体験レポート

自然の魅力が豊富な岐阜で編集部がワーケーション体験!

東京から美濃市へはおよそ2時半程度で到着!

未知のウイルスが世界中を飲み込んでから約2年。コロナ禍になってから働き方が大きく変わった人も多いのではないでしょうか。
在宅ワークが一般的になり、観光地やリゾート地など自宅以外の場所で仕事をするワーケーションという言葉も広く知れ渡るところとなりました。
ワーケーションとはワーク(仕事)とバケーション(観光)を組み合わせた造語で、コロナ禍に打ち出された働き方改革にも適しています。

そこで今回、私たち「.HYAKKEI編集部」が岐阜県・美濃市にてワーケーションを体験してきました。

街の暮らしに溶け込みながら、ゆったり働く1日目

美濃市は岐阜県の中濃地方に位置するのどかな街。中心部には日本三大清流の長良川が流れ、豊かな自然を感じることができます。
屋根の両端を一段高くした防火壁「うだつ」を備えた江戸時代から続く伝統的な「うだつの上がる町並み」が残るエリアもあります。

ワーケーション1日目は、仕事を中心としたスケジュールです。拠点とするのは、うだつの上がる町並みの一角に位置する「NIPPONIA美濃商家町」。もともとは和紙の原料問屋を営んでいた豪商が所有していた家で、合計およそ2,000平米の広さがある古民家ホテルです。

自分たちだけで一棟まるごと貸し切ることができるので、贅沢に空間を使用することができます。各自のプライベート空間を確保できるのはもちろん、共同のワークスペースとして使用できる部屋やプライベートオフィス感のある部屋など、室内はバリエーション豊か!

部屋数が多かったので、編集部全員で貸し切っても各自他のメンバーに邪魔されずに自分の仕事に集中することができました。

ホテルの部屋だと、プライベートは保たれるものの、それぞれが部屋にこもりきりになってしまうので共同で時間を合わせることが難しくなることもあります。しかしNIPPONIA美濃商家町では部屋同士が緩やかに繋がっているので編集部全員の動きが把握しやすく、予定を合わせやすいと感じました。

豊かな町並みの中、地元の人たちの暮らしに溶け込みながら働くことができます。東京とは違う時間の流れを肌で感じながら仕事をすることで、普段以上にいろいろなアイデアが浮かんだり、集中力も上がった気がしました。

仕事で煮詰まったら、うだつの上がる町並みをサイクリング!1周約1キロなので、手軽に気分転換することができます。

日中は多くの観光客で賑わっていますが、夕暮れ時になると街全体が心地良い静けさに包まれていることに気付きます。東京ではなかなか感じることができないこの適度な静寂も、仕事が捗る一要素!

積極的に街へ足を運んでほしいという思いから、NIPPONIA美濃商家町では夕飯の提供は行っていません。他の地域などではホテルでの食事が含まれているワーケーションプランも数多く存在しますが、地元の人たちに混じって食事を取るのは、ここ美濃市でのワーケーションならでは!

移住者と地元の方をインタビュー

移住先で職を探し活き活きと働く平山さんご家族と、地元のイノベーターとして活躍している辻さんにお話を伺いました。


彼らの共通点は、都市とも山里とも違う美濃の魅力に惹かれているという点。インタビューを通して、「訪れた人に美濃市を知ってほしい」「ここで暮らす人のことをもっとしっかり考えて、より良い環境を整えたい」と奮闘する姿を垣間見ることができました。

1.美濃はチャンスに恵まれている街だと思う

美濃市に移住してきて4年になるご家族に美濃市へ移住することになったきっかけや、移住してみて感じたことなど、いろいろなお話を伺いました。

「私が岐阜県立森林文化アカデミーへの入学を希望したことが美濃市への移住を決めたきっかけです。妻も移住には前向きでしたので、それほど大変だとは感じませんでした。ゴミの収集日が東京と比べると少ないことや冬の寒さになかなか慣れないということはありますが、実際に暮らしてみてこれといったデメリットは感じませんね。街の方たちも皆さんとても良くしてくれるので、住みにくさは全く感じません。夜は暗く静かになるので、心身ともにリラックスすることができます。そういう、ある意味人間らしい生活が送れています。移住してから子どもが生まれましたが、子育て支援や施設も充実しています。名古屋にも近く

買い物などに困ることもありませんし、そう考えると美濃市はちょうど良い田舎具合だなと思います。満員電車や常に時間に追われるような東京の生活にはもう戻れる気がしません。また、美濃市はチャンスに恵まれた町だと思います。都心部では『これをやりたい』と思っても、専門知識や資格、経験が必要だったり、そもそも人材が足りていることがほとんどです。しかしここでは自分のやりたいことにどんどんチャレンジすることができるんです。自分次第でどんどん成長できるのが楽しい。自分のアイデアを形にしやすいので、日々の仕事にも張り合いが出ます!

