お腹いっぱいです。でも、食欲の方のお腹は減ったので飲みにいきましょうか。

宮嵜:地元の美味しい焼き肉屋さんを紹介します。その前に温泉でも(笑)

— しばし休憩

松田:今日はありがとうございました。最後に宮嵜さんに聞きたいのは、島旅の魅力についてです。

宮嵜:人それぞれ違くて良いと思いますよ。ただ、私の場合は、島が持つ独自のアイデンティティを感じられることですね。
例えば、沖縄本島が本州と考えると、南と北で東北と関西地方くらい文化が違うし、奄美大島が北海道、宮古島が四国、石垣島が九州大陸と思えるくらい、これまた違う文化が根付いていることを感じます。だからこそ、沖縄や鹿児島のトカラ列島までの島々などは、日本の縮図だとさえ思っています。

松田:その発想はありませんでした。ちなみに宮嵜さんは海外の島も旅するんですか?

宮嵜:海外も時々行きますよ。でも、日本でも行けていないところはたくさんあります。ときどき外国人さんが自分が行ったことのない日本の場所に訪れたことがあると聞くと、悔しくなってしまうんですよね。まだ自分が知らない日本があるなぁと。

松田:宮嵜さんってコンプリートマニアですよね。1つ集めたら全部集まるまで気が済まないタイプ。

宮嵜:宮嵜:そうですね。島はたくさん訪れてはいますが、まだまだ途中です。有人島すべてとは言いませんが、死ぬまでには400以上の島に行きたいとは思っています。
というわけで、まだまだ島旅は目標の半分にしか達していません(笑)まだまだ頑張りますよー!

松田:すごすぎですが、本当にやりそうです(笑)今度は島で一緒に飲みたいですね。

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ライター:
松田 然
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