最近、アウトドアシーンで耳にする機会の増えた「ガレージブランド」。皆さんはどんなブランドか知っていますか?ニッチでハイクオリティなアイテムを求め、イベントで行列を生むガレージブランド。謎の多いガレージブランドの盛り上がりの理由を解説します。
ガレージブランドとは「オリジナリティの高いアイテムやニッチかつハイクオリティなアイテムを展開する小規模なアウトドアブランド」をいいます。個人の趣味や事業で始めたケースや、中小企業が本業の技術や資本を活かし新規事業として取り組んでいるケースなど出自はさまざま。
今ではガレージブランド・ムーブメントとも呼べるほどの盛り上がりを見せ、人気のアウトドアイベントや百貨店でのポップアップストアの出店、テレビへの露出など、その勢いはさらに増しています。
ガレージブランドの盛り上がりの背景には、ここ数年のキャンプ人気によるキャンプスタイルやキャンプギアへの趣向の多様化があります。
メジャーなブランドではカバーしきれない、人と違うもの、作家製の高いもの、既存のギアをカスタムしたいというニッチなニーズを満たすアイテムを展開していることも、ガレージブランドに注目が集まる理由のひとつです。
アウトドアブーム以前からガレージブランドはありましたが、SNSが普及する以前はそういったブランドの情報を得る手段が限られていました。しかしInstagramが登場したことでインフルエンサーによるブランドやアイテムの情報拡散や、ハッシュタグによる情報収集が容易になりました。
昨今のガレージブランド・ムーブメントの初期から、インフルエンサーがブランドを立ち上げるケースも散見され、現在もその動きは盛んです。今ではアウトドア系YouTuberがガレージブランドを立ち上げるケースも増えています。
BASEやSTORESなどのECサイト立ち上げ支援サービスにより、誰でも簡単に費用をかけずにネット販売が可能になり、ガレージブランドを立ち上げる敷居が下がりました。こういったサービスの発展も、アウトドア業界に限らず小規模ブランドがたくさん生まれる要因のひとつになっています。
ガレージブランドの販路は、同じく数を増やしているアウトドアセレクトショップです。
人気のガレージブランドは、発信力のあるアウトドアセレクトショップと強い関係を結んでいるケースも多く、相互に人気を拡大している傾向があります。ネット販売中心であることの多いガレージブランドのアイテムを、実際に商品を手に取って購入できるので、ブランドの認知を広める場となっています。
人気のアウトドアセレクトショップがオリジナル商品としてガレージブランドを立ち上げるケースや、取り扱うガレージブランドとの別注コラボアイテムを展開するケースも多いです。
ガレージブランドは生産も小規模に行っていることが多く、アイテムの販売は必然的に数量限定になりがちです。人気のアイテムはネット販売開始と同時に売り切れてしまうことも。イベント販売で大行列ができたり、ネットオークションで転売されたアイテムに倍以上の高値が付いたりと、良くも悪くもその希少性が高まっています。
アウトドアにおけるガレージブランドを語るうえで、避けては通れないのが人気ガレージブランド集団「M16」の存在です。「M16」はあまたのガレージブランドの中でも、トップクラスに人気のある16のブランドで構成されています。
構成するブランドは、ガレージブランド・ムーブメント初期からのトップランナーである「neru design works(ネルデザインワークス)」や「asimocrafts(アシモクラフト)」、六角テーブルで名を馳せる「The Arth(ざぁ〜ッス)」、三脚テーブルブームを巻き起こした「38explore(サーティーエイトエクスプロー)」、定番チェアのカスタムパーツが人気の「NATURAL MOUNTAIN MONKEYS(ナチュラルマウンテンモンキーズ)」などなど。
また、今やガレージブランドの域を超えてメジャーとなった「Ballistics(バリスティクス)」のようなブランドも存在します。
大型イベントへの出店や「M16」ブランド同士のコラボも盛んで、相互にファンを増やし続けています。
キャンプ人口が増え続けていることから、このガレージブランド・ムーブメントは今後も続くでしょう。人気ガレージブランドのメジャー化や、ガレージブランド同士のコラボも増えており、ますます人気が加速しています。
集客力の高さから、人気ガレージブランドはイベント出店も引く手あまた。「M16」のようにグループを組むガレージブランドも増える可能性があります。
またこのガレージブランド・ムーブメントは中国や韓国、台湾でも起こっており、国内だけに留まらない状況。日本のガレージブランドの海外展開や、海外のガレージブランドの日本参入なども進んでおり、今後もガレージブランド・シーンから目が離せません。