デメリットがあるとすれば、私たち夫婦はふたりとも実家が関東にあるということでしょうか。物理的に距離が遠いので、なにか困ったことがあってもすぐに実家を頼ることはできませんからね」

岐阜県では他地域からの移住者に向けた支援金があります。金額は2人以上世帯で50万円、単身世帯で30万円です。詳しくはこちらのページをご覧ください。
この他にも、美濃市らしい住まいづくり改修工事費補助として改修費の1/2(上限200万円)、新婚世帯家賃補助金交付(月額1万円、当初の2年間)、美濃市起業家支援制度、不妊治療費の助成、保育園・幼稚園・小中学校における給食費の支援やファミリーサポートなど子育てに関する支援も充実しています。記載したのは支援金のうちのごく一部。美濃市への移住に関する支援制度はかなり充実している印象を受けました!

2.地域を活性化する事業はひとつだけではない。空き家の数だけ夢がある!

「NIPPONIA美濃商家町」や「和紙専門店Washi-nary」、シェアオフィス「WASITA MINO」の代表理事を務める辻さんにお話を伺いました。
和紙は衰退産業だから初めはあまりやりたくなかったという辻さん。しかしあるとき、和紙も街を活性化させるための一要素だと気づいたと言います。

「私はもともと美濃市出身なのですが、大学から社会人になって数年間は東京と名古屋で生活をしていました。8年くらい外に出てみてわかったのは、川で泳ぐことが一般的な感覚ではなかったことと、自分が標準語ではなかったこと(笑)。本当に驚きましたよ。
自分の中で当たり前だったことが、全国的には当たり前ではないことに衝撃を受けました。
うだつの上がる町並みもそう。私の中ではさして珍しい町並みでもなかったのですが、全国的には珍しい町並みなんですよね。
それなのに街は過疎化が進み、このまま行けば衰退の一途を辿ることは火を見るよりも明らかです。このまま何もせず子どもたちに責任を丸投げするのは良くない、私たちの世代でなんとかしなければならないと強く思いました。

私の父は和紙の職人なのですが、私自身は後を継ぐつもりはなかったんです。だって和紙って儲からないから……。
でもこの町並みを失いたくないと思ったとき、和紙も街おこしに活かせる一要素となるのではないかと思ったんです。それからは地域とのコネクションを作るために奔走しましたね。合わせて比較的早い段階からSNSで美濃の街を元気にしたいと発信もし続けていました。
美濃市の良さは昔ながらの町並みに地元の人の暮らしが根付いていることだと思うので、地域の方たちが暮らしやすいと感じる町にすることを大切にしています。カフェが欲しい、映画館が欲しい、レストランの数を増やしたいといった声があれば、ひとつひとつ拾っていきたいんですよね。
その中で若い世代のアイデアは活性化の起爆剤になると思っています。
美濃市には若い世代の感性を受け入れる柔軟な環境が整っています。まだまだ空き家が多いエリアがありますが、逆を返せばチャンスに変えられる機会が多いということだと思っているんです。つまり、空き家の数だけ夢とチャンスがあるということ。ちなみに、やる気のある若い人材は常に募集中ですよ!」

ラフティング&キャンプ!アウトドアをとことん楽しむ2日目

ワーケーション2日目のテーマは休日。アウトドア気分を満喫するべく、初めに向かった先は長良川のラフティングです。
今回お世話になったのは「アウトドアステーション」。長良川を知り尽くしたベテランガイドさんが担当してくれました。

ラフティングはチームみんなで息を合わせて激流を下るスポーツ。

長良川でのラフティングでは、流れの速いところではスリルを、流れの穏やかなエリアではのんびりと景色を楽しむことができました。

盛り上げ上手なガイドさんのおかげで、約1時間半のラフティングはあっという間に終了。

ただ川を下るだけではなく、途中には飛び込みスポットや季節によっては波乗りを体験させてもらえることもあるなど、アウトドア好きにはたまらないアクティブなサービスがたくさん詰まっています!

