今回は山パスタならではの調理方法についてお話させていただきます。
山パスタにおいてもっとも重要な工程は「茹でる」です。山でパスタを美味しく茹でることができれば、美味しい山パスタができたと言っても言い過ぎではありません。「茹でる」を極めれば山パスタを極めたと言えるでしょう。
山でパスタを作るにはいろんな茹で方があります。それぞれメリット・デメリットがありますので、山行スタイルや条件に応じた茹で方を選ぶといいでしょう。
家で作るときと同じ一番ノーマルなパスタの茹でかたです。
【メリット】
家で作るのと同じように茹でることができる。
【デメリット】
茹で汁が残る。時間がかかり、水、燃料消費も多くなる。
【ポイント】
残った茹で汁はスープやフリーズドライの戻し湯として使うとよいでしょう。
山ならではの茹で方です。パスタを茹でるのに必要な水の量ギリギリで茹でることにより、茹で汁を残さない方法です。
【メリット】
茹で汁が残らない。水、燃料の消費が比較的少ない。
【デメリット】
使うパスタによっては少し粉っぽさを感じる。水の適量算出が難しいかもしれない。
【ポイント】
水の適量は茹で時間、パスタの量によって変わります。
目安としては3分パスタ100gで水160ccです。
(※火加減、風の影響、クッカーの材質、標高などによっても変わってくるので臨機応変に)
パスタソースにパスタを入れて煮込むやり方です。
パスタを茹でる工程とソース作りを同時に行うことになります。
【メリット】
ワンバーナー&ワンクッカーで調理しやすい。
【デメリット】
パスタがぱさつきやすい。茹でるのに時間がかかり、アルデンテにはならない。
【ポイント】
普通に茹でるよりも時間がかかるので、その分ソースの水分量を多めにしておくとよい。
あらかじめパスタを数時間水に漬けておく。こうすることでパスタを1分程度で茹でることができます。山に登る前にジップロックなどに入れてパスタを水に漬けておけば、お昼くらいにはちょうどいい感じになります。水漬けパスタ、スイスイパスタなどと言われているようです。
【メリット】
時短。水の量、燃料消費も抑えることができる。
【デメリット】
水分を多く吸収してしまうためアルデンテにはならない。パスタの種類によってはうまくいかない。※パスタが水に溶けてくずれてしまう場合がある。
【ポイント】
アルデンテにはならないがもちもちした食感になる。ショートパスタが合う。
家でアルデンテに茹でたパスタを冷凍して山に持っていく。ソースと一緒に加熱するだけアルデンテのパスタに戻る。
【メリット】
時短。水の量、燃料消費も抑えることができる。アルデンテの食感。
【デメリット】
前準備が必要なため縦走では使えない。
【ポイント】
アルデンテより少し硬い状態に茹で、オリーブオイルを絡めてから冷凍しておく。
家でパスタを茹でるなら①だと思いますが、山でパスタを茹でる場合はできるだけ短い時間で、できるだけ少ない材料・道具を使い、しかも美味しく調理したいものです。
山でもアルデンテのパスタが食べたけければ①、②、⑤のやり方がよいでしょう。茹で汁を残したくなければ②。もちもち食感なら④。縦走時には②や④が便利です。パスタは調理が面倒!という方は、③のように一気に調理してしまう方法もおすすめです。
もちもちしたパスタが好きな方もいればアルデンテじゃなきゃパスタじゃない!という方もいるでしょう。のんびりと時間をかけて山ごはんを楽しめる余裕があるときもあれば、できるだけ短時間に水・燃料も抑えたいシビアな登山の場合もあるでしょう。それぞれの好みや山行スタイル、条件に応じて、①から⑤の茹で方を使い分けてみてはいかがでしょうか。
次回は具体的な山パスタレシピをご紹介したいと思います。少しでもヒントになることがありましたら、みなさまの山パスタに取り入れていただければと思います。
ソライロパスタ