夏山は登っても、雪山を登る人は少ないです。夏は人混みで溢れる人気の山も、冬はとても静かです。
それに雪が音を吸い込むのか、夏よりも音が少なく、無音です。都会の喧騒の中で生活する僕には「音のない世界」に入れる、それだけで物凄く価値があることなのです。
雪山は雪で登山道が隠れます。山に入る人も少ないので、先に入った人の足跡も雪が降ると消えてしまうのです。稜線には雪庇(せっぴ)ができ、滑落のリスクも高まります。
まずは地形図とコンパスを使いこなし人の足跡に頼らなくても山が登れるように地形図を読む力=「読図力」をつけましょう。また雪崩や雪庇を作る雪の特性についてもしっかりと学んでおきましょう。
p>
冬は空気が澄んでいて、遠くの山稜まで綺麗に見渡せます。葉を落とした木々にも霧氷がつき、晴れている時の雪山は青と白の世界。曇っている時の雪山は水墨画のような白と黒の世界です。朝日や夕日で金色に輝く峰々を山頂から見渡せた時、僕等は雪山の魅力に取り憑かれてしまうのです。
気象の変化がめまぐるしい山の世界。もちろん、冬も例外ではありません。10分前は眩しいほどの青空が広がっていたのに、急に吹雪に見舞われることもあります。
天気予報を見て当たっただの外れただの言っているうちはハードな雪山には入らない方がいいかもしれません。天気図を見て、自分で自分の行く山の天候の変化を予測できるような知識をつけてから雪山に入りましょう。
頭を超える高さで積もる雪の壁をピッケルで切り崩しながらひたすらラッセルしている時、無心になれます。からっぽの自分と自然がひとつになっていく感覚が得られるのです。
雪の中を歩いていると当然、体を濡らしてしまうことがあります。テントの中にいるとテントの中の高い温度により溶けた雪で手袋や靴下が濡れてしまいます。そのまま放置していると足や手の指を失う凍傷になる可能性が高まります。
濡れてしまった手袋や靴下は寝袋の中や服の中など自分の肌になるべく近い所に入れ眠ってしまいます。すると、自分の体温で乾きます。予備の手袋や靴下を濡れないようにザックの中できちんと保管する。テントの中で靴を脱いでも中を濡らさないようにビニール袋の中に入れ凍らせないよう寝袋のそばに置く。こんな細かいことも雪山においては大切な生活技術なのです。
僕は自然とひとつになりたくて山に毎週のように通っています。自然とひとつになるための技術/知識/経験は山に入ることでしか得られません。雪山はその技術/知識/経験を総動員して自分の全身全霊をかけられるフィールドなのです。より深い自然の中へ、自分の持つ技術/知識/経験を活かして挑戦していく。そして登頂できた時の達成感。雪山に登ることでしか得られない感動を味わえます。
雪山で使うに足る充分な装備を持っていないと、汗をかいて肌を濡らしてしまったり、激しい風雪に耐えれなかったり、ひとつひとつの小さな装備不足が、低体温症の原因になります。低体温症になると行動不能になってしまいます。
先輩の岳人達が知恵を絞って開発してくれた冬山専用の装備は、一つ一つの機能に山で快適に過ごすための大いなる知恵がつまっています。きちんと冬山の装備を揃え、雪山に入りましょう。
2016年正月休み。僕は.HYAKKEI編集部からMarmotの1000 Fill Power Down Jacketをお借りしてだーれもいない豪雪の越後駒ケ岳で四日間を過ごしてきました。テント内で過ごす時と寝る時に使いました。
寝袋はボロボロの化繊の3シーズン用。上にシュラフカバーを重ねて寝たのですが、あったかかったー。仲間達は寒い寒いと途中で起きていたようですが、僕はこのダウンのおかげで朝仲間が起こしても起きない程、熟睡できました。正直、返したくない。。。
p>
雪山は美しい。でも、リスクがある。だからこそ美しい。
一人でいきなり雪山に行くのはなかなかハードルが高いと思います。
お住まいの地域の山岳会や、ショップなどの雪山講習会に参加したり、しっかりした山岳ガイドの雪山のコースに参加したりすれば、上記の知識を自分で身につけなくても雪山には行けますし、先輩からたくさんのことを学べます。まずは山の先輩と一緒に行き、自分でしっかり勉強しながら、素晴らしい雪山の世界に飛び込んでいきましょう!