〜女性編集部員のひとことメモ〜
アウトドアステーションはトイレや更衣室もキレイでした!ウェットスーツも新しく、快適にラフティングを楽しむことができました。

自然を感じながら昼食&紙漉き体験で岐阜らしさを感じる

樹特製蕎麦(1,150円)をいただきました。手打ち蕎麦のあゆ樹の蕎麦は国内産玄そばを機械を使わず手挽き・手打ちにこだわった逸品です。

昼食を済ませたら、キャンプ場に向かう途中にある「美濃和紙の里会館」に寄り道。こちらでは和紙の特徴や歴史について知ることができるだけでなく美濃和紙の紙漉き体験ができると聞き、ものづくりが好きな編集部員が体験してきました。
紙の特徴や歴史について知ることができるだけでなく美濃和紙の紙漉き体験ができると聞き、ものづくりが好きな編集部員が体験してきました。
201411月にユネスコの無形文化遺産として登録された「和紙日本の手すき和紙技術」を構成するのが、岐阜の「本美濃紙」と埼玉県の「細川紙」、島根県の「石州半紙」。

今回体験したコースは美濃判コース(500円)。所要時間は約20分です。
通常の和紙は縦揺りのみを行いますが、美濃和紙は縦横方向に原料を流して作るのが特徴。これにより楮(こうぞ)の繊維が整然と絡み合い、美しい地合が生まれ、なおかつ丈夫で破れにくい和紙になるのだそう。この伝統的な製法を和紙職人さんに指導していただきながら、自分で漉いていきます。

まずは職人さんにお手本を見せてもらい、手順を聞いたらいざ実践へ。簡単そうに見えましたが、紙漉きはやはり職人技なのだと思い知らされました。
決して複雑な作業でも工程でもないのですが、やってみるととても難しい……均一に原料を行き渡らせることができず苦戦しました。

本美濃紙の紙漉きについて、大まかな流れご紹介します。

①楮とトロロアオイを溶かした水を漉桁(すけた)ですくい、縦方向に揺するようにしながら薄く伸ばす。

②楮とトロロアオイを溶かした水を漉桁ですくい、横方向に揺するようにしながら薄く伸ばす。

③上記の工程を何度か繰り返す。

④漉桁から和紙を外し、希望があれば楓の葉や色紙を飾り乾燥させたら完成。

ちなみに体験用の漉桁は横45cm、縦33cmのサイズなのですが、職人さんは京間版という横98cm、縦65cmの漉桁を使用しています。ただ、工程と原料はプロの職人さんが使用しているものと全く同じ!

ワーケーションの締めはキャンプ&バーベキュー

ワーケーションの締めはアウトドアメディア編集部らしくキャンプ&バーベキューを行うことに!
板取キャンプ場」へ移動し、編集部員全員で今回のワーケーションを振り返りながら食事を楽しみました。板取キャンプ場のまわりには透明度の高い川が流れていて、ロケーションは抜群!

長良川では鵜飼いが有名ということで、バーベキューでは鮎も焼きました。地元のスーパーや道の駅には、東京ではあまり見かけない食材や調味料が並んでいたり、そもそも野菜や果物の値段も東京よりずっと安かったりと新鮮な発見が多くあります。自分たちで食材を買い、土地の食材を楽しめるというのはホテルステイではなかなか味わえない、キャンプ飯ならではの感覚かもしれません。

今回は東京から新幹線での移動だったので、テントサイトではなくバンガローに宿泊しました。普段はテント泊をすることが多い.HYAKKEI編集部は久しぶりのバンガロー泊に少しドキドキ(笑)。
板取キャンプ場にはバンガローが全部で51棟あり、各バンガローの横にはテーブルとバーベキューコンロ、日除け(雨避け)になるタープもしくは常設屋根が用意されているので、キャンプギアを揃えきれていなくても、誰でも気軽にキャンプを楽しむことができます。ただし、寝具の貸し出しは行っていないのでシュラフの用意をお忘れなく!

〜女性編集部員のひとことメモ〜
到着までにはくねくねとした山道を進むので、乗り物酔いしやすい人は酔い止めがあった方が安心かもしれません!

美濃市は「仕事」と「遊び」にちょうど良い距離感の場所でした

豊かな自然に囲まれた美濃市。
美濃市のメイン観光スポットはうだつの上がる町並みですが、比較的コンパクトにまとまっているエリアなので、仕事そっちのけで観光に繰り出したくなるなど、仕事に集中できなくなることはありません。むしろ気分転換に散歩に繰り出すことでモチベーションが上がり、コンディションが整う感じさえありました。
そして車で1時間程度も走れば長良川でのラフティングやキャンプ場などの自然豊かなエリアがあり、アウトドアでのアクティビティを存分に楽しむことができます。

加えて新幹線の通る名古屋にも1時間程度で移動することができ、アクセスも良好。今回のワーケーションで感じたのは「美濃市は仕事にも遊びにもちょうど良い距離感の場所」だということでした。
仕事と遊びを全力で楽しみたい方には、ぜひとも美濃市でのワーケーションをおすすめしたいですね!そして、ワーケーションを通じて美濃市を好きになった方は移住も検討してみてはいかがでしょうか!?

文:小林ユリ

写真:清水友渉

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ライター:
.HYAKKEI編